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Review(レヴュー)!  作者: 鴉野 兄貴
ぱーふぇくと?らぶれたー!

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そのいち。徳永栞(トックリ)

 「部長は何処に消えましたかっ 」「トックリ。エスケープに決まってるじゃん」

2013年。春。神楽坂女学院改め神楽坂高校。別名神楽雑魚。早くも酷い渾名がついている学校。


 名門女子高と文武両道を是とする質実剛健の学校の合併はちょっとしたニュースになった。

後者は老朽化した校舎の建て直しのため、生徒全員が元神楽坂女学院に通う羽目になっている。


 そういうわけで、今年の天文部部室には『彼女』の意に沿わぬ人間がる。

即ち。『男』である。


 「新田さま。逃亡と決まったわけではありません」

『彼女』の名前は徳永栞とくながしおり。神楽坂高校三年IV組。通称トックリ。

 一応、議員の一人娘らしい。

もっとも、皆の認識は『神楽坂組の新堀さんの腰巾着一号』である。


 「トックリ。人間と言うモノはそうそう行動パターンが変わるわけでは無いんだよ」

そう返すのは天文部は企画係。新田にった芳伸よしのぶ。実家は寿司屋。粋を是とする好青年である。

「貴方ごときにトックリなんて呼ばれる覚えはありませんッ 」「おお。こわいこわい」

ケタケタ笑う新田。

対する栞は父親以外、男性とほとんど喋った記憶があまり無い。要するに、扱いに慣れていない。



 「そうそう。うちの不精ぶしょう。もとい部長は行動なんてそうそう変わらないって」

こちらは質実剛健を是とする『雷鳴館学園組』の元天文部部長。現在副部長の小早川こばやかわ

忍という名前の所為で女性と間違えられることしばしばだが、れっきとした男性である。


 と、いうか、神楽坂組の一年生女子の入部希望者は忍を見た瞬間に逃げる。見た目がゴツイのだ。

どう見ても『レスリング部部長』な忍だが、こう見えて賢い。むしろ喧嘩なんてしたこと無いとのこと。


 でも。怖い。激しく見た目が怖い。

普段は花壇の花を弄っていたりする。ギャップありすぎで余計怖い。

星の話や宇宙船の話をすると止まらない。宇宙オタクだ。むしろキモイ。

ちなみに温和な性格である。見た目で明らかに損しているタイプだ。


 「備品管理。報告書はこちらです」

事務的に忍に書類を渡す栞。いろいろあってこの手の資材管理は慣れてしまった。

巷では女子高生社長と噂のどこぞの莫迦部長()が部の物を私物化して自らの会社に持ち出したり、逆に会社の物をこちらの部室に無断で持ち込んだりするからだ。


 「おい。トックリ。お前ってさ」「徳永です。新田様」

「ツンツンしてて可愛いよなぁ。彼女いるのか」「……」


 そこは、想いびと。でしょう。

栞は心の中でずずーんと沈んだ。

むしろ『可愛い』と親族以外の男性に言われたことが無い彼女にとってその言葉の破壊力は筆舌に尽くしがたい。

一瞬ハイテンションになりかけて、地獄の窯に落とされて、ついでに壊れた自転車でヨハネスブルクまで地球半周の旅当選おめでとうのメールが来る程度には。むしろいじめだ。

男性が苦手な彼女にとって一番言葉をかわす機会の多い新田の発言なのが更に不味い。

新田青年に彼女がいない所以である。


 この高校の伝統ある天文部部室は優れた施設がある。

資材管理を仕事とする彼女は意外と忙しい。よって周囲の男性の目は意識して避けていた。

とうぜん、自分がどう見られているかも。把握していない。



 「もしかして。私は新田様の中では女性しか愛せない女とみられているのですか」「うん」

即答でかえってきた。即答でかえってきた。即答でかえってきたッ?!


 「いつも新堀さんかよくてハルカナル部長につきっきりだし」

「そうそう。シラアエとセットだよな」小早川まで追撃をかける。


 セット。

セット。セット。


 栞は野郎共の無神経な発言に思いっきり傷ついているのだが。

「腰巾着? 」「金魚のフンだね」


 「わたくしは。白川様は」

よりにもよって排泄物呼ばわりはない。


 「腰巾着ではありません」

それでも、平静を装ったのは立派だ。

「じゃ、付属物」新田は栞にトドメを刺した。


 新田には悪気はない。恨みなど即忘れる好漢である。

逆に、事細かに何事も日記に恨み言を綴りかねない栞との相性は最悪であった。


 「体調が急に悪くなりましたので帰ります」「それはいけないな。送っていくよ」

なぜついてくる。栞は本気で嫌がったが、新田には通じなかった。


 「雨、やんだよね」

気持ちよさそうに曇り空を見上げる新田に対して、栞の気持ちは相変わらず豪雨模様であった。


 「きゃ」

思わず滑りかけた彼女の手を握る新田。「あぶね」


 「一人で歩けますっ 」「おお。こわいこわい」

キャンキャン文句を言う栞を優しい瞳で眺めながら、新田は空を見上げた。

「明日は晴れるさ」「何を根拠にッ 」


 新田の目が栞の瞳を見据えて更に優しく細まった。

「可愛い女をからかうと次の日は晴れるんだ」

絶句する栞を尻目に「嘘だけどな」そういって自転車に乗る新田。


 「そういえば、出前手伝わないといけなかった。じゃな。トックリ」

栞はその言葉が頭に入っていない。

気がつくと一人で頬を押さえて独り言。物凄く恥ずかしい。


 「送ってくださるって。嘘ですか」置いていかれた。呆然とする栞。

新田の自転車の後部座席に乗る自分を想像してしまった彼女はブンブンと頭を振った。ありえない。

それでも腹が立つ。「新田様のばかああああああっ 」


 周囲の評価を彼女はあまり気にしない。

『新田の彼女』認定されている事も。知らない。

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