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混魂転生  作者: 炒豆きな粉
第1章 出会い編
12/18

魔族の一家

連日投稿できた〜(*^^*)

7月2日内容付け足しました。


ーコウー



ユキカゼが共に暮らす様になってから半年が経った。この半年で変わった事は余りないが、最近は魔法の開発よりも改良などを行っている。


理由は単純に強くなる為と、3年後に控えた魔法学園の試験の為である。なぜ、推薦状があるのに試験があるのかというと、数ヶ月前にオーガンド国王から届いた手紙が原因である。


届いた手紙を読むと、入学については推薦状があれば問題ないが、学園長に俺とミーナの話をしたら大変興味を持ったらしく、個人的に試験をしたいので受けるかどうかという様な内容だった。手紙を読んだ俺は、学園長にコネを持っておいて損はないと判断し、ミーナにも確認を取った後に受ける旨を書いた手紙を国王宛に送った。


それが魔法の開発を一時止めて、改良に力を入れている訳だ。しかし今日は訓練は休みにして、各々がしたいことをしている。


そして魔法学園とは関係無いが、実は国王からもう1つ手紙が届いている。


その内容は、俺が醤油や鰹節もどきなどを売ろうとしているコーンウェル商会の事であった。


俺は一年以上もそのコーンウェル商会が訪れない事に疑問を持っていたが、手紙の内容を見て訪れなかった理由が判明した。


どうやらオーガンド国王は国に帰った後、すぐさまコーンウェル商会の責任者を呼び、味噌と鰹節もどきを紹介したらしい。


そこで味噌と鰹節もどきの価値を見出したその責任者は、オーガンド国王から俺の事を聞き、すぐに俺の所に行こうとしたらしいのだが、道中で賊に襲われて怪我をしたらしい。


その後も何人か俺の所に別の者達を行かせた様だが、その後の者達も全て賊に襲われ、どこかから明確な妨害を受けている事が判明した。


その事が判明した時点で既に半年も経っており、その後に色々調べた結果、とある商会が妨害工作をしていた事が明らかになった。

その商会が起こした妨害工作で多少なりとも被害が出た事にコーンウェル商会の責任者は激昂したそうだ。


その後、時間を掛けてコーンウェル商会の責任者は全力でその商会を潰しに掛かり、つい先月に完膚なきまでに潰したらしい。


(そういえば、近くの街に買い出しに行っている大人達からそんな話聞いたな…)


今はその後処理を行っているらしく、後数ヶ月はかかるとの事だった。


(やっぱり人が集まると自ずと闇が生まれるものなのか………)


俺がその様に思っていると、横から声が掛かった。


「おっ、コウよ、また釣れたぞ」

「ん、あぁ…またか、やっぱりこの時期はかなり釣れるな」


タマモが釣った魚を籠に入れたところで、俺は釣りを楽しむ事にした。


今日は訓練をやめて休みにしている。


俺はタマモと川で釣りをし、ミーナは村の友達と遊びに行っており、ユキカゼは大人達と狩りに行っている様だ。ミーナは身長が少しづつ伸びてきて、ユキカゼに至っては最早大人の狼程の大きさまで成長した。


俺は特に村にも用事がないので、暇そうにしていたタマモを連れて釣りに来ている。


「まだ昼前なのに妾の方は12匹も釣れとる。コウの方はどうじゃ?」

「俺の方は…っと、ちょっと待って、今掛かった」


俺は糸を引き、一気に釣り上げた。


釣れた魚はこの川でよく釣れる、見た目も味も鮎であるニーティルという魚だ。


「これで14匹目だね、今日はこれぐらいで丁度良いかな」

「そうじゃの、今日の昼飯にするにはこれぐらいで十分じゃろ」


最近ミーナはよく食べる様になり、更にユキカゼも加わったことにより、食べ物の消費が一気に上がったりしている。

そうなると一度に大量に作らないと間に合わないので、金具なども取り扱っている鍛治士のドワーフ、ガッドさんに少し大きめの鍋を作って貰ったりしている。


ガッドさんは昔、王都で働いていた事もあり、その腕は職人のものであった。

何故これ程の腕があるのに、王都からこの村に来たのか聴くと、


『まぁ、大した理由ではないんだが、ただ単に王都の空気よりこっちの空気が好きだった、ってだけだ!ガッハッハ!』


との事らしい。話を戻すが、とにかく助かっている。


ふと空を見ると、太陽の位置から大体11時前なので、昼飯の準備の為に帰らなければならない。


「そろそろ戻って昼飯の準備をするか」

「そうか、コウの作る料理はどれも美味いからのぉ、楽しみにしておるぞ」

「了解、まぁ美味しいのは素材が良いからっていうのもあるけどね」


実際、この森の素材はどれも美味しい。それは生態系に人の手による影響をあまり与えていないからだと思う。


この森は前世の俺と爺さんの記憶の中にもない程豊かである。


瞳を閉じて風で揺れる木々の音、流れる川の音、鳥達の鳴き声は聴いてるだけで心が安らぐ。いつまで聴いていても飽きないだろう。


そして俺が帰る前にこの自然の音を聞こうとした時、

風に乗って何かが爆発した様な音が聞こえた。


「?」

「?、なんじゃ?」


その音はタマモも聞こえたらしく、聞き間違いではないだろう。


性能強化した【魔力波】で周辺を調べると、川の上流にある滝の近くに複数の魔力を捉えた。魔力の動きを見てみると、7つの魔力が3つの魔力を追いかけている様だ。


「……上流からか?」

「うん、滝の近くで誰か達を追い掛けてるみたいだ」

「ふむ、あそこは普段危険だから狩りにも行かない所じゃ。少し気になる、コウよ、見に行くぞ!」

「了解!」


タマモの言葉に同意した俺は、走り出したタマモの後を追う。


(魔力の反応した場所は少し遠いが、俺とタマモの脚なら数分で着く距離だ)

そして近くにつれて、身体強化をした聴覚が声を拾った。


『今だ!その【魔族】の女子供を捕まえろ!』

『きゃあ!』

『くッ、離しなさい!』

『しまった!ルナ!セリス!』

『おっと動くなよ⁈動いたらこいつらがどうなるかわかるだろ?あぁ⁈』

『くっ!』

『お前ら亜人は俺ら【帝国】の下に飼われていればいいんだよぉ!』

「!」


どうやら追われていた魔力は魔族で、追っていたのは帝国の人間の様だ。そのことをタマモにそのことを伝える。


「タマモ!追われているのは魔族だ!帝国の人間に2人、人質にされている!」

「何じゃと!急ぐぞ!」


タマモは表情を見た事もない程に険しくさせ、身体強化を施して走る速さを上げた。


コウも身体強化を使って走り、滝の流れる断崖の上にいる銀髪の魔族の男と、如何にも素行が悪そうな見た目の冒険者達を捉えた。


冒険者達の方を見れば、ナイフを首元に添えられた、翡翠色の髪の女性と、男の腕に吊り下げられた長い銀髪の少女がいた。


『卑怯な!』

『うるせぇ!亜人如きが喋るんじゃねぇ!』


魔族の男は冒険者達と言い合っているが、人質をとられているため動けないでいる。


「コウよ、ここから狙い撃てるか?」

「……出来るけど、人質の2人に当たる可能性があるからやめておいた方が良い」

「そうか……」


コウはタマモに聞かれた事に答え、他の策を考える。


(まず冒険者達に見つからない事は絶対条件だ。それからもっと近づいて、冒険者達の後ろで大きな音を立てて混乱している隙に崖を登って人質を確保する)


無難だがこれが一番だ。そしてコウがタマモに作戦を告げようとした時、断崖の方で動きがあった。


『……ッ!』

『イテェッ!こ、このクソガキ!』

『離れやがれ!』

『あぐっ!』

「!」

『『ルナッ!』』


今まで捕まっていた銀髪の少女がいきなり自分を抱えている男の腕に噛み付き、男は痛みで顔を顰めていたが、男の仲間の1人が手に持っていたダガーで少女の背中を斬りつけた。そして斬りつけられた少女は血を流して倒れ込んだ。


『い、痛い……』


少女は背中を斬られた痛みで蹲っていたが、そこに少女に噛まれた男が蹴りを入れてきた。


『クソガキが舐めた真似しやがって!オラッ!』

『……カハッ!、……うぅ…』

『やめてくれっ!それ以上、その子に手を出さないでくれ!』

『お願いします!それ以上はもうっ!』


エルフ族の女性と魔族の男は少女に暴行を加える男に止める様に懇願するが、男はその言葉を無視して蹴り続ける。


「あの者共っ!何ということをっ!」


タマモが険しい目付きで冒険者を睨む。今のタマモのハラワタは煮え繰り返っているのだろう、俺も同じ気持ちだ。さっき立てた作戦は相手を捕まえる為の作戦出会ったが、作戦変更だ。


「タマモ、ここからあの男を狙い撃つ」

「……必ず当てるのじゃぞ」

「わかってる」


俺は男に殺気を放ちながら、指を男の頭の位置に向ける。


『ッ!…な、何だ⁈急に背筋が…』


俺の殺気に寒気を感じた男は少女を蹴るのを止めて、後ずさった。そこで俺は男に【ショット】を遠慮せずに放った。


『ガッ!』

『なっ、おい!何なんだこれは!』

『わ、わからねぇよ!』


男の仲間は急に男が死んだ事に狼狽しており、冷静さを失っていた。その隙に俺とタマモは断崖の真下まで近づいていた。


「まずエルフ族の女性を捕まえている奴を倒すから、タマモは他の奴らを片付けて」

「請け負った!」


それぞれの役目を確認し、断崖を登る。断崖の表面は出っ張りが多く、身体強化したコウとタマモにとってはただの足場でしかなかった。そして登り切ったコウとタマモは、各々の標的に向かって魔法を放つ。


「な、何だテメェ『ドスッ』…らぁ…」

「えっ?」


男は頭に小さな穴を開けて絶命し、エルフ族の女性は何が起こったのかわからないといった顔をしていた。そこに魔族の男が近づいて来た。


「君達は……」

「助けに来た。それより早くその子の手当てを」


魔族の男にそう答え、斬られた少女の元に向かう。


「そうだっ!ルナッ!」

「ルナッ!目を開けてっ!」


2人は少女に近づき話しかけるが、少女は気絶していて目を覚まさない。


「今は気絶しているだけです、それより傷を見せて下さい」

「っ!……わかった……娘を見てくれ…」


魔族の男は最初、一瞬コウ達を警戒したが、先程の窮地を助けた事からか警戒を解いてくれた。


エルフ族の女性に少女の服をめくってもらい、少女の体に直接【魔力波】を当てて診察する。


「……コウよ、傷の具合はどうじゃ」

「…斬られた傷はそんなに深くないけど、内側の傷が酷い。このままだったら死んでしまう」

「そんな…」


打撲による内出血と何本か骨が折れている。それに内臓にもダメージがあった。コレは早急に治療する必要がある。


(どうやらこの人たちも治癒魔法が使えない様だし、ここは氣功を使うか)


俺は無属性魔法【クリーン】をつかって手を清潔にした後、少女の傷口に手を当てて氣を流し込む。


すると少女の全身を薄い膜の様なものが覆い、少女の傷口が閉じていく光景にエルフ族の女性は不思議がっていたが、魔族の男は驚愕の表情でコウの方を見た。


「まさか…君は氣功が使えるのか⁉︎」


魔族の男の反応を見るに、コウの様な少年は氣功を使う異常さを知っている様だ。


「アル、その氣功というのはなんなのですか?」


エルフ族の女性は氣功について魔族の男に説明を求めた。


「あ、あぁ、セリス、氣功というのはな……」


アルと呼ばれた魔族の男は、セリスと呼ばれたエルフ族の女性に氣功とは何か、そして氣功が使える者が限られている理由を話した。話を聞いていたセリスは、子供であるコウが氣功を使えている事実に驚愕していた。


「…話を聞く限り、凄いなんてものじゃありませんね……」


セリスの言葉を聞いたタマモはその呟きに答える様に腕を組みながら言葉を発した。


「まぁ、確かに教えた妾が言うのも今更じゃが、これ程までの自在に氣功を使えるのはそうそう居ないのじゃ」


そんな話を余所にコウは氣を少女に流し続けていると、少女の体がピクリと動いたのを感じてコウが離れると、少女は目を覚ました。


「……ん、…お父さん…お母さん…」

「「ルナッ!」」


目を覚ましたルナと呼ばれた少女は自分の両親を見つけて飛び付き、アルとセリスはルナを受け止めた。


「ルナ!どこか痛いところはないか?」

「ん、グスッ、…何処も痛くない…なんで?」


ルナは涙ぐみながら、何処にも痛みを感じない事を不思議がっていた。アルとセリスはその言葉に安堵し、ルナをコウとタマモの方に向けさせた。


「あの人達がルナを助けてくれたんだよ。ルナも一緒にお礼を…と、そういえばまだお互い自己紹介していませんでしたね」


アルのその言葉に、俺とタマモは「確かに」と呟き、お互い自己紹介していない事に気が付いた。


「ではまず妾から自己紹介するかの。妾はタマモといって見ての通り狐獣人であるな。それとこの近くにあるカンナギ村の村長でもある。そして此奴が…」


タマモが自分の説明を終え、俺に振ってきたので俺は続きを言う。


「カンナギ村の者で、コウと言います。種族は人族ですが、他種族を蔑む様な事はしません」

「あぁ、娘を助けてくれた事から、コウ君の性格はわかった。娘を助けてくれて本当にありがとう。私はアルフレッドと言います。種族は魔族で吸血族と呼ばれているものです」


吸血族とは所謂西洋の吸血鬼、ドラキュラに似た種族である。吸血族の特徴は闇属性に適性があり、太陽の光を浴びると弱体化し、総じて泳ぎが苦手とドラキュラの様な弱点が緩和した様な種族である


アルフレッドは、短い銀髪と紅い瞳をしたイケメンで犬歯は鋭く、服装は黒を基調としていてその名の通り、吸血鬼をイメージした様な格好だ。それでいて礼儀正しく、普段は穏やかな性格の様だ。


「次は私ですね。私はセリスティアと言います。種族はエルフ族でアルフレッド、アルの妻です。そして娘を助けて頂きありがとうございます」


エルフ族の特徴は風属性に適性があり、魔法の扱いに長けているだけに非ず、精霊魔法という通常の魔法とは違う魔法を使うことで有名である。普段は森の中で過ごしており、滅多に森の外には出てこないでいる。さらにエルフ族の上位種族であるハイエルフや、ダークエルフなども存在している。


セリスティアは翡翠色の髪と瞳、尖った様な耳を持ち、水色のローブを着た服装である。この人も穏やかそうな性格をしている。


「そしてこの子が…って、あらあら、恥ずかしいの、ルナ?」


セリスティアの言葉に最後に残った少女、ルナの方を向くと、セリスティアの後ろに隠れてちょこちょこ頭を出しながらこちらを見ていた。どうやら恥ずかしがり屋な様だ。


「…助けてくれてありがとう…コウお兄ちゃん…タマモお姉ちゃん…ルナは、ルミナリスって言うの…」


顔を赤くにして小さな声で言った言葉だったが、俺とタマモにはしっかり聞こえており、「どういたしまして」と答えると、更に顔を赤くしてセリスティアの後ろに隠れた。


ルミナリスは恐らく吸血族とエルフ族のハーフなのであろう。


この世界ではハーフは両親のどの種族からも迫害される事がある為、【忌み子】とされて嫌われている。

しかしカンナギ村でもハーフの子供は数人いる為、俺はハーフだろうがなんだろうが気にすることはない。


ルミナリスの見た目は銀髪に少し尖った耳と桃色の瞳を持ち、アルフレッドと同じ黒を基調としたローブの下をかぶっている。


それぞれ自己紹介を終えて、これからどうするのか聞こうとした時、ルミナリスのお腹が鳴った事で彼らをカンナギ村に案内して一緒に昼食を食べることになった。ついでにルミナリスはお腹が鳴った時、ものすごく顔を真っ赤にしていた。






ちょっと変な終わり方でしたけど次回に続きます。


今度は一週間ぐらい投稿が空くかも知れません。

それでは(^-^)/

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