春名:すごく、うれしくて、顔が笑っちゃう。
「2300円になります」
はい、と答えてお財布を出すと、それより先に春臣がお金を出そうとする。
お昼はあたしがおごるって話だったよ、って春臣に言うと、ほんの少しだけ困ったような顔で、
「実は細かいのが無くて困っていたので、お金を崩してもいいですか?」
「でもそれじゃ、あたしがおごることにならないよ」
「では、帰りに珈琲をお願いしてもいいですか?」
「いいけど、それじゃ──」
浴衣を買ってもらって、お昼もごちそうになったんじゃ、春臣ばかり払ってる。
珈琲だけじゃ、全然足りない……って思ってたら、
「せっかくなので、春名さんおすすめのコーヒーフロートにしたいです」
そう言って、ね? って顔して笑う春臣。
駅の改札の近くに、小さな珈琲屋さんがある。
前に来たことがあるんだけど、そこのコーヒーフロートがすごくおいしかった。
だから、春臣にも飲ませてあげたくて、今度一緒に行こうって話したのを思い出す。
覚えててくれたの、すごくうれしい。
「うん!」
だから、そう答える。
すると、春臣が嬉しそうに笑ってくれた。
***
会計を済ませて、お店の外に出る。
時計を見ると二時を少し過ぎた辺り。
これから帰って、浴衣を水洗いして、明日どんな髪型にするか研究しなくちゃ。
「改めて──春臣、浴衣ありがとう。それからお昼も、ごちそうさまでした」
「こちらこそ、ご馳走になりました。とてもおいしかったです、春名さん」
春臣にお礼を言ったら、同じ様に笑顔で返された。
久しぶりにこうして一緒に出掛けられて、すごくうれしい。
それに明日は花火大会。
そう思ったら何だか嬉しくて、顔が笑っちゃう。
……手、繋ぎたいな。




