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彼女   ライガイヤ魔導神目線

先生目線です。

道君がガンフの奥さんに連れていかれるとガンフは俺に笑顔を向けた。


「ライガイヤ様の今日のお召し物は濃紺ですね。隣を歩かれることを考えれば水色か青色あたりですかね?」


ガンフはそう言いながら水色と青色のワンピースを持ってきた。

どちらも道君に似合いそうだ。

俺がどちらにするか悩んでいると横に居た宰相であるウィンシャスが顔をひきつらせながら言った。


「ストラーダに何をさせる気だ?」

「ストラーダ君は女の子の格好がよく似合うんだよ。男三人でケーキ屋なんてサブいだけだろ?」

「………ストラーダが可哀想だろ?」

「………スカートは苦手みたいだな~歩き方は綺麗だから似合うんだけどね………青い方にしよう。ガンフ。」


ガンフは髪飾りやネックレスやイヤリングなどを選んで俺に見せた。


「この店は何でもあるな。」

「これは妻の手作りですのでリーズナブルですよ。」

「貰おう。」


その時、店の入り口のドアが開きモアが帰ってきた。


「あら、ライガイヤ様に宰相閣下ではないですか?」

「お邪魔してるよ。」

「ストラーダ様は?」


モアは俺の後ろをキョロキョロと見ていた。


「奥でアンナが髪を結っているよ。」


ガンフの言葉にモアの瞳が輝いた。


「お父さん、その手に持ってるのストラーダ様用?私が持っていく‼ライガイヤ様こんな面白いことするなら早めに言って下さいよ!メイクまでバッチリしてきますから楽しみにしてて下さいね。」


モアはガンフの持っている服と小物を持って奥の部屋に消えていった。


「あれは時間がかかりそうですね。」

「可愛いストラーダ君を見れるなら俺は待てるよ。」


俺は楽しみで顔がゆるむのをおさえられずに居た。





小一時間がたつころウィンシャスが暇そうに言った。


「いつまでかかるんだ?」

「遠慮せずに帰って良いぞ。」

「ここまで待って帰れるかバカ。」


ウィンシャスは道君の事を男だと思っているわりに気に入っているみたいでムカつく。


「お待たせしました。」


待ち人の声が聞こえて振り返るとそこには天使が居た。

清楚系の青色ワンピースに青色の髪止めが腰まである黒髪を神秘的に見せている。大きな黒い瞳が化粧の効果で更に大きく見える。

可愛い。

殺人的に可愛い。

思わず抱き締めたくなる。


「ストラーダ君!可愛い。」

「ありがとうございます。触んないで下さい。」

「デレツン。」


ウィンシャスを見れば呆然と道君を見ている。


「ウィンシャス、誉めて上げたらどうなんだ?」

「え?………」

「無理に誉める必要ないですよ。」


道君の言葉にウィンシャスは少し慌てて言った。


「あ、い、今のストラーダなら抱ける!」

「無茶苦茶嬉しくないです。」


道君が滅茶苦茶嫌そうな顔をしている。

道君はゆっくりと俺の横に立った。


「さあ、ケーキ屋さんにレッツゴー!」


俺が腕を出すと道君は躊躇わずに俺の腕にしがみついた。

可愛い。


「ストラーダ君は可愛いな~。」

「先生!自分が可愛いんじゃなくてモアさんとアンナさんが素晴らしいんです!」

「……今日は先生呼びは止めよう。ライガイヤ。言ってごらん。」

「………」

「嫌かい?」


道君はニコッと笑うと言った。


「嫌じゃ無いですよ。ライ様。」


可愛すぎる~‼

抱き締めてキスしたら怒るだろうな~。

ついつい手をわなつかせると道君が嫌そうな顔をした。


「必要以上の接触は控えて下さい。」

「まだ、なにも言ってないよ?」

「良からぬ事を考えてる顔してましたよ。」

「鋭いストラーダ君も好きだよ。」


道君は諦めたように笑った。





ウィンシャスとショーケースを覗く道君を見ているとやっぱり少なからずムカツク。

だけど、俺は基本甘いものが苦手だ。

だからこそあの二人の間には入っていく気にはなれない。

道君のスカート姿を遠目から見たいと言うのもある。


「せ……ライ様は?」

「俺はいい。甘いの苦手。」

「……………じゃあ、後でライ様専用クッキーを焼いてあげます。好きでしょ?」


道君はよく俺のためにクッキーを焼いてくれる。

甘さをおさえたクッキーは俺のためだけの物で、優越感を刺激する。


「好きだよ。クッキーもだけど、ストラーダ君も。」


そう言って笑って見せると道君は可愛く頬を染めた。

道君はどうやら俺の顔が好きなようで、たまにこうやって赤面してくれる。

それも可愛くて抱き締めてたくなるんだ。


「可愛い。」

「バカ。」


道君の一挙主一同が俺の心を満たしていくんだ。

初めて彼女を見たのは、彼女が中学生で俺は遠見の鏡で異世界を映し出していた。

一目惚れだった。

美しくも強く生きる彼女に惹かれた。

彼女の弱い所を見れば、更に惹かれた。

守ってあげたい。

側にいたい。

だから彼女の高校の教師になって近づいて、仲良くなって………

今にいたる訳だ。

彼女が俺を好きになってくれたらどんなに嬉しいか彼女は知らない。

笑いかけてくれるだけで幸せで、嫌われたらと思うと柄にもなく不安になる。

こんな変態な俺にも笑いかけてくれて、俺の側に居てくれて………

彼女に拒絶されたらきっと俺は死ぬんだろうな。


「先生?具合悪い?」

「ストラーダ君の゛バカ゛って言葉を噛み締めてた。」

「………バカ。」


本当に俺はバカなのだろう。

彼女にそうやって言われるだけで嬉しくなってしまうんだから。

思わず笑うと彼女はポンっと赤くなった。


「イケメンムカつく。」


本当に可愛い。

抱き締めてキスして服を脱がしたい。

欲望が漏れ出しそうだ。


「余計な事を考えてる顔してますね。近寄んないで下さい。」

「感が良いところも好きだよ。」

「黙っててください。」


ああ、彼女は何時になったら俺を受け入れてくれるんだろう?

俺は沸き上がる欲望を押さえ込んで笑顔をつくるんだ。

こんな感じです。

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