4 エンジェル・フォール!!
連続投稿です
「き、き、緊張してきた」
ガタガタと夏場なのに震える悠馬。どうみても不審者か病人である。
悠馬はニートである。
就職先が見つからず計画留年と称して2度ほど留年。あげくに単位を落として、9月に卒業。
その後、美術系専門学校と言う名前だけ立派な遊び場に逃避して時間を潰し、
やりたいことがあるといいつつなにがやりたいか明言できないまま三十路になっていた。
悠馬がよく利用する『ネトゲ事故板』には不思議な習慣がある。
エロスレを見たら、レス数だけ腹筋しないといけないというルールである。
おかげで悠馬の腹筋はバッキバキに割れていた。
悠馬は痩せているので身だしなみを整えれば見れる姿になる。
2chのみなのアドバイスの力は偉大だった。
「女子高生と付き合おうとするロリコンめえ」「女子高生などババァ。幼女しかありえぬ」
「幼女が女子高生になったんだ」「その発想は無かった」
すぐアホな脱線にもつれこむのはあの板の住民にはよくあること。
悠馬は親父の若いころの服を引っ張り出してなんとかデートしても恥ずかしくない姿になっている。
ヒゲをそって髪は角刈りにした。おかげで頭がスースーする。
『ミョウバンスレ』の皆のアドバイスを受けた悠馬は、
自分で気づかぬ加齢臭対策として、首筋、耳の裏、脇や股間を丁寧にお湯と石鹸で洗ってミョウバン水。
にきび顔はため水三回。流水で三回の洗顔。水でふやけさせ、同時に油を水で流す。
顔そりをして丁寧に泡洗い後、またため水三回。流水三回。油分を一度飛ばし。
仕上げはミョウバン水三回で顔を洗い、保湿クリームを塗る。最後のミョウバン殺菌と保湿が要。
スタイリストスレや自分の部屋を晒すスレの住民のアドバイスを受けた悠馬は、
ただのキモメンから数日で激しくレベルアップを果たしていた。ひとえにMioへの想いの強さゆえ。
「あれ? あの板ってネトゲの板だったよな? 」
ネトゲの話題を、レスの節々に混ぜることはあるが、ネトゲのスレはほとんど無かったような。
無駄に皆博学だったりするのはどういうことか。
「ま。いっか」
気が紛れた彼はタバコを吸おうとして、手をとめた。
「そうだ。やめたんだった」彼は苦笑した。Mioにもてたい。貯金を少しでもするために。
彼の目の前で『美少女』が誰かを探しているかのように首を小刻みに動かしている。
そろそろ潮時。声をかけないと。
「こんにちは。はじめまして。かなぁ? Mioさん」
跳ね上がる心音に戸惑いながら、『Mio』の瞳を正面から見た。
「悠馬、さんですか? 」
Mioこと『澪』の瞳を。




