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Review(レヴュー)!  作者: 鴉野 兄貴
二次創作なんて誰が書くか!

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8 α+光陰戦隊CGMer+α(こういんせんたいシージーマー プラスアルファ)2nd

 「まぁ、舞台の『裏』は任せな」

副社長・大地は自信満々に言い放つと、

革だかゴムだかよくわからない素材で出来た手袋を嵌める。

副社長のその格好。……激しく。イタかった。


 警察が着るような防護服と腕にはよくわからない機械。

その機械の先は腰のスマートフォンに向けて太目のコードで繋がれている。

反対の腰に差しているのは一振りの日本刀。手裏剣まで持っている。

明らかな銃刀法違反である。というか、腰に差している銃はどう見てもホンモノ。


 「大地さん。なんすか。そのこっぱずかしいコスプレ」「バカ野郎」

歳考えてください。コスプレイヤーの義樹ですら目を丸くしてツッコミ。

副社長は顔を赤くして照れた。恥ずかしいなら変な服着るな。


 「沙玖夜社長。ベリーダンサーに転職ですか」

マジマジと社長を見る美玖に「もうすこしおなかがないと、ベリーダンスは栄えないわ」と真面目に答える社長。

その腰には40センチほどの透明な剣が抜き身でひっかかっている。

コスプレなら切れないはずなのだが、どう見ても切れる剣だ。

変な服を着て、身体中に紋様を描いた沙玖夜社長。

普段慎み深い格好しかしない彼女とは明らかに違う。


 「わかった。今回の件。全て色気でごまか」「その発想しかキミは出来ないのかい♪ 」

社長のぐりぐりを喰らう美幸だが、彼は既に新たな世界に目覚めている。

「こ、この痛み。か・い・か・ん」「死んでもいいよ? 」

社長は優しげに微笑むと更に激しくグリグリをかました。


 「舞台は任せた」社長が笑う。

三人は激しく不安だった。まさか刃傷沙汰にならないだろうなと。

常識人がブチキレルと逆にろくな事をしない。社長・沙玖夜はさておき、副社長・大地はヤバい。


 「美幸! 義樹! 」「はいっ! 」「はいっ! 」

想わず一斉に返事してしまう二人に微笑む副社長。

「ミトラさんと美玖を頼んだ」「「了解! 」」


 待機室にまで響く振動。始まってもいないのに会場は興奮のるつぼ。

「大丈夫。沙玖夜さんたちを信じよう」震える美玖を励ます義樹。

その声はしわがれており、とても唄える状態ではない。

声が安定するまでまだ時間がかかる。


 「口パクで乗り切るぞ」

美幸は堂々と言い放った。そのしわがれた声は決意が込められ早くも男の声になりつつある。

「ニセモノでも、この感動はホンモノにする。俺たちのラストステージだ」


 美幸、義樹はたった数ヶ月で彗星のように現れ、

美玖の地位を脅かす存在になった。というのは表向き。

アイドルを狙う狂信的な国家や宗教団体などから美玖を護るために雇われた女装の似合う同年代の護衛。それが二人だ。


 「まぁ、もう誤魔化しきかなさそうだけどな」「だから、MMMトリオは本日で解散だ」

重大発表を控えているコンサート。観客の皆は更なる進出を狙っていると信じている。


 「ミトラさんたちとも打ち合わせ万全」

欧州一といわれたグループと合同。実に豪華なコンサートだ。


 「みんな、MMMはミトラさんたちと合流、

御互いの研修生たちやその他のメンバー同士の人材交換って思っているのかな? 」

向こうのプロデューサーも可也のやり手と聞く。黒い噂はあちらもこちらも絶えない。


 「本当は人身売買のトレードみたいなものなのにね」「めったな事言うなよ」

後ろでガタガタと震える研修生たちが目に入った。

実は怖いのは三人も一緒なのだが、三人は大地や沙玖夜を信じている。


 「大丈夫。私が護ってあげる」

美玖は自分より年上であろう少女達に近づき、ウインクしてみせた。

美玖のその発言には根拠などない。だが、自信がある。絶対、巧くいく。

今、何かをするために社長と副社長は席を外した。自分もベストを尽くせばいい。


 「いこっか」

美玖は手を伸ばした。すっと義樹と美幸の手が重なる。

「皆も。早く」美玖は艶やかに微笑む。

先ほどまで震えていた少女達。すがりつくように美玖の手を握る。


 「バトル。開始ッ!!!!!!!!!!!!! 」

少女達は一斉に雄たけびを上げた。

同じやりとりが『あちらでも』行われているなど、三人は知る由も無い。


 光の洪水。音楽が身を震わせ、みなの足踏みの地響きがとどろく。

右手から美玖たち、左手からミトラたちが飛び出す。

背後の特大モニターがその様子を写し、その映像は全世界に中継される。


 小さな子供がTVを食い入るように見つめ、青年は街頭で脚を止めて恋人に睨まれる。

男たちは拳を握って興奮を抑え、女たちは憧れの瞳で彼女たちを見る。

そして。暗い闇の中で、彼女たちを選別する人の形をした魔物達が舌なめずり。


 美玖とミトラ。

声量、身のこなし、歌(必死で練習した)ともども御互い一歩も譲らず、それでいて完璧な調和をもって会場を沸かす。

御互いの視線が合う。口元がニヤリと動く。好敵手を見出した笑みに。


 二つのグループは一つになって会場を沸かした。

義樹の鋭い刀のようなキレのあるダンスに美幸のしなやかな動きが華を添える。


 「皆さん! 本日はありがとうございます!!!!! 最後はこの曲です!!! 」

美玖は口火を切る。ミトラも拙い日本語でパフォーマンス。御互い頷く。

光が皆を包み、音楽が大地を満たす。彼らは今、舞台を通して一つになる。


 ―― 「中の人なんていねぇよ!! 」 ――

研修生たちが、ミトラのバックダンサーたちが、会場の皆が一斉に叫んだ。


 同時に、ある闇の中で紋様を身体に描いた女の華麗な蹴りが人の姿をした魔物に炸裂した。

想いのこもった蹴りが、拳が、銃弾をものともせず揮われる。

硝煙とともに彼女に放たれた弾丸。

しかしその弾は異形のサムライの剣によって全て防がれる。

その異形のサムライは、副社長によく似ている姿だった。


 『世界の皆が見ている。俺たちのラストステージを』義樹は涙を堪えて歌う。

しわがれた声は音声を切ったマイクからは会場に流れないが、彼は歌うことを止められなかった。



―― 『天知る 地知る 汝知る ♪ そして皆も知っている ♪ 光陰戦隊CGMer ♪ 僕らはいつもヒーローだ!! 』 ――



 明るい音楽が分厚いコンクリートを突き抜け、闇の中にまで届いた。

バタバタと倒れる男たちの真ん中で二人の男女が微笑む。妖怪のような老人たちを前にして。


 世界のどこかで幼子が笑いながら歌った。

明日を知れぬ少年少女が其の思いを其の歌に託した。

舞台の上の少女達は光を背に、最後の戦いを始める。

溢れる絶望に。一歩も退かず。ただ、歌に。踊りに全てを込めて。

ミトラと美玖。二人の母国語訳の歌が同時に響く。


『涙のない世界作る それがこちらの正義だよ 皆求めるのは平和な世界だ 戦いなんてもう嫌だ! 』

その想いに会場の、中継を見る人々の歌が、足踏みが重なる。

世界中で誰かが微笑む。世界中で誰かが輝く。世界のどこかで泣いていた人が微笑む。


『必要悪は名乗らない! これが僕らの正義だから 

まっすぐ一途に進んでく 動くことさえ厭わない 』


 !!!!!!!!!!!!


 その時。マイクの音が途絶えた。口パクを完全に合わせていた美幸と義樹。

しかし、ニヤリと笑う。彼らはそのまま、しわがれた肉声で歌いだした。


-―― 「中の人は救われた!! 」 ―――

小さな少女が異変に気がついた。そのまま歌詞を叫ぶ。


 触発されたのか、会場の皆が一斉に歌いだした。

『天知る 地知る 汝知る そして皆も知っている 光陰戦隊CGMer ♪ 一人で戦うわけがない! 』


 マイクが切れ、音声が途絶え、生演奏になったのに。

十代の少女達が奏でる楽器は相応に拙いのに。その歌もそうなのに。

会場は更に盛り上がった。強く。強く。


 そこに、美玖とミトラの台詞が入る。

「「そのロボットは戦おうとしません。

合体も変形もせず、無事に一つの戦いを終わらせました。

そして中の人たちもまた、彼とともに一つの苦難を乗り越えました。

しかし、"それ"はまだ動き続けるっ!!  」」


「「「「「「「「「「な、中の人なんていねぇよ!! 」」」」」」」」」」」

会場が、街頭が、テレヴィジョンやラジオの前の人々が一斉に叫んだ。


 『何のために戦うのか それすらも分からないけど 

戦いと称せるものでもないけど 進んでいこう、そうしよう! 』


 闇の中でその歌を聴く二人の男女。

頷き合い、歩を進める。その先には醜い姿を晒す老人たち。


『僕らの戦い続いてく 人の心を助けるよ 残った傷を癒すから さあさあ僕らを呼んでくれ! 』


 『天知る 地知る 汝知る 』

しわがれた声で唄いつづける美幸と義樹。

御互いアイコンタクトを取り、美玖とミトラの前に立つ。

打ち合わせにない連中が、舞台に侵入している。


 『そして皆も知っている 光陰戦隊CGMer 僕らはいつもヒーローだ!! 』

ステージに急に現れた暴漢たちに華麗な蹴りすねでボレーシュートを連続で極める義樹。

 そして影の様にはしる美幸が鋭いカンチョーを連続で極め、トドメを刺した。


 二人は一斉に叫んだ。


 「今日日の中学生を。

なめんな!!!! ゆとり!!!!! 」

ちなみに、所謂ゆとり教育は美幸達が4歳の時に終わっている。


 驚く美玖とミトラや他のメンバーたちだったが、

舞台上の演出であるかのように動いてフォロー。観客たちも大笑いしてスルーした。


 皆が応援している。何処の誰かは知らない。名も判らないけど。

彼ら、彼女たちの名前を心で。歌で。足踏みで応援している。

「まるで、アクセスを眺めるかのようにドキドキ」美幸はそう思って微笑む。


 美玖は後頭部に両手を伸ばし、両の手を組んだ。

鮮やかな光とともに、みんなの笑顔が光となって大型スクリーン上の美玖とミトラの両手に集まっていく。


 「いっけけええええええええええええええええええええええっ!!!!!!!! 」

しわがれた声で美幸が叫んだ。それに応える様に美玖とミトラ。二人が銃を撃つ仕草をする。


――― 『天知る 地知る 汝知る そして皆も知っている 光陰戦隊CGMer 僕らはいつもヒーローだ!! 』 ―――

リフレインとともに。皆の笑顔を乗せて。


 美幸は微笑んだ。最後の力を振り絞り、義樹に向かって親指を立てた。

義樹だけではない。『今度は』ミトラも美玖も、研修生たちやあちら側のバックダンサーたち、会場の皆が親指を立ててみせた。


 「皆さん! ありがとぉございましたああああああああああ!!!!!!!!

あたしたち、いえ、俺たち、本当は男なんですッ!!!! 

友人の美玖を護るため、紛れ込んでいましたッ!!!! 騙してごめんなさいッ!!!!! 」


 「皆さん。私たちのグループは、児童売買の隠蔽会社として生み出されました」

ミトラは決意を込めて呟いた。


 「でも、それも今日で終わります! 私は仲間達と共に新会社を立ち上げ、真のチャリティに生きます!! 」

鳴り止むことの無い拍手が、豪雨のように響いた。

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