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救出

む、娘が……怪獣……

目が覚めるとまだ真っ暗な部屋の中だった。

先生………早く来ないかな~………

私は呑気にそんなことを思った。

その時ドアが開いた。

ゆっくりとした音に相手が先生ではないと解る。

先生が、私を連れ拐われて平常心でいられる訳がないんだ。

今頃、国ごと犯人殺すって言ってても可笑しくない……

先生の顔が見たいな~

先生に『道君』って呼ばれたい。

ギュッてして欲しい………


「………おい、お前話を聞いてるのか?」


ああ、この男、話をしていたのか?

髪の毛を掴まれた。

痛くない。

殴られた。

痛くない。

ああ、ヤバイやつだ。

痛みを感じていない。

脳が痛みを感じなくしているのは相当ヤバイ怪我をしてる時だって本で読んだことがある。

このまま死ねのかな~?

それなら、もっと先生に優しくしとけばよかった。


「お前を買ってくれる変態が決まったぞ。」


どうでも良いよそんなこと………

私は何の反応も返さなかった。

それにキレた男にまた殴られた。

その時、外が騒がしくなったのが解った。

ああ、やっとだ。

そう思った次の瞬間、バキバキボキボキボーンっと部屋の屋根が無くなった。

眩しさに目がくらみ目が開けてられない。


「火竜良くやった。お前が彼女の匂いを覚えてて助かった。」


ギャオーっとけたたましい叫び声を上げる火竜を確認出来たと同時に私は安堵から意識を失った。







次に目が覚めると、私は柔らかなベッドに寝かされていた。


「ストラーダ様良かった‼凄い怪我をしてましたがライガイヤ様が治癒魔法で治してくれたんですよ‼」


目の前に居たのはモアさんだった。


「直ぐにライガイヤ様を連れてきますからね‼」


モアさんは瞳に涙をいっぱいにして走って行ってしまった。




次に現れたのは国王様と宰相様と王宮魔法使い様だった。


「僕の教え子と宰相様の所の武官が本当に悪いことをしたね………本当にごめんね。」


王宮魔法使い様の謝罪に私は思った。

あのもう一人は宰相様の執務室に居たのを見た事があったな~思い出せなかったよ。

宰相様がゆっくりと私の頭を撫でようとしたが私はビクッと体を震わせた。

髪の毛を掴まれたせいで恐いと思ってしまったからだ。


「傷の調子はどうだ?」


宰相様の言葉にベッドに座ったまま軽く腕を回して苦笑いを浮かべた。

先生が治癒魔法をおこなったなら大丈夫に決まっている。

その時、部屋の中に血塗れの先生が現れた。

瞬間移動魔法だろう………

何をしていたかは何となく解るが触れては駄目だと思う。


「ライガイヤ、せめて着替えてから来いよ‼」


国王様が呆れたようにそう言った。

先生は自分の血塗れの服を見ると、私が良く使う洗浄除菌の魔法をかけてピカピカの服にしていた。


「道………」


先生は私の顔を見るとそこまで言って苦笑いを浮かべた。


「………全部俺のせいだ、ごめん…………道君」


先生は私に近付くと私の頭を優しく撫でた。

私は瞳から涙が溢れた。


「恐い思いをさせてごめん。」


先生は優しく私を抱き締めた。

ああ、先生だ。

漸く帰ってこれたのだ。

そう思っただけで涙が止まらなかった。


「道君。」


先生は無表情に涙を流す私の涙をキスするように拭った。

私は先生の顔に手を置くと遠ざけようとした。


「道君………」

「………」

「…………………道君。」


先生は気がついたみたいだ。


「道君、思いっきり泣かないと何時までたっても声が出ないよ。」


先生の言葉にさらに涙が溢れた。


「っ………ふぇ………っこわ…………こわか……ふぇ………」


先生はニコニコしながら私を抱き締めた。

ボロボロと子供みたいに泣く私の背中を先生は泣き止むまで擦ってくれた。

暫くして私が先生から離れると先生はニコニコしながら言った。


「道君、やっぱり結婚しよう。俺のお嫁さんに手を出そうなんて命知らずはこの世界には居ない。君が一番欲しいものも手にはいる。」

「自分が一番欲しいもの?」

「道君は本当の家族が欲しい。俺は君が欲しい。利害は一致している。それに、俺と君の子供なら可愛いに決まってる。」

「………………子供まで変態になってしまったらと思うと躊躇われます。」


先生はクスクスと笑うと言った。


「君が気にするのはそこだけかい?道君が優しい常識のあるお母さんになればそんなに心配いらないんじゃないかな?」


何だか先生の言葉がストンと心に落ちてきた気がした。


「………ちょっとまて、ライガイヤ。」


そこに声をあげたのは宰相様だった。


「今凄く良いところなんだけど?」

「お前の今の話だと………ストラーダは女みたいに聞こえるが?」

「道君が男だなんて一度も言ってない。」

「し、しかも名前まで違うのか?」

「………ああ、ついつい本当の名前まで知られてしまうとは………俺以外が道君の名前を呼ぶのは嫌なんだ。だからお前らは今まで通りストラーダって呼んでくれ。」


え?自分以外に呼ばれたくないだけ?

だ、騙されたのか?


「先生。」

「なんだい道君質問かい?」

「先生は自分のどこがそんなに良いの?」

「強いところも弱いところも、頭の良いところも俺なんかに流されないところも全部好きだよ。」

「じゃあ、先生と恋仲になっても今まで通りでいてくれる?」

「今まで………無理だね。解ってるだろ?」

「いや、ずっとじゃなくて………先生が自分にしようと思うことは自分には………大人過ぎると言うか………」


先生はニコっと笑うと言った。


「道君、ここでの成人は15歳だ。君の年齢から行けば結婚適齢期、子供の事を考えるなら今から子作りがベストじゃないかな?」

「まだ18なのに?………嫌だ恐い。」


宰相様達がかなり驚いた顔をしていて驚いた。


「道君のちっパイだって俺が揉んででかくする予定だよ。」

「ちっパイで悪かったですね!揉んでもらったところででかくなんてならないって皆言ってましたよ。」


先生はキョトンとした顔のあと言った。


「道君、科学的に言えば胸の大きさに必要なのは女性ホルモンだよ?ニューハーフは女性ホルモンを注射してほのかに胸の膨らみが出来る人も居る。って事で性的興奮による女性ホルモンの分泌から胸がでかくなるのは理論的に利にかなっているだろ?」

「先生、科学的に説明すれば自分が納得して胸揉ませると思ったら大間違いだからね………」

「え?駄目なの?」

「そのために調べたの?よるな変態。」

「ええ~………でも、何時も通りの道君に戻ったね。よかったよ。」


先生は私に優しい笑顔を向けてくれた。

嬉しかった。

やっぱり、先生が好きだ。 

私は先生にへにゃっと笑って見せた。


「道君、愛してる。」

「私は………嫌い……とは言いませんから安心して下さい。」

「滅茶苦茶ドキドキするんだけど?」

「病気ですか?御愁傷様です。」


先生は嬉しそうに笑ってくれた。

私は先生が好きだと気が付いてしまったことをどうやって隠そうか?そればかりを考えていた。

娘が熱を出しているのに寝てくれません………

私が眠いです。

寝て良いですか?

娘が許してくれません………グスン。

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