喋った。
【12月】
12月。
暗い道も輝くイルミネーションによって明るく照らされている。
皆が浮足立つ、そんな月。
「ひよちゃーん!」
「んー?」
楽しそうに駆け寄って来たのは放送部の部長、福井更紗。
「あんな、皆でクリスマスにカラオケ行こうって話しててん!」
クリスマスか。予定が入ってると言いたいところですが何も入っておりません。残念。
「いいよ!メンバーは?」
にこりと笑って答えると更紗はいつの間に連れてきたのか後ろの2人を指差した。
凛ちゃんと副部長、西山奈津。そして更紗と私って訳か。
まぁ順当なメンバーですな。うるさい組。
「七瀬も行くって?」
「行くよー!」
「やったー!何気にこのメンツ初めてちゃう!?」
「やな!」
わいわい話しながら廊下を歩く。
クリスマスはもうすぐそこ。
イルミネーションは皆で見るよな。
別に、何も期待してないよ?
塾の冬期講習は取らなかった。
クリスマスに塾がないのは嬉しいけど、少し望月くんに会いたいって思う。
廊下ですれ違って何言か交わしたりすることはある。
でも、次第にそれだけじゃ満足しない自分がいることに気付いてしまった。
今日は冬休み前最後の部活。
ほとんどの部活が今日で終わりだったはず。(2学期中ではね。冬休みは大抵どこの部もあるんじゃ。)
だけどあのお方は部活しないからなー。
「日和先輩!」
後ろから弾んだ言葉が飛んでくる。
「ん?なあに?」
後輩のかりんちゃんだった。
なるべく威圧感を与えないよう軽く答える。
「あの、一緒に帰ってもいいですか?」
「うん!いいよ!」
先輩と一緒に帰るなんて私にはかなり理解しがたいことだ。
でもまあ慕ってくれてるってことかしら。ありがたい。
「じゃあこれで2学期の部活は終了しまーす!お疲れでしたー!」
更紗がはきはきとした声で放送部の今年の活動終了を告げる。
「終わったー!」
「七瀬、帰ろー!」
「うん!」
「凛花先輩、一緒に帰ってもいいですか?」
「全然いいよ!」
おい私のときと声のトーンが違うじゃねえか。
校門をくぐって外に出る。
少しピリッとした空気が肌に纏わりついてきた。
「ひよちゃーん!バイバーイ!」
「バイバーイ!」
別方向の友達に大きく両手を振り、校門を左に曲がる。
「…!」
完全に気が抜けていた。
望月くんが、卓球部のメンバーとそこにいたのだ。
完全防寒なの可愛い…じゃなくて!
ガッツリ目合いました。やべえ。
な、何で今日に限って部活しちゃってんの!!いつもサボってるくせに!!
口から声にならない吐息が漏れた。
まだ互いに目を合わせたまま、かける言葉を探す。
バ、バイバイ?とか話しかけてもよいものか…。
「そっか、家そっちか。」
キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!
「う、うん。そうだよ。」
「そ。…じゃあな!」
「バイバイ!」
家の方向さえ合ってれば一緒に帰ってくれるんでしょうか。
ならマンションごと貴方の家の隣に持って行きましょうかね。
「ごめんごめん!」
少し先で止まっていたかりんちゃんと凛ちゃんに走って近付く。
「先輩。」
「ん?」
「今の人が彼氏ですか?」
かりんちゃんが真剣な顔で問うてくる。
「はぁあ!?ち、違います違います!!」
そりゃあ彼氏になってほしい人ではあるけど!!
「うん、今のがこいつの彼氏やで。」
「お前適当な事言うな!」
望月くんと話してるときに2人がこっちを見てるのは気付いてたけど…。
まさか井川のやつ余計な事吹き込んだな!
そんなこと言ったら好きな人バレるやないかーい!!
「か、かりんちゃん今の人はほんと違うからね。」
「いや、彼氏やで。」
「そうなんですか。」
「だから違ーーーう!!!!」
冬空は冷たく、暗いけど。
私は暖かく、明るくやっていけそうだ。




