鶏ささみって高レベルなの?
『虚飾の水鏡』に登場する、ぬるい話担当の3人です。
能代秀之
現在活動休止中のゴシック系バンド『ルアード・ジャングル』のギタリスト。
斉川 淳
スリーピースバンド『エカルラート』のギター兼ヴォーカル
橘 晴臣
最近はプロデュース業がメイン。
「遅れて悪いね」
緩いウェーブのかかった黒髪を靡かせ、晴臣が右手を挙げた。
「地毛?」
白髪隠しの短い金髪。秀之が眉を顰める。
「淳は真っ白だな……」晴臣が言う。
淳の肩まで伸びた髪は、金よりむしろ総白髪。
秀之の自宅スタジオに三人は集った。
淳と秀之がユニットを組み、晴臣主宰のイベントに出演する。
晴臣は打ち合わせを兼ねた訪問だ。
◇◆◇
ゴスの帝王曰く
『ハゲは妥協ではなく、まさに王冠』
「やべえ、カッコ良すぎ」
「いや、でも、王冠?」
「輝いてるな」
インタビュー記事が映し出されたタブレットを覗き込む。
ほぼジジイの三人。
「尿酸値、気になるんだが」
「逆流性食道炎で喉がイガイガする」
「⋯⋯⋯」
項垂れる二人をよそに、無言を貫く晴臣。
「もう、レバー食えねえ」天を仰ぐ秀之。
「唐揚げよ、サヨウナラ」遠い目をする淳。
「最近、“ゆし豆腐”なるものがあると知って気になる」微笑む晴臣。
「晴臣、一番不健康そうで健康だよな」
「相変わらずガリガリなのに」
「⋯⋯そうだねぇ」
秀之と淳は還暦まであと少し。
晴臣はすでに数年前に還暦を迎えている。
「体質?」
「なんで、そんなに健康?」
「元々、味の濃いものと油っぽいものは苦手だから。和食、美味しいよ?」
「大酒飲みなくせに」
「芋焼酎好きだよね」
「今は嗜む程度だよ? いや、いつまで俺を吊るし上げてんの? お前達の不健康は自業自得だろ」
「人間ドック行かないとな」
「この前胃カメラ飲んだよ……」
「全員煙草はやめたけどねえ」
はぁ。
三人同時にため息。
「明日ジムだわ」
「俺、ボクシング」
「そのままちゃんと続けなさい。その後飲みに行っちゃ駄目だぞ」
「「はーい」」
「オッサンが揃って、手ぇ挙げて返事すんな」
またしょうもないものを書いてしまった。




