α+光陰戦隊CGMer+α(こういんせんたいシージーマー プラスアルファ)
作詞:水鳴 倫紅
歌:ヴォーカ●イド各員と某病院の皆さん
拙作「すぱ☆ろぼ!!」イメージソング
――― 「中の人なんていねぇよ!! 」 ―――
少年が、少女が、某音楽ソフトの声が。『その歌』を歌いだす。
……同時に、華麗な蹴りが怪獣に炸裂した。
患者たちの、病院スタッフたちの想いのこもった蹴りが、拳が、手が、震える指が重なり、
「怪獣」を討つ。
その拳や、指や脚の持ち主たちのうち幾人かは、美幸達より先に『光の世界』に旅立った。
「……美幸っ! 見てるかっ!
エンディングだっ! 俺たちの『マーチ』最期の戦いだぞっ!! 」
大声で叫ぶ義樹。集中治療室の窓越しには。……美幸。
そして、担当医の指示を仰ぎながら、必死で美幸の命を繋ぎ止めようとする。小谷野。
――― 『天知る 地知る 汝知る ♪
そして皆も知っている ♪ 光陰戦隊CGMer ♪
僕らはいつもヒーローだ!! 』 ―――
明るい音楽が窓ガラスを越え、集中治療室にまで届いた。
ボケかけた老人たちが何度もつっかえながら覚えた。
幼子が笑いながら歌った。明日を知れぬ少年少女が其の思いを其の歌に託した。
「……巨大ヒーローなのに。なんで主題歌が戦隊なんだよ」
ウンザリして義樹の選曲に苦言を示したかつての美幸は、実際に上がってきた映像と歌に絶句した。
「これしか。コレしか。ありえない」
『マーチ』は街を背に、最後の戦いを始める。
溢れる魔物達に。一歩も退かず。ただ、護る為に。
『涙のない世界作る
それがこちらの正義だよ
皆求めるのは平和な世界だ
戦いなんてもう嫌だ! 』
その戦いに。皆の歌が重なる。
『マーチ』の雄姿に。
世界中の軍隊が動いた。
戦争をやめ、各々が武器を取り、魔物達に挑んでいく。
『必要悪は名乗らない!
これが僕らの正義だから
まっすぐ一途に進んでく
動くことさえ厭わない 』
ピンチになった『マーチ』と、魔物達の間に、
少年の両親が其の小さな身体を捨てるように間に入る。
学校の上からは『マーチ』を襲う魔物に石を投げた。かつてのいじめっ子たち。
そして。クラスの皆。教師たち。皆。皆。微笑んでいた。
避難したんじゃないのかっ! 叫ぶ『マーチ』と少年。
-―― 「中の人は救われた!! 」 ―――
患者や病院スタッフみんな、音楽ソフトの声が入る。
『天知る 地知る 汝知る
そして皆も知っている
光陰戦隊CGMer ♪
一人で戦うわけがない! 』
一斉に、皆が『マーチ』を護る為に投石を始める。
そこに、美幸の台詞が入る。
『そのロボットは戦おうとしません。
合体も変形もせず、無事に一つの戦いを終わらせました。
そして中の人たちもまた、彼とともに一つの苦難を乗り越えました。
しかし、"それ"はまだ動き続けるっ!!
「な、中の人なんていねぇよ!! 」 』
どっと笑い声が入る。病院のみんなだ。その中には『世話になった』あの左官と大工たちもいる。
『何のために戦うのか
それすらも分からないけど
戦いと称せるものでもないけど
進んでいこう、そうしよう! 』
警察が治安出動し、役場の皆が避難誘導をする。
消防署の職員が魔物の起こした火災に立ち向かい、機動隊が小型の魔物たちから少女を守る。
そして。
『僕らの戦い続いてく
人の心を助けるよ
残った傷を癒すから
さあさあ僕らを呼んでくれ! 』
総理大臣たちの号令で飛び出す飛行機。
大地を揺るがして駆ける戦車。
自衛隊の残存戦力が、『マーチ』を救うべく最後の戦いを始める!
『天知る 地知る 汝知る
そして皆も知っている
光陰戦隊CGMer
僕らはいつもヒーローだ!! 』
傷つき倒れた『マーチ』を両手を広げてかばう小さな少女、少年たち。
雄雄しく災害に、魔物に立ち向かう公務員たち。誇りを失わず避難誘導する大人たち。
親を、大人を信じて、非力ながらも皆を励ます子供たち。
自衛隊の集中砲火が、最後の魔物を貫く。
そして。斃れた『マーチ』の手が。親指が勝利を確信したかのように立つ。
……美幸の親指も。小さく動いた。
立ち上がったマーチは、
なおも暴れる最後の魔物から自衛隊とともに立ち向かう。
皆が応援している。名はいえないけど、彼の『名前』を心で。歌で。
『マーチ』は後頭部に両手を伸ばし、両の手を組んだ。
鮮やかな光とともに、みんなの笑顔が光となって『マーチ』の両手に集まっていく。
「いっけけええええええええええええええええええええええっ!!!!!!!! 」
意識不明だったはずの美幸が叫んだ。
『マーチ』の放った光の矢は。
――― 『天知る 地知る 汝知る そして皆も知っている
光陰戦隊CGMer 僕らはいつもヒーローだ!! 』 ―――
……リフレインとともに。皆の笑顔を乗せて、最後の魔物を打ち砕いた。
美幸は微笑んだ。最後の力を振り絞り、義樹に向かって親指を立て……ようとした。
ぱた。
『ピーーーーーーーーーーーーー 』




