【Stealth】5 お前、なんで俺の家を知っている
本日は連続投稿です
「今日からお世話になります」
そういって抱きついてきた美少女に澪の動きは止まった。
ピキーンと止まった。朝だけに股間もピキーン。ってやかましいわ。
「(というか、この状況ナニ? 夢? 幻? エロゲ? )」混乱状態の澪。
十七歳の澪よ。君はエロゲは出来ないはずだ。猛省を促したい。
黒目がちの瞳に意志の強そうなやや太めの柳眉を持つ少女。
澪は、澪より顔立ちの整っている女性をほとんど見たことが無い。
一度あったが、霧島が役得してたし。(『二次創作なんて誰が書くか! 』参照)
澪に抱きついている美少女の名前は新堀唯。
そして。澪は御存知「Mio」こと御鏡澪。
「一度お会いしてみたかったのです。あんな素敵な物語を書く女性に」
美少女が言った言葉の『女性』くだりは澪の頭に入っていなかった。
というか、朝起きて、ドアを開けたら見知らぬ美少女が抱きついてきたら大抵の人間は混乱する。
「ヒャッハー! ベッドベッドッ! 」と寝室に引きずり込んで非道徳的行為に励むことは。多分無い。無いんだってば。
澪の手を握りながら熱く語る少女の瞳は同じ趣味を持つ仲間へのものだが、
その潤んだ瞳と快活かつ丁寧な言葉遣いに澪は。
「か、可愛い」
しっかりしろ。澪。
お前は童貞王になるんだ。澪。
マイナーやめたらお前は主人公じゃないぞ。澪。
「可愛い? 」
意味が解らず、唯は小首を傾げてしまう。白くつばの大きい帽子が、傾く。
「あ、いや、皮はやっぱりドラゴンの皮ですよね」何を言ってる。澪。
「くす。Mioさんって想像力豊かなんですね」
お邪魔します。唯はそういって澪の家の中に入ってきた。
何故か珈琲を出してしまう澪。「インスタントだけど」「いんすたんと? 」
唯ははしゃいだ。彼女はインスタントコーヒーを飲んだことがない。
「喜んでっ 頂きますっ Mioさんっ!!!!!!! 」
潤子や和代の貧乏アパート、遥の人外がゴロゴロのマンションと違い、
海上自衛隊の潜水艦乗りが家長を務めるMioの家は庶民にしてはやや大きく、小さいながらも庭があり、大きめのリビングもある。唯にとっては妖精の家だが。
加えて、澪の母、美緒の趣味はとてもよく、掃除が行き届いている。
唯の目から見ても清潔感があって、風通しの良い素敵な環境である。
「こんな小さくて素敵なお家であの物語が描かれているんですね」
インスタントコーヒーを飲みながらそうのたまう唯に澪は「は、はぁ」となんともマヌケな返答。
母の趣味の有線放送が流行の音楽を鳴らしている。「MMMですね」「あ。実は知り合いなんですよ」
澪はそういって胸を張るが、お前ほとんど活躍していない。
澪のスマートフォンには美玖、ミユキ、ミキの三人のアイドルと仲良く写真に映る澪と。
「この方は、Mioさんのお友達ですか」ちなみに、唯の発言は『恋人』を暗喩している。
基本的に唯の感覚ではあまり恋愛結婚は実感の沸かないものである。小説にはしているが。
「そいつは霧島。バラすけど、『フォッグ』だよ」「ええっ?! この方があのっ? 」
霧島はほとんどランキング上位に載る事はないが、多作で複数の日刊を確実に完結に導く手法と、マイナーメジャーを問わずに親しく付き合う態度を貫くユーザーであり、唯も好感を抱いている。
「もっと御年を召した方だと」「おっさん臭いのは認める」
澪はコクコクと頷き、最も重要なことを聞いた。
「で。ホーリーさん」「唯と呼んでください。Mio様」
バカでかいスーツケースを持った美少女に澪は疑問を口にした。
「お前。なんで俺の家を知っている」




