第二部。エピローグ
「かずひとさん」
唯の瞳から熱いものが流れる。この空間にはまだ重力が存在する。
「ありがとう。ございます。お慕いしております。お兄さま」
青い世界と黒い世界の狭間を飛ぶ飛行船は星の輝きと海の輝きの間で唯の瞳からこぼれる輝きを受け止めた。
……。
……。
「今回は足労だったな。和人」「もうカンベンしてくれよ」
霧島は悪態をつきながら、携帯電話を弄っている。更新予定時間が近くて修羅場なのだ。
「うちのお袋が迷惑かけたのは知っているからなぁ」
あの奔放な美女は本当にあちこちで迷惑をかけている。反面教師で息子は真面目になってしまった。
「あの時は私も若かった」「同い年の妹なんて真面目にカンベンしてほしいぜ」
真とその妻が恋愛結婚と信じる唯が知ったら悲しむと霧島は釘を刺す。
「いや、あれはだな。私と遥は友人同士なのだよ」「はぁ」
そこで何故霧島の母が出るかは不明だが、唯の母と真を取り合った間柄らしい。
「もげろ。俺はいまだ彼女がいないんだぞ」「あの綺麗な娘は」
澪のことを言われた霧島は苦笑した。「アレ。男だぞ。御鏡澪。俺の親友」
「きりしま。おとこはないちゃだめなんだぞ」
それでも泣き続ける霧島を後ろから蹴り飛ばす少年。遥。
何故かスカートを穿いた幼少の頃の澪と未来は片親だからと苛められる幼き日の霧島を庇ってくれた。
あのときの澪たちがいなければ、いまの自分は無い。
「文字を教えてくれたり、本を読んでくれたり、今では立場が逆転してますけど。いい友達ですよ」
そういって霧島は笑った。真は彼を強く抱きしめた。「大きくなったな。立派な男になった」
……。
……。
「加々見さん。傷、隠れた? 」
涙目の美和に苦笑する眼鏡姿の不細工な娘。『加々見』。
彼女の手の化粧用品が丁寧に美和の頭をなぞる。
「禿になっちゃったらどうしよう」美和は嘆くが、加々見は澄ましたものである。
「そうなったら、なんとかしますよ。逢坂先輩」
加々見はメイクと特殊メイクの達人らしい。
「凄いね。加々見さん。私の手の傷も身体の火傷も消えちゃってる」
潤子は不思議そうに自分の腕を何度も眺めた。本当に化粧なんだろうか。それほどに加々見の化粧は完璧な出来で潤子の全身の傷を綺麗に覆い隠してくれている。
「化粧は、女の子を幸せにするんです」
加々見はそういうと微笑んで見せた。「潤子さん。逢坂先輩。どうですか」
「あ、私も」和代は手を振り上げる。
「女にばっかりもてるんです。加々見さん」前々からの悩みを打ち明ける。高峰和代。
「あら」加々見がくすくすと微笑むと和代は頬を膨らませた。
「私じゃダメなの。カズチャン」「……審議中」
目を潤ませる潤子に、和代は口元を歪ませて見せ、潤子に見えないように少し笑った。
「みんなで綺麗に。幸せになりましょう」加々見はそういって微笑む。
「はーい! 」三人もまた幸せそうに微笑んで見せた。
「上出来です」加々見は笑う。
「『人間の』笑顔は最高の化粧ですから」
加々見はそう呟いたが、その言葉の意味を理解した者はいなかった。
……。
……。
「お前等ッ 愛してるぜッ! 」
義樹が叫ぶと、ステージからダイブしようとする。
必死で美玖と美幸が止めに入る。社長夫妻はそれをみて苦笑いした。
「澪タンッ! 澪チャンッ! 」
人には言えぬ悩みをここでも発散させる男がいた。勿論悠馬である。
……。
……。
私の筆は『彼ら』を描き。
アナタの瞳は彼らを見守る。
『彼ら』の筆は物語を刻み。
あなたの瞳の輝きが小さな物語に命を注ぎ込む。
感動はあなたのブログに刻まれ、またあらたな感動となって人々をいざなう。
それはキミとボクラを繋ぐキズナの物語。
『Trackback!! 』
第二部。完。




