軽口
下ネタ風の会話があります。
ご免なさい。
先生が連れてきてくれたモアさんは40代ぐらいに見える美人さんで茶色の髪の毛に茶色の瞳は大きく、きっとモテるに違いないと思わせた。
彼女は私を見ると目を見開いた。
「どこから拐ってきたんですか?このべらぼうに可愛い子。」
「異世界?」
「可哀想に、私は貴方の味方ですからね!」
モアさんは私をギュッと抱き締めてくれた。
「………もしかして女性ですか?」
「………はい。」
モアさんはまた驚いた顔になった。
「か、髪の毛は?まさか!この極悪非道な男に犯されてそれを苦に女の命の髪の毛を………」
うわ~モアさん凄いこと言った!
しかも、先生を指差して………
「まだ、ヤってない。」
「せ、先生……まだってなに?ヤらないよ?」
先生は無言でニコッと笑った。
無駄に格好良い。
モアさんは泣きそうな顔をして言った。
「酷い目にあったのね?私は貴女の味方よ!」
「その手の酷い目にはあってません!先生!ちゃんと説明!」
「………モア、彼女は女性であることを隠している。だから君が力になってやってくれ!」
先生は説明を放棄した!
女性が髪の毛切るってそう言う意味があるなら先に言ってくれよ!
だから、服屋さんの紳士も変なこと言ってたんだ………
私は面倒臭くなってきて言った。
「じゃあ、良いです。その方向で………なので自分は男の子になりきります‼」
「お手伝いするわ‼」
こうして私に年上の友達が出来た。
モアさんが仕事に戻ると先生は私の前に科学のテスト用紙を出して見せた。
「魔法と科学は似ている。俺の授業を受けるかい?」
「勿論!」
先生は私の興味をひくのが上手い!
先生の講義を聞いたあと科学のテストをした。
「さすが道君。満点だ!」
「やった~‼」
先生は優しく私の頭を撫でてくれた。
その時、部屋のドアが勢いよく開き王宮魔法使い様が大量の書類を持って入ってきた。
先生はサッと視線をそらした。
「ライガイヤ様!こちらに目を通してサインを御願いします!」
「………面倒臭い………」
先生、小さく面倒臭いって言いましたね?聞こえましたよ。
「重要な書類だけをお持ちしました!僕も見張ってじゃないくて付き合いますから早くやって下さいね!」
王宮魔法使い様も見張るって言いましたよね?解りましたよ。
私は仕方なくお茶を淹れる事にした。
「先生、ここにお茶おきますね。」
「………うん。」
先生はやる気の無さそうな態度で書類を見てゆるゆるとサインをしていた。
少し離れた客用のソファーに王宮魔法使い様が座って先生を睨んでいる。
「どうぞ。」
「あ、ありがとうございますストラーダ君。」
私は少しだけ考えて言った。
「先生……」
「?」
「自分は初めてしりました。」
「……何を?」
「仕事をしている男性は格好良いんですね?」
「………」
「先生、ちゃんと仕事したらもっと格好良いんじゃないですか?」
先生は暫く黙ると言った。
「ストラーダ君は俺を操ろうとしているのかな?」
「操られてくれるんですよね?」
「………それ、俺に何の得があるのかな?」
「………ちゃんと仕事して早めに仕事終わらせたらハグしたくなっちゃうかもな~………いや、今の無し。」
無かった事にしようと思ったが先生はニッコリ笑顔になった。
「よし!やるか。」
「無し!やっぱ無し!」
「ストラーダ君からハグとはレアだよ!頑張ろう。」
「言うんじゃなかった………」
私が後悔にさいなまれていると、王宮魔法使い様が驚いた顔を凍りつかせていた。
男の子だと思われている私が始めたこの会話はかなりの衝撃だったのだろう。
「ライガイヤ様が………変態に……」
先生の変態は貴方の考えている変態とは違いますよ!
変態と言うカテゴリーなら正解か?
「ストラーダ君、お茶。」
先生に飲み終わったお茶の催促をされた。
私はおかわりのお茶を淹れてあげた。
見れば王宮魔法使い様もお茶を飲み干していて私はお茶のおかわりを淹れた。
「ど、どうも。」
「いえいえ、お疲れ様です。」
私はゆっくり笑顔を作って見せた。
王宮魔法使い様は私の笑顔に驚いた顔をした。
「ストラーダ君は俺のだから。」
「先生、そんなこと考えるの先生だけだから。」
「そんなことは無い!ストラーダ君は美人で可愛い!」
「あ~ハイハイ。」
先生は私の反応は気にもしないで、ニコニコしながら神がかった早さで仕事をこなしている。
それから30分ほどで大量の書類が片付いた。
書類が終わると先生は当然のように王宮魔法使い様を部屋から蹴り出して私に腕を広げて見せた。
「さあ、どうぞ!」
私はしぶしぶ先生に抱きついた。
「幸せだ。」
その後先生に力いっぱい抱き締め返され首筋にキスされるはめになり、二度と軽々しい事は言わないと心に決めたのは言うまでもない。
明日は娘が遠足です!
親がついて行ける遠足はこれで最後です!