プロローグ1
どうも新人の炒豆きな粉です。至らない点もあるでしょうが、より良い作品を作るためにご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。
ある日、地球から二人の男が死んだ。ほぼ同時刻に二人は死んだ。それを見た少女はポツリと呟いた。
『彼らなら、もしかしたら……』
少女がそう呟いた言葉を、誰も知らない。
-日本国内某所-
「ふぁ〜……徹夜し過ぎたかな?」
欠伸をしながら今通っている高校に竹刀を入れた袋を手に登校途中の彼、草薙 輝は普通の高校生とは違っていた。
彼は幼少の頃から、彼の実家の武術道場、草薙流の門下生であった。
草薙流は刀術から槍術、弓術、小太刀術などや、柔道、空手、合気道などの体術等、様々な武術を修めており、最強の武術道場として知らぬ者はいない程、有名だった。
そんな草薙流で、輝は天童と言われる程、武術の才能があった。
齢4つにして、刀術、小太刀術、柔道、合気道の奥義を習得、10歳になる頃には、草薙流の技をほぼ全て習得していた。
そんな彼を、彼の父親である現草薙流当主、草薙 敏夫はそんな彼を調子に乗らない様に厳しく、そして親愛を込めて育て上げた。
その甲斐もあって彼はちゃんとした人格者として、文武両道こなせる人間に育った。
輝は周りに威張り散らす事もなく、武術もしくは勉強を教えて欲しいとお願いされると、相手がちゃんと理解するまで教えてくれるので、周りからも好意的な印象を受けていた。
彼だったらどんな困難でも、乗り越えられる!とすら言われていた。
しかし、世の中にはどうしても太刀打ちできない出来事と言うものは存在する。
彼も例外ではなかった。
「えーと、今日の予定は帰ってから他の門徒生の稽古をしてから試合を見て、直したらいい点を徹底的に直す…ってところかな」
輝が今日の予定を脳内に組み立て前を見ると信号機が点滅していた。
輝はその場で止まり、次に渡ろうと考え、足を止めた。
その時それは起こった。
まだ歩道を渡っていた小学生がこけてしまった。
道路の向こう側からは、トラックが子供に気づかないのか、猛スピードで走って来た。
周りの人々は悲鳴を上げたり、トラックに向かって「止まれっ!止まってくれ!」「マズイぞ!止まれ!」と叫んでいるがトラックのスピードは落ちない。
そんな中、輝はトラックの運転手が眠っているのが見えた。
明らかに居眠り運転だ、しかしこのままではあの小学生の子供が轢かれてしまう。
輝は手に持っていた竹刀袋とカバンを捨て、走っていた。間に合うかどうかの距離だったが、何も出来ないまま自分の目の前で人が死ぬのは御免だ。
そしてトラックに怯えて、目を力いっぱい瞑っている子供に手が届いた時、トラックは既に目前まで迫っていた。
(クソッ!だったらこの子だけでも!)
そう思い輝は子供を掴んだ手を引き、通行人達に向かって投げた。
その直後、輝の全身に激痛が走りまわった。
脚は曲がってはいけない方向に曲がり、肋骨は砕けて呼吸をするたびに激痛が走る。頭からは大量の血が流れている。
しかし輝は朦朧とする意識と激痛を我慢し、投げやった子供に視線を向けた。どうやら通行人達がちゃんと受け止めたらしい。こけた時の擦り傷以外、外傷は無かった。
(よかった、あの子は助かったのか)
それを確認した輝は朦朧とする意識の中、安堵したとともに意識を失った。
その日の昼前のニュースである交通事故のことが報道されていた。
『本日、午前8時頃○○県○○市でトラックが人を跳ねる交通事故が起きました。
跳ねられたのはかの有名な武術道場である草薙流の草薙 輝さんであり、事故の原因はトラック運転手の居眠り運転であり…………』
その日、草薙輝は、死んだ。
-同時刻、日本国外某国-
そこは地獄の様な場所だった。
辺りには黒煙を巻き上げながら炎が燃え盛り、大小様々な瓦礫が転がっていた。
その様な場所に、右脚と左腕が無く、全身血だらけの老人エージェントがいた。
「全く、…老ぼ、れ相手、にこ、こまですると、はのぉ…」
老人は忌々しげに呟き、自身の傷の状態を冷静に確認した。
腹には銃弾を数発くらい、右脚と左腕は関節より先は炭となり、全身は酷い火傷で全身覆われていた。
老人がエージェントになったのは40年以上昔だ。
その当時彼はとある孤児院で暮らしていた。
その孤児院は、戦争で親を失った子供たちが暮らしており、彼もその中の一人だった。
孤児院の生活は苦しくはあったが、お互いに支え合って生きでいたので、楽しくもあった。
しかしある時、彼の人生に大きな変化をもたらす事件が起きた。
その日、彼は1人で孤児院近くの街に買い物に出かけていた。
そして買いたい物を買い終わり、孤児院に戻ろうとした時、孤児院の方から煙が上がっているのが見えた。
彼は急いで孤児院に戻ってみると、そこには爆破され、変わり果てた孤児院があった。周りに注意して、「誰かいないか!返事をしてくれ!」と叫ぶも誰も返事をしなかった。
その後、街の大人達が来て生存者を一緒に探してくれたが、見つかるのは死体ばかりだった。
後で知った事だが、孤児院を爆破したのは、自爆テロリストの構成員だった。
それから暫く彼は泣いていたが、とある男が彼の前に現れ、彼にある事を聞いた。
「お前は大切なものを守るために、人を殺す事ができるか?」
その言葉を聞いた彼は、
「大切なものを守るためなら、みんなから嫌われようと、殺してみせる」
と答えた。すると男は「答えとしてはまだ足りないが、気にいった」と言い、彼は男の弟子になった。
それから彼の人生は変わった。
彼を拾った男はその当時最強のエージェントとして裏の世界では有名だった。彼からは様々な戦闘技術や
知識を叩き込まれた。
毎日毎日血反吐を吐きながら彼は男を師匠と呼び、教えを全て叩き込まれた時、彼は師匠以上のエージェントをなっていた。
師匠が寿命で死ぬ直前に彼は師匠から裏の世界での名をもらった。
【 サーフィス】、それが彼の裏の名前になった。
それから数十年後、彼はある組織の根絶する様命令を受けた 。
その組織は世界を混沌に陥れる様なことを実行しようとしていた。
老いた身体に最後の命令を遂行する様に鞭打ってその組織を根絶させるのに成功したが、敵が最後の足掻きと発動した拠点の爆破に右脚と左腕を失った。
「やっ、ぱり、碌な、死にか、たをしなかっ、た、な」
だか、最悪の結末は回避できた。
後の世は若い奴らに任せることにして、老体は死にゆくまでだ。
(後は任せたぞ、若き英雄たちよ)
そして、最強のエージェントが死んだ。
自分で読んでいて違和感を感じたので、少しばかり変えました。
次の話は初投稿したものと比べたらだいぶ変わっていると思います。