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Review(レヴュー)!  作者: 鴉野 兄貴
小説家になれない!

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7 俺。男なんですが

 「ヤバいです。お気に入り100件越えましたよっ! 」

悠馬は喜びの声を上げた。これもMioと……悔しいが『フォッグ』のおかげである。


 悠馬はMioとの再デートに向けて某所にバイトに入った。

『バイトを深夜に二名入れるくらいなら強盗に入られたほうがマシ』とか、

『バイトは個人委託なので残業代は不要だ』とか親会社が言い張る牛丼&カレーの店である。


 悠馬は面接官に。

「俺には特技はありません! そのまま三十路になりました! ニートです!

ごくつぶしで生きている価値もありません! でも、惚れた女がいますッ! まだ告白も出来ていませんッ! 

ゴミでクズでどうしようもない俺ですが、だからこそ、仕事中に死んでも誰も心配してくれない自信がありますッ! どうか雇ってくださいッ! 」

と。訴えた。失礼極まりない。


 それでも面接に通ったのは親会社の態度が日本中に報道された所為でバイト希望者が激減し、深夜に入る奴がいないのと、

悠馬の素の発言がブラックジョークの類と解釈されて、面接官が気に入ったからだ。

彼はニートだ。社会経験のない悠馬はそもそも自分の発言が嫌味を通り越して侮辱だという自覚がない。

それに178センチで腹筋の割れまくった悠馬は見るからに強そうだ。実はヘタレなんて誰も気付かない。

堂々としてればヘタレでもバレナイ。まさに真理である。


 Mioの指導は的確でわかりやすい。文章はどんどん改正が入っていく。

それと同時にPVやユニークアクセスはうなぎのぼりにあがっていく。

書いたものがドンドン評価される。それは嬉しいことだ。しかし悠馬にはそれほど重要ではない。

PVが伸びない、ユニアクが伸びないより彼には大事なことがある。

この作品を完結まで書ききり、Mioに褒めてもらうことだ。


 仕事は、酔客の相手が不愉快だが、『求められている喜び』を初めて知った。

まあ。上からすれば残業代に文句を言わない丁度いい特攻役が出来たという考えなのだろうが。


 仕事をしているとなろうに投稿できない。

そう思っていた悠馬だったが、深夜のバイトは仕事の合間に色々なアイデアやきっかけをくれた。

時間が短い分、頭の中で推敲した物語にMioへの想いを込めて激しく叩きつけることができる。

ラブレターなんてヘタレの悠馬に書ける訳が無い。Mioから貰える感想。素直な感嘆。

アレのためなら、どんな事だって耐えられる。耐えてみせる。


 恋文ってなんですか? 悠馬はそれ以上のものを知っている。

熱い気持ちを乗せ、的確な言葉を選び、短い時間に投稿をする。

心が集まってくるのを感じる。妄想かも知れないが。



 「Mioさん。次のデートっすけど」

「デート? ……それより、俺。悠馬さんに謝らないといけないことがあるんです」

悠馬はカッコイイ服を買い、Mioへのプレゼントも買った。温かい店長や店のスタッフたちから激励を受けた。今度こそ告白する覚悟であった。

ちなみに。隠語的な風船ゴムも買った。あとココでは言えない玩具も。


 「は? ナニがっすか? 」

「……友達になって欲しいって言われて、嬉しくてつい。言えなかったんですが」

「Mikagamiって。俺なんです」「へ??! 」


 「男同士で遊園地なんて、普通に言えませんよね。気持ち判ります」

悠馬はMioがナニを言っているのかよくわからなかった。

「いや、デートなんだし、男同士じゃないっすよ」

「悠馬さんと遊ぶのが楽しくて、ついツイッターのアカウントメントとなろうのアカウントメントの名前が違うことを言えなかったんです」

年上なのに同じ目線で接してくれる悠馬に、澪は霧島と同じようにじゃれあい甘えてしまった。

自分がMikagamiなのを結果的に隠しているのに、女性とデートを楽しくやっていると報告する悠馬を見て、複雑な心境を澪が抱いてもおかしくもなんともない。


 「いえ、まったく問題ないです。明後日に言おうと思ってたのですが」悠馬は覚悟を極めた。

「澪さん。俺と澪さんでは。歳の差。あります。俺、フリーターです。小説も澪さんのほうが上手です。でも……好きです! 付き合ってください!! 俺は友達どまりで満足しない! 本気だします! 霧島より俺を選んでください!! 」

 悠馬は心の底から叫んだ。

「突き合ってください! 」それ。誤字だよな?


 「と、いうか、俺とけっこんしてください!! 幸せになりましょう! 」

店の奥から響く悠馬の声にお客さんがカレーを噴出してしまった。


 「えーと……」

Mioの電話の声はいつもより若干戸惑い気味だった。

「ですから、何度も何度も言っているのですが、俺、男ですよ」


 皮肉にも、その瞬間と同時に予約投稿していた悠馬の作品は完結を迎えた。

完結作品一覧に悠馬の『機械油まみれのシンデレラ』が掲載。その日はまだ夏休みであり、たまたま完結作品は少なく。


 店内で携帯電話を手にガラガラと崩れ落ちる悠馬の気分とうわはらに、

彼の作品は閲覧、評価されていく。


 匿名掲示板でのMio狙いの痛いコメントが晒されたのも加速した。

面白半分で感想欄を見に行った者も何気に覗いた悠馬の作品を閲覧。

思わず惹きこまれる内容に絶賛。ツイッターで、匿名掲示板で、まとめサイトで悠馬とMioの痛いやり取りが晒され、同時に『内容は良い』悠馬の作品は様々な人々の目に触れた結果、とある人間の目にとまることになる。

しかし、他の人から見ればラッキーな星の巡り会わせすら、悠馬にとってはどうでもよく。

目下の問題はMioの声を聞いただけで今尚ビンビンギンギンな下半身であった。


 「何でじゃアアアアあああああああああああああああああああああ!!!!!!!! 」

悠馬。南無なむ

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