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STAND BY YOU!  作者: ぬこ@nuko_nuko


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6/12

春臣:春名さんの手は、とても小さいです。


 

 「春臣、大丈夫だった!?」

 「はい、大丈夫ですよ。春名さん、手は平気ですか?」

 「……ちょっと痛い」

 「無理をしてはいけませんよ? 大きなけがをしたのですから」


 

 うん、と頷いてくれました。


 

 「それと、確かに彼はとても不愉快だったのですが、電車とホームの間は危険なので注意しなくてはいけません」

 「わかってるもん。ここの駅ホームと電車の間狭いし、だから……でも、一応その事も考えたから、変なところに落ちないよう、全力で押したんだもん」

 

 

 ほっぺたを膨らませながら経過を語る春名さん。

 確かに、軽く、ではなく思い切り彼を押していました。

 不意を突いたとはいえ、小柄な春名さんが彼を追い出せたのは、勢いと全力だったからでしょう。

 

 僕もどうしようか迷っていたので、ありがたかったのは事実です。

 それを伝えると、得意そうに笑顔を見せてくれました。

 

 

 「でも、ちょっと酷い事しちゃったかな」

 「彼は僕に離せと言っていました。恐らく、ここで降りたかったんでしょう。ですから、春名さんは酷い事なんて何もしていません」

 「ほんと?」

 「はい」

 「良かった」

 


 にっこり笑う春名さん。

 やっぱり、可愛いなと思います。

 

 僕が最初からもう少し気をつけていれば、春名さんに嫌な思いさせる事も無かったと思います。

 ここはしっかりと反省しなくてはいけないのですが、春名さんの笑顔が可愛くて、思わず僕の頬も緩んでしまいました。

 


 「春臣って握力、強いんだね。あの人、春臣につかまれて動けなくなってた」

 「大変混雑していたので、暴れられては周囲の方にも迷惑をかけてしまいますから」

 「あたし、握力あんまりない……」 

 「では、何か持つときは僕が持ちましょうね」

 

 

 手を広げて見せると、びっくりしたような顔をして僕の手をじっと見ています。



 「どうかしましたか?」

 「春臣の手、大きいね」

 「そう──ですか?」

 「うん、だってほら、あたしの手よりずっとずっと大きい」

 

 

 ふわりと春名さんが手を重ねてくれました。

 僕よりも、ずっとずっと小さい手。

 細くて、柔らかくて、温かいです。


 こんなに小さな手で、小さな体で、さっきあの彼に立ち向かったのだと思うと胸が苦しくなります。

 僕からすれば小さく見えても、春名さんから見れば、自分よりも大きな男です。

 そんな相手にすごまれたのは、どれほど恐ろしかったことでしょう。

 

 思わず、重ねた手を握ると、春名さんの顔が赤くなりました。

 


 「──っ、で、でもっ」

 「はい」

 「春臣は結構、落ち着いてる、よねっ」

 

 

 目線を合わせないまま、春名さんが少しつっけんどんに言います。

 

 僕は、もうわかっています。

 こういう時は、とても照れている時なんです。

 

 電車がまたカーブを走っているようで、ぐらりと傾きました。

 春名さんが僕の方に揺れた弾みに、ふわりといい香りがします。

 その後、一瞬メントールのような香りがして、湿布薬をつけているのだと気付きました。

 きっとその匂いを隠すのに、何か香水をつけているのでしょうか。

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