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短編

鶏ささみって高レベルなの?

作者: 麻生あきら
掲載日:2026/04/23

『虚飾の水鏡』に登場する、ぬるい話担当の3人です。


能代秀之

現在活動休止中のゴシック系バンド『ルアード・ジャングル』のギタリスト。


斉川 淳

スリーピースバンド『エカルラート』のギター兼ヴォーカル


橘 晴臣

最近はプロデュース業がメイン。

 「遅れて悪いね」

 緩いウェーブのかかった黒髪を靡かせ、晴臣が右手を挙げた。


「地毛?」

 白髪隠しの短い金髪。秀之が眉を顰める。


「淳は真っ白だな……」晴臣が言う。

 淳の肩まで伸びた髪は、金よりむしろ総白髪。


 

 秀之の自宅スタジオに三人は集った。

 淳と秀之がユニットを組み、晴臣主宰のイベントに出演する。

 晴臣は打ち合わせを兼ねた訪問だ。


 

 ◇◆◇


 

 ゴスの帝王曰く

『ハゲは妥協ではなく、まさに王冠』


「やべえ、カッコ良すぎ」

「いや、でも、王冠?」

「輝いてるな」


 インタビュー記事が映し出されたタブレットを覗き込む。

 ほぼジジイの三人。


 

「尿酸値、気になるんだが」

「逆流性食道炎で喉がイガイガする」

「⋯⋯⋯」


 項垂れる二人をよそに、無言を貫く晴臣。


 

「もう、レバー食えねえ」天を仰ぐ秀之。

「唐揚げよ、サヨウナラ」遠い目をする淳。

「最近、“ゆし豆腐”なるものがあると知って気になる」微笑む晴臣。


 

「晴臣、一番不健康そうで健康だよな」

「相変わらずガリガリなのに」

「⋯⋯そうだねぇ」


 

 秀之と淳は還暦まであと少し。

 晴臣はすでに数年前に還暦を迎えている。


 

「体質?」

「なんで、そんなに健康?」

「元々、味の濃いものと油っぽいものは苦手だから。和食、美味しいよ?」


「大酒飲みなくせに」

「芋焼酎好きだよね」

「今は嗜む程度だよ? いや、いつまで俺を吊るし上げてんの? お前達の不健康は自業自得だろ」


「人間ドック行かないとな」

「この前胃カメラ飲んだよ……」

「全員煙草はやめたけどねえ」


 

 はぁ。

 三人同時にため息。


 

「明日ジムだわ」

「俺、ボクシング」

「そのままちゃんと続けなさい。その後飲みに行っちゃ駄目だぞ」


「「はーい」」

「オッサンが揃って、手ぇ挙げて返事すんな」

またしょうもないものを書いてしまった。

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