Review(レヴュー)!!! ネバーランドの苺 プロローグ
川島美幸は知っている。
「ぼくは大人になる前に死ぬ」。
齢14にして、彼は既に割り切っていた。
……ワケがあるか。
小学生の頃まで元気に遊びあるいて、暴れて、友人を殴って、
好き放題していたワガママ少年が、ある日突然の病に倒れた。
美幸は「女みたいな名前」と言われるのを何より嫌がった。
だから、そういったやつは誰も彼もボコボコにしてやった。
今の身体ではそんなこと、望むことすら愚かしいのだが。
まぁそんなことはどうでもいい。目下の問題点は。
「おい。フランケン。用が済んだらさっさと出て行け」
「…… …… ……」
フランケンと呼ばれた青年は何か喋っているが。
「ウザい。喋れ」酷いことをいう美幸。
『フランケン』なる青年は小谷野というこの病院の小児科の研修医である。
小谷野は無口でシャイで晩生で小心者で有名だ。
よく解剖のある医学部を卒業できたな。と、美幸ですら思っている。
担当教授は苦労させられたんだろうとか、周りは思っているが、
小学生以上の知識のほとんど無い美幸にはどうしようもない。
どっちかというと押しだけなら、小谷野より、病に犯されているはずの美幸のほうが上だ。
それくらい、小谷野は晩生だった。美幸ですら、ちゃんと声を出せるか確認できていない。
『フランケン』ことこの小児科の研修医、
小谷野先生はその容姿(……どうみてもフランケンシュタインの怪物)に反して。
「子供たちを一人でも救いたい」と切に願って小児科になったという男である。
まさに夢を体現したといえる。美幸は「将来の夢」を持つことはできないのに。
小谷野のようなデカイ身体になることもなく、恋人も出来ず(恐ろしいことに小谷野にはいる! )、童貞のまま死ぬ。
いや、童貞はどうでもいいけど。童貞ちゃうわ! って言う前に死ぬ。
小谷野先生を語るとき。美幸曰く。「嫌いじゃねぇがデカイ。ウザい。(←ちょっと怖い)」
そんな小谷野はこの小児科では一番人気がある。とにかく無口で晩生。シャイ。
だけど、子供が好きで好きでたまらない。別に変な意味があるわけじゃねぇぞっ?!
ちなみに、デキ婚である。小谷野は知らないが、美幸の憧れの看護婦さんだったので嫉妬はMAXである。
「あ~?! その性格でデキ婚のお前にいわれたくねぇええ」
事あるごとに小谷野を苛める美幸。酷い患者だ。
でも小谷野先生は美幸に優しかった。
ほとんど見舞いに来ない両親より、美幸はなんだかんだいって小谷野が好きだった。




