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「ナニコレ」
潤子再び。
詳しい内容は省くが、悲劇系のメイン小説の感想欄に
「こんな笑えない作品を書くならPを削っておいてやる! 」とか書いてある。
実際、『虹の都』側のPが減っていたが。
「暇? なの……? うーん」
思わずトイレで独り言の潤子。別の意味で電波出してると思われるから辞めろ。
こんな学校で自家発電してたら死を意味するぞ。
他にも。
「32歳でニートとか恥ずかしくないのですか」
(潤子は一言も無職とか書いた覚えはない)
「こんな作品を書いてあなたの親は泣いていますよ」
(そもそも数年の逃亡生活で会っていない)
潤子は心労に耐えつつ、丁寧に返信していく。
また着信の赤い文字がユーザーページの左上に。
「チンポ~! チンポ~! 」
潤子はすかさず「うんこうんこ~♪ 」と返信した。もはや人間の会話になっていない。
「……」
潤子は黙ってメッセージボックスをを空にした。
そして書きかけの悲劇をササッと書いてUPしておく。
「……申し訳ありません」
そういって爽やかに戻る潤子。学友が迎える。
「……和代御姉さまを見ませんでしたか? 」「それは」
戸惑う学友達に潤子はピンと来た。
「……アレは」
「潤子さんを愚弄する方は許さないと」
和代とテニス部のホープがテニスで一騎打ちをしているのだが。
……和代がフルボッコにしている。
「……カズちゃんに喧嘩うるから……」
「止めたのですが」「う……うちの御姉さまはああいう人ですから」
テニス部のホープがボールを打ち込む其の位置には既に和代がいる。
意味がわからないがいる。全ての動きを見切っている。
「(カズチャン。容赦ないな……)」
年齢的な理由で高校でスポーツ部に入っても活躍できない和代はここぞとばかりに鬱憤を晴らしている。
一方、テニス部のホープは素人と思っていた和代にフルボッコにされて泣きが入っていた。
「和代さんってテニスが御上手なんですね」
学友が苦笑いしている。上手どころか、向こうは県大会優勝レベルなのだが。
「ううん。中学の時にバトミントンしかやってないらしいよ」「……」「……」
どんだけチート。
「姉は運動能力も高いのですが、相手の心理を読んだり操ったりして相手を操る技に長けているようです」
……実際、そうやって潤子は和代に助けてもらっているし。
テニス部のホープはガリガリとスタミナと気力を奪われ、遂に和代の攻撃を許した。
「……」「……」「……」級友たちはこの姉妹を侮るのを辞めようと心に誓った。
「潤子さん。携帯電話は持ち込み禁止ですよ」「そうなんですか」
学友は一瞬の隙をついて、潤子からスマフォを奪い取った。
「……『虹の都』? あら」「(げっ?! )」
「それ、下劣ですけど、楽しいですよね」「は、はは……」
まさか書いている本人だといえない潤子。
「でも、この作者さんの悲劇も好きですよ。私は」「あ。ありがとうございます」
ニヤニヤと笑う学友。「あ……」
「御友達になってくれますよね? 」
有無を言わせない態度だった。潤子は泣く泣く首を縦に振った。
こうして、潤子たちはこの学園で夢のような日々を送るのだが……。
「明日。卒業式なんです。……逃げも隠れもしません。式が終わるまで待ってください」
……続く。




