第二話 魔王、隠居す 其の二『魔王の告白(後)』
新造艦の話は、少し後になります。
ここでは、前話につづく信長の胸の内を
語っていくお話です。
話は変わって、
よろず屋の錦之介
お察しの通りです
その正体は
竹中重治(通称:半兵衛)
あまりにも、その生涯は短く
せつない、せつないのです
この妄想の中で活躍して欲しいと
切に願っての登場でアリマス
病床に伏せていた、天才軍師。
現れた不思議な少年
(もちろん、りっきゅん)
彼が治療して生きているわけです
年齢と容姿が合わない?
はい、変装ですね
50〜60歳ぐらいに化けてます
それにしては、声に力が感じられます
どういう声なのか?
そこは、お察しください(^^)
「天下布武は、儂の夢では無い」
信長は、そう言い切った。
声は低く、鋼のように揺るがない。
だがその言葉は、鋼ではなく
――骨だった。
「これは、責務じゃ」
責務。
天下を治めるために。
明をはじめ、
海の向こうの列強が牙を研ぐ時代に。
この国が割れたままでは、
いずれ喰われる。
だから統一を急いだ。
魔王と呼ばれようとも、
畏れられようとも。
蘭丸――森長定は、黙って聞いていた
否。聞いている“ふり”をしていた。
胸の奥が、音もなく崩れていく。
主君は夢を語らぬ方だと、思い込んでいた
主君は夢そのもの
――天下布武そのものだと、
信じていた。
その前提が、崩れる。
信長は次の瞬間、
急に砕けた口調でぼやき始める
「全く、周りを見ましてみたけど?天下を纏められそうなのが居ないんだもんなあ」
それは愚痴の形をしていた。
だが蘭丸には、笑いに聞こえない。
重すぎる現実を、
言葉の端で折っているだけだ。
「信玄公も義元公も年寄り過ぎるし、
おっそいんだもんなあ」「ウチの親父殿ならば?
年の割にはイケてたと思うんだよねー
儂がサポートしたら?
結構いいセンいってたと思ってた、うん」
「なのになあ、早過ぎるよぉ」
そして、急に真顔になった。
「もう暫く尾張のうつけでおりたかった」
その瞬間、蘭丸は初めて、
信長の背中を見た気がした。
鉄の背ではない。人の背だ。
責務の重さで削られながら、
それでも立ち続けた背だ。
坊丸――森長隆も、
珍しく言葉を失っていた。
普段の戯れも、今はない。
苅安色の気配は沈み、
豪傑の武士としての顔だけが残っている
錦之介が静かに言う。
「御心の内……察する者も、
おりませなんだな」
白髪の老人の声は少し高く、
歌舞伎の名調子めいてよく通る。
だがそこに芝居臭さはない。
むしろ冷えた現実が、
刃のように混ざっていた。
力丸が淡々と言った。
「光秀殿には、お伝えしておきました」
空気が凍る。
蘭丸は思わず、息を止めた。
坊丸が目を見開く。
――いや、
目を見開いたのは坊丸だけではない。
蘭丸も、錦之介も、
つきでさえ僅かに肩を震わせた。
だが信長だけが――笑った。
腹の底から笑った。
「はは……っ、はははははははっ!」
喜びなのか、呆れなのか、解放なのか。
笑いながら、信長の目元が滲む。
笑い泣きだ。
魔王のそれは、まるで少年のそれだった。
力丸は続ける。
「光秀殿にも
思うところがあったようですが、
踏ん切りがついたようです。
この後は、恐らく
秀吉殿が仇討ちを成されましょう」
蘭丸は心中で呟く。
――どこまで見通している。
――いや、見通しているというより、
もう“手を打ってある”のか。
坊丸が低い声で言う。
「……それは、叶わぬでしょう。
秀吉殿は、遠すぎる」
信長が愉快そうに口角を上げる。
「サルが高松から? それを為すなら、
奴こそが英雄だろうのう」
その言い方は、半分は冗談で。
半分は――力丸の言葉なら現実になる、
と信じている者の顔だった。
錦之介は顎に手を当て、
推察の域を出ぬまま、
しかし確信めいて言った
「秀吉様ならば……そうですな。
あの方ならば、やるでしょうなあ」
そして。信長は、艦を前にした。
関船に似ている。だが明らかに違う。
帆と艪、そして外輪――
時代が理解を拒む形状が、そこに“在る”
蘭丸はその異質さに、言葉を失った。
艦は黙っていた。
だが黙ったまま、全てを語っていた。
――天下を取ることは、夢ではない
――夢は、この先にある
信長は艦を見上げ、ただ一言。
「……儂は、世界が見たい」
蘭丸は、その言葉の意味を理解してしまった
理解してしまったからこそ、胸が痛い。
天下布武は、主君の夢ではない。
だが、責務だった。
そして今――
責務を果たした男が、夢を語っている。
その夢の“現実味”が、
艦という形を取って、目の前にある。
蘭丸は気づく。
自分の忠義は、ここで形を変えるのだと。
天下を取るために命を張るのではない。
主君の夢を、
世界へ送り出すために命を張るのだ。
信長が力丸に問う。
「お前は、何でも知っておるのだろう?」
確信はない。
ただ、かまをかけたに過ぎない。
だが本質を突いていた。
力丸は一度、言いかけた。
「それは言わぬが花でありましょう」
しかし言い直す。
「……何でもは知りません。
知っていることだけ」
信長は満足げに頷いた。
「そうか。そうだな。やはり儂の目で見る。肌で感じなければの」
力丸が続ける。
「感動は、寿命の長さより大切だ――
という言葉を聞いたことがあります」
信長は、その言葉を噛み締めた。
そして――次を問う。
「光秀は、どうなる?」
つづく
えーっと、信長のキャライメージ
どうですか?
それこそ分からないくらい数多く
描かれてきてますから、
こんな感じのも、あったでしょうねー
こーんなお茶目な一面は、これまでは
隠してたんでしょう。きっとそうだあ
魔王という役割を脱ぎ捨てる
それが叶うとなって、一気にでちゃう
こんな信長を演じてくれるのは、
誰でしょう?そんなことも妄想しちゃう
楽しいですョ




