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鼻血

何時も読んで下さる皆様ありがとうございます。

騎士団の帰りウルさんが先生の執務室まで送ってくれた。


「ここで良いですよ!」

「いや、無事に送り届けたと報告しなければ俺がライガイヤ様………いや、俺の家族にどんな小言を言われるか解らんからな………一声だけかけて帰る。」

「そうですか?じゃあ。」


私はそのまま執務室のドアを開けた。

先生から『自分の部屋に入るのにノックなんてしないだろう?』って言われていたからノック無しでドアを開けた。

執務室の中では誰だか知らない女の人と先生がキスしている真っ最中だった。

私は一旦ドアを閉めてウルさんに笑顔を向けた。


「見ました?」

「あ、ああ、見えてしまった………だ、大丈夫か?」

「ははは~大丈夫です!あの女の人追い出すのでウルさんは帰って良いですよ。」

「そ、そうか?………だ、大丈夫か?」


ウルさんの顔色が悪くなってきている気がする。

私は満面の笑顔のはずだ。


「大丈夫ですよ~!先生が誰の者かちゃーんと教えてやりますよ‼」

「そ、それは、大丈夫なのか?………いや、ストラがやりたいようにやるのが一番だよな。が、頑張れ。」

「はい!勿論!」


私はウルさんが帰っていくのを見届けてからもう一度ドアを勢いよく開けた。


「ただいま帰りました!」


さすがにキスはしていなかったが女の人が先生に抱き付いて居る。

面白くない‼


「み、道君!こ…」

「先生煩いですよ!そちらの女性はどちら様でしょうか?」

「………わたくし、ルードリッヒ侯爵の長女のルアンダともうします。貴女は確か………ライガイヤ様のただのお弟子さんでしたわよね?私達のこの甘い雰囲気がお分かりになりませんか?邪魔でしてよ!」

「道君違っ…」

「先生煩い。」


ルードリッヒ侯爵令嬢は余裕の笑みで私の神経を逆撫でする。

私も満面の笑顔でルードリッヒ侯爵令嬢を見ると言った。


「自分、べつに弟子じゃありませんから!先生と親しい割には知らないんですね!」

「弟子じゃない?」


ルードリッヒ侯爵令嬢の顔が小さく歪む。


「弟子じゃないなら………貴女たしか少し前まで女の命である髪の毛を短く切って男の子のふりをしていたでしょ?そんなことまでしてライガイヤ様に近づいて恥ずかしくないの?それとも、本当に傷物なのかしら?教えて下さる?」


私は内心血管がブチ切れるかと思うほど腹が立った。


「自分が好きで男の子の格好をしていたんじゃなくて先生が自分を側に置きたかったから男の子の格好をさせていただけです!髪の毛は私が住んでいた所では長さなんて対した意味もなかったからだけです!自分が先生の側に居たかったからじゃなくて先生が!先生が自分を側に置きたかったんです!」


大事な事なので2回"先生が"って言って強調してみた!


「まあ、駒使いが欲しかったんですのね!こんな女として足りない人じゃなくてもう少しましな女が居たんじゃありませんの?」

「足りない?」

「足りないでしょ?胸とか色気とか。」


かっちーん

私は口元をヒクヒクさせながら言った。


「先生!先生が誰の者かハッキリさせたいので質問です!先生は私の者ですよね?はいかYesかワンで答えろ‼」

「ワン!」


先生の返しに上がりきったイライラが吹き飛び冷静な自分が帰ってきた気がした。

私はゆっくりと言った。


「先生、何故それを選んだんですか?」

「一番道君の者って感じがするかとおもって………駄目だった?」

「いや、良いですけど………自分が言えって言ったんだし……」


ルードリッヒ侯爵令嬢は悔しそうに下唇を噛むと私を睨み付けて執務室を出て行った。


「あんなんで出ていくなんて…………嫉妬した自分がバカみたい。」

「へ?」

「何ですか?」

「嫉妬してくれたの?」


私は慌てて両手で口を押さえた。

先生は嬉しそうにヘニャッと笑うと私を抱き締めた。


「嬉しすぎて鼻血出そう。」

「自分を抱き締めながら鼻血出すのは止めて下さい。」


私は暫く先生に抱き締められてからゆっくりと先生を見上げて言った。


「そろそろ離して下さい。」

「えぇー!嫉妬してくれたって事は俺の事好きって事だよね?それなのに?」

「先生の事は好きですが、話は別です。しなければいけないことがあるので離して下さい。」


先生はしぶしぶ私から離れた。

私はそんな先生の手を掴むと先生の椅子に先生を座らせてゆっくりとキスをした。


「消毒です。次、浮気したら許さないから。」


先生は驚いた顔をしてから私に抱き付いて詠唱をして先生の寝室に移動。

躊躇う事なく私をキングサイズのベッドに押し倒してキスをした。


「道君、浮気するなって言うぐらい俺の事好きなら………良いよね?」


先生は私を見下ろしながら不安そうにそう言った。

先生の事は好きだ。

誰かにとられるぐらいなら繋ぎ止めてしまった方が良いのかも知れない。


「………優しくしてくれる?」


私の言葉を聞いた瞬間先生は鼻血をふいた。


「ギャー!先生退いて‼」

「大丈夫!」

「全然大丈夫じゃないから!初めてが鼻血出した男とか有り得ないから‼退いて‼無理!無理無理無理無理無理無理無理無理無理!」


私は先生の鼻を思いっきりつまんでそう叫んだ先生をかなり凹ませてしまったが私だって女だ!

ロマンチックにとは言わないが、鼻血はさすがに無い。

先生が退いてくれたのを確認してから私は先生に治癒魔法をかけながら言った。


「先生は格好良んだから鼻血とか似合いませんよ。」

「出てしまったものは仕方ないじゃないかい?鼻血止まったら良い?」

「先生が冷静になれるまで無理ですね。興奮しすぎ、マジ引く。」

「泣いてもいいかな?」


この日私は先生と両想いになったのだった。


両想いになりました。

そろそろ終わります。

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