デートです
デートします。
先生はイケメンだ。
靴も服も何でも似合ってしまう。
さっきから男女ともに先生を見ている。
「せ、じゃなくてライ様は皆の注目の的ですね。」
「ストラ君は自分も見られてる自覚が無いみたいだね。」
「は?見られてるのは先生でしょ?」
「女の子の格好をしているストラ君は天空から舞い降りた天女のようだよ。」
恥ずかしい。
ケーキ屋さんでケーキを買ってすぐに宰相様を先生が追い返してしまったから、私を助けてくれる人が居ないのです。
人からは見られるし先生は恥ずかしいこと言いまくるしスカートはスースーするし居たたまれなくなって、赤面してしまう。
私が赤面すると先生は滅茶苦茶嬉しそうな顔するし………居たたまれない。
しかも、いつの間にか先生は私の事をストラ君と呼んでいる。
ストラーダよりストラの方が女の子っぽいってのは解る………でも、しっくり来ない。
私の名前の道をイタリア語にしたのがストラーダだ!
だからストラーダは受け入れられた………ストラって何だ?
「ストラ君はどうでも良いこと考えて現実逃避かな?」
「黙っててください。」
「可愛いな~。」
先生は私の手を突然握るとニコッと笑った。
先生の笑った顔好きだよ~。
私は仕方なくそれを拒否するのは止めた。
「嫌がらないの?」
「今日はデートなんでしょ。こんな格好良い男と手を繋いで歩けるなんてラッキー……………って脳内変換してるんですから変態発言は控えて下さい。」
「………」
先生は暫く黙ると言った。
「今日はデートだし、君の我が儘を全て叶えたいな。」
「我が儘ですか?」
「何でも言って良い。」
私は先生の顔をのぞきこむ様に見上げた。
「そんな顔されるとキスしたくなっちゃうんだが?」
「ダメだから…」
「ダメかい?」
「ダメに決まってるでしょうが。」
先生は拗ねた様に口を尖らせた。
いい大人の男がなんて顔してるんだ。
それが可愛く見えるのは先生がイケメンだからに違いない。
「先生!」
「ライガイヤ。」
「ライ様、自分はお腹が空きました。」
「じゃあ、どっかお店に入ろう。」
「コジャレてないとこが良いな~ジャンクっぽいのが良いです‼」
「了解。」
先生は私と手を繋いだまま歩きだした。
先生が連れて来てくれたのはホットドックに似た食べ物のお店だった。
「先生じゃなくてライ様!美味しい。」
「君が喜んでくれて俺も嬉しい。」
先生は優しい笑顔を私に向けた。
先生最近笑顔が多いな~。
私が先生の顔を見てると、先生は嬉しそうに言った。
「キスしたくなったかな?」
「なりません。」
「でも、俺の顔好きだろ?」
バレてる。
「キスしたらもっと近くで見れる。」
「近すぎて見えないと思うんですけど?」
「………本当に頭が良いよね。」
「ありがとうございます。」
先生は溜め息をつくと苦笑いを浮かべてホットドック見たいな食べ物を口に頬張った。
私も残りのホットドックにかぶりついた。
「ハムスター。」
「………先生に言われたくない。」
「また、ライガイヤ。」
「ライガイヤ。」
「………もっかい言って。」
「バカ。」
「………もっかい言って。」
「………どっちを?」
「両方?」
「バカでしょ?」
先生はクスクス笑った。
私もつられて笑った。
その後、先生と私は街をぶらぶら歩きデートを楽しんだ。
自分達の部屋に帰って来た頃には私はかなり疲れていた。
夕飯やお風呂がすんで直ぐに私はベッドに潜り込んだ。
「道君?なんで俺のベッドに居るのかな?襲って良いのかな?」
「ダメに決まってるでしょうが。」
私は先生のキングサイズのベッドの中から言った。
「前に先生が大きいベッドは疲れがとれるって言ったんでしょ?自分疲れたんで今日はここで寝ます。」
「俺、理性がもつ気がしないけど?」
「先生は………本当は嫌だけど自分の臭いのする自分のベッドで寝て良いですよ。」
「………」
「やっぱり嫌ですか?」
「………仕方ないね。今日は道君のベッドで寝るよ。」
「あんまり臭い嗅がないでね。」
「無理だよ。」
疲れに負けて自分のベッドを犠牲にしてしまったが、その日は先生のキングサイズのベッドでゆっくりと疲れを癒したのだった。