属性、歴史、魔法、氣功
○紋やス○ンドではないよ!!!
7月1日変更投稿しました。
タマモの社に住むことになってから2年、俺は2歳になっていた。
その頃には、俺は会話が出来る位まで成長し、体を壊さない程度に鍛えては休憩を取り、を繰り返す事を毎日続けていた。
そしてタマモは俺の事を可愛がりながらも、俺が気になった事を聞くと、真剣に話してくれた。
最近、凄く可愛がられている様な、甘えられている様な………。
俺はタマモにこのイクスティアのことを聞き、大体この世界のことを理解した。
この世界には魔法という概念があり、火属性、水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性、無属性と7属性に分かれている。
この世界の人々は必ず7属性の内、どれかを持って産まれてくるらしい。
火、水、風、土は基本属性と呼ばれ、この世界で最も多い属性である。光、闇の属性は他の属性と比べて、珍しいらしく、希少属性と呼ばれている。
そして無属性はというと、身体能力増加やすぐに切れる糸など、あまり魔法らしくないという理由で別名無能属性と言われ、この属性を持って産まれてくると無能として見られ、蔑まれ、迫害される事もあるらしい。
そして俺の属性はその無属性であった。
だからどうしたと俺は鍛えるのを止めない。幸いにも、俺にはタマモと言う育て親がいた。
最初にタマモに自分の魔力属性を調べてもらった時、タマモは悲しそうな顔をして俺に抱きつい、
「コウ、御主が無能と言われても、妾だけは絶対に見捨てないからの」
と言ってくれた。それを聞いた時、俺は嬉しかった。
その後、タマモは魔獣やこの大陸の主な国とその歴史、そして種族間の問題のことを教えてくれた。
タマモや本に書いてある事によると、コウが住んでいる大陸の名は『オルレアン大陸』という。
イクスティアにはオルレアン大陸の他に6つ大陸が存在し、少なからず貿易もしているらしい。
このオルレアン大陸には主に『アルラスト王国』、『聖アークスフィア教国』、『商業国家パルバン』、『クロノス帝国』、『魔国ゼパール』の五つの国と、その他の数十の都市や街、村落が存在する。
そして、それぞれ違う栄え方をしているが、それ故に種族間の問題に影響を与えていたりもする。
その中でも、種族間の問題はほとんどが人族の者達がしでかした問題が多い。
その問題の中でも帝国は特に腐り切っていた。
この大陸の東側にクロノス帝国がある。
今から200年ほど前に当時の皇帝が「人族こそが至高の種族だ」などと言い始め、その頃から獣人族やエルフ族、ドワーフ族、魔族などの種族を迫害し始めた結果、50年前にとある事件が起き、そしてその事件で一番の被害を受けたのは魔族だった。
この世界の魔族はゲームなどに出てくる様な野蛮そうな性格の種族ではなく、 人族と同じ感性を持っていた。
しかし、その当時の、今では前クロノス帝国皇帝は、魔王とその妃を城に呼び、いきなり「これからこの帝国をより良くするために力を貸して欲しい」と言ったらしい。しかし魔王は「何故いきなり」と疑問に思い、その日は帝国城に泊まったらしい。
そこで事件が起きた。
帝国王子と帝国軍人が就寝中の魔王と妃の部屋に侵入し、魔王を殺し、妃は犯された後に殺されるという事件が起きた。
そしてその翌日に前帝国皇帝が世界中の国に 『魔王に殺されかけたが、逆に返り討ちにした。しかし一国の王に刃を向けた野蛮な種族である魔族を許しておく訳にはいかん。これは我々人族への宣戦布告と受け取る!』などと言ったらしい。
そのすぐ後から各国で魔族の犯罪が多発していった。その当時は『愚者の時代』と呼ばれる程、各地の権力者達は他人の傀儡や我欲に溺れるほど落ちぶれており、各国の権力者達は帝国皇帝の言葉を鵜呑みにし、「魔族は野蛮な種族だ」と言い、魔族と戦争をし始めた。
魔族は「我々は何もやってない!帝国に嵌められたんだ!」と言っていたが、事実その通りであった。
犯罪を犯した魔族は帝国の軍人が変装してわざと起こしたことだったのだから。
しかし各国の権力者達はその話に聞く耳を持たず、魔族達を迫害、または殺し始めた。魔族達は自衛の為に戦ったが、そのせいで大陸中に『魔族は野蛮な種族で人族の敵である』という迷信が生まれた。
前帝国皇帝がこの様な事を起こしたのは『他者を虐げて己だけは楽して暮らす』という歪んだ思考を代々受け継いだ結果から来たものだったらしい。
このことはこのオルレアン大陸で国の上層部、もしくは有名な商人や裏の人間達ぐらいしか知らない事実であり、今のクロノス帝国は独立状態かつ独裁政治を行っているらしい。
何故タマモがこの事を知っているのか聞いてみると、「妾は長く生きてるからの、その時の事もよく憶えておる」と怒りを顕に拳を握りしめていた。
その後も他種族への迫害をしていたらしいが、ここで帝国に神罰が降った。
このイクスティアには神という存在が明確にあるらしく、偶に地上に降りてきて遊んだり、お悩み相談に乗ったりと人々と良く察していたりするらしい。
そして偶然帝国にいた神が事の真相に感付き、他の神々に伝えると神々はとある決断をした。
それは帝国の神の加護持ちの加護を回収し、今後一切加護を与えない、というものだった。
そして帝国から神の加護が消えると帝国の加護持ち達は焦った。しかしここでも前帝国皇帝が「魔族に加護を奪われた」などと言って、さらに魔族は加護を奪う力があるという迷信が生まれてしまった。
当時の神々は己の失態を嘆き、全ての神が帝国を見捨てた。
しかし魔族達は世界中の敵になったままだった。
幸いにも聖アークスフィア教国とアルラスト王国はこの事を神々から聞いていたので、両国では魔族を敵視していないらしいが、その事を信じないで敵視する者達も大勢いるらしい。
一通り聞いて思ったが酷い話だった。
その他の種族間の問題も聞いてみたが、全体的に見て、大体が人族、主に帝国の起こした問題ばかりだった。俺は帝国が心底嫌いになった。
気分が悪くなるので大陸の歴史の話を一旦やめて、戦闘訓練をする事にした。
タマモが見守る中、俺は昼前の訓練を始めた。
俺は前世でコウとしての記憶と爺さんの記憶があるので、効率的な身体の鍛え方を考え、実行していた。まず体力がなければ話にならないので、体力作りに専念した。
社のある山道を数時間掛けて走りきり、走り終わった後一旦休憩をして魔力循環や魔力放出、吸収で魔力を増やしていた。この時点でもはや本当に二歳児なのかタマモに疑われた事がある。
ほぼ毎日これを続けていたので、並の大人よりも魔力量が圧倒的に多くなっているが、当の本人はそんなこと気にしてないし、タマモも気にしない事にした。
タマモはコウの魔力循環や魔力放出、吸収を初めて見た時は驚いた。
普通の魔法使いは『魔法』を何回も使い、それを繰り返して魔力を上げるが、コウのしている方法は純粋な『魔力』を放出している。この方法を使うと魔力の増加量が数倍になる。
コウのやり方は魔力循環で魔力の流れを早くし、魔法の発動が素早くなり、魔力放出、吸収は魔法の威力の調節や魔素を吸収し、魔力の回復を早める事ができるので、効率的だった。
タマモはこの方法をやってみたが、日頃の訓練より魔力の増加量が増し、回復も早くなっていた。 しかしこの方法が悪しき者に露見すると危険なので、タマモはコウに信用できる者以外にこの方法は教えるなと言っておいき、コウもそれを了解した。
次に魔法の練習をする。
実は魔法はイメージ次第でどんな風にもなる事を、コウはほぼ自力で探り当てた。
それは数ヶ月前、タマモに魔法を見せてもらった時だ。
タマモの属性は火と土と風らしい。
火属性初級魔法の【ファイアボール】を見せてもらった時、爺さんの記憶にある銃弾みたいにイメージして撃ったらどうなるか気になり、無属性魔法で代用して撃ってみた。
すると【ファイアボール】の威力を超えた威力が出た。
それを見たタマモはすごく驚いており、「今のはどうやったのじゃ!?」と凄い形相で聞いてきた。
それからしばらく他のイメージで魔法を撃ってみた結果、『魔法はイメージでどんな風にもなる』という結論が出た。
これも信用出来る者にしか教えない。
しばらく体力、魔力の強化やオリジナル魔法の開発をしていたが、お昼時になったので昼食にする事にした。
最初の頃はタマモが作っていたが、最近は俺が手伝って作っている。理由は簡単、俺の方がタマモより料理の腕が上だったからだ。
前世の時からお互いに料理が趣味であったコウとリチャードだが、その腕はそこらの料亭でも出せる程の腕前だったらしい(食べてくれた人達談)。
その知識を活かして共に作った野菜炒めを食べたタマモは、凄く上機嫌だった。ついでにこの世界で獣人や動物達が食べてはダメな食材は無いが、苦手な食材はあるらしい。
感想を聞くと今まで食べた事ないくらい美味しかったらしい。醤油などがあるといいが恐らくこの世界にはないので、前世でも自作で作った事があるので今度作ってみようと思った。
昼食後、タマモには氣功という技を教えてもらっている。
タマモ曰く、氣功とは精神エネルギーそのものだと言っていた。
使えば当然、だんだんと精神がすり減るが、氣功を発動すると、魔力障壁無しでも初級程度の魔法ならダメージをあまり受けないらしい。
そして自分の氣を相手に当て、自分より精神力が低い者を気絶させたり、動けなくするなど戦闘に役立つ技が多かったが、氣功を使える者ははあまりいないらしい。
理由は氣功が使えるまで精神力が強い者がAランク冒険者などの上位ランカーと言われる者達しか扱えないかららしい。その為子供で使える者はほぼ居ないらしい。俺は使えるようだったけど。
あと氣の操作の応用次第で自分のオーラを幻視できる様になるらしい。
タマモから氣功の使い方を一通り学んだ後は、もうクタクタだった。タマモからは普通、初めての者はそこまで使えないと言われた。
そして夕飯を作って食べた後、桶風呂に入って体を清潔にし、体の手入れをしてから俺は眠りについた。
………………………………………。
「………タマモ、何でまた同じ布団に入ってきているんだ?」
「まだ子供なのだから別にいいじゃろ。これも親代わりの仕事じゃ」
「………そうですか」
「そうなのじゃ♪」
最近、タマモの性格が親バカっぽい。
そう思いながら、今度こそ俺は眠りに落ちた。
5月26日に内容を付け足しました。