第七話 因果は巡る 其のニ『殲滅戦』
ここでアクションシーン。
胸を空く話。
では、ないかもしれません。
散って行った仲間の
想いを継ぐ為の闘いです。
夜明け前。空は群青。
だが――
地は、まだ燃えている。
ゴォォ……
焦げた木。焼けた肉。血の臭い。
そして
ガヤ……
ガヤ……
略奪者。
もう“兵”ではない。
「奪え!!」
「女を出せ!!」
ケモノである。
◆ 配置
瓦礫の影。黒脛巾組、集結。
クラ、静かに。
「……全員、聞け」
声は低いが、全員に通る。
「第四中隊・甲小隊」
つき、一歩前。
クラ
「要人警護や。芦原へ」
「合流地点。わかるな」
つき
「はい」
クラ
「第一・第三」
ナギ、肩を鳴らす。
クラ
「掃除や」
ナギ
「全て……」
一拍。
クラ
「……一人残らずや」
空気が、凍る。
クラ
「月叟。第三中隊から」
「一個小隊は、避難民誘導」
「残り――戦闘」
月叟、短く。
「承知」
赤仮面。
「………私も出る」
クラ
「大掃除の開始や」
ザッ
全員、消える。
■ 戦闘開始
◆ ナギ
通り。略奪者、七人。
「見つけたぞ!!」
パンッ!!
一発。
額。貫通。
ドサッ
歩くナギ
右手に――拳銃
左手に――小太刀。
パンッ
パンッ
二人、倒れる。
ドサッ
バタリ
三人目。
小太刀、一閃。 (ナギの真骨頂)
ザシュッ
喉。
返す。
ガッ!!
肘。
顔面陥没。
「な、なんだ――」
慄く兵。
ナギ
「遅いっ」
背後から斬撃。
キィン!!
受ける。
拳。
バキッ!!
刀ごと、叩き折る。
ドスッ
腹。小太刀。
引き抜く。
血飛沫。
最後の一人。
逃げる。
「うっ、うわあーーー」
パンッ
背中。
沈黙。
◆ 弥七
屋根上。伏せる。
銃。視線、冷静。
「……風、右」
スッ
照準。
パンッ
やや遠距離。
頭部命中。倒れる。
ドサッ
兵たち
「どこからだ!?」
混乱。
パンッ
パンッ
パンッ
三連射。
全て、急所。
弥七、息を吐く。
「こいつぁ、少し重いが」
「良いな」
“弥七専用銃”
「……次」
移動。
タッ
音は無い。
◆ 月叟
狭路。
避難民の背後。
「止まれ!!」
暴徒、槍を構える。
月叟、前へ。
銃。
だが――撃たない。
ダッ
神速 踏み込
ガキィン!!
銃剣。
槍を弾く。
ズバッ
首筋。
一つ。
血。
突き。
ズブリ
胸。
二つ。
引き抜き。
回転。
膝を払う。
ドサッ
トン
喉。
三つ。
そのまま背後に、撃つ。
パンッ
銃剣による射撃。
振り返る。
月叟
「……進め」
避難民を導く忍び。
◆ 赤仮面
広場。十数人。
「囲め!!」
「殺せっ」
赤仮面、動かない。
一歩。
ズッ……
空気が、歪む。
縮地。
さらに身体強化魔法。
ドンッ!!
踏み込み。
一瞬で距離が消える。
視認不可。
ガッ!!
拳。
胸骨粉砕。
次。
スッ
懐へ。
バキィッ!!
顎。
下からの一撃。
首はあらぬ方向へ。
三人目。
組む。
極める。
投げる。
ドォン!!
地面へ叩きつけ。
割れる石畳。
「ば、化け物……」
刃が来る。
スッ
避ける。同時に。
手刀。
ズバッ
喉。
血が遅れて噴く。
止まらない。
速すぎる攻撃。
ダメージを認識した時には、
既に勝負は決している。
見えない。
赤仮面
「沈めっ」
シュッ シュッ シュッ
シュッ シュッ シュッ
シュッ シュッ シュッ
閃光!或いは、投擲か!
視認不可の動きから、九つの飛来物。
尋常ではない威力。攻撃を判別できぬ結果。
最後。
この世の物とは思えぬ光景に、
立ち尽くす兵四つ。
刹那。
見えない。
ヒュヒュヒュヒュン
静止。
ピタッ
全員、倒れている。
いつ、手にしていたのか
赤仮面は、双刃の薙刀を携えていた。
赤仮面、息一つ乱れず。
「……終わりか」
◆ クラ
高所。全体を見ている。
火。人。流れ。
クラ
「……まだやな」
小さく呟く。
指を、わずかに動かす。
カチッ
各所。
ピカッ!!
ドォン!!
閃光。爆発。
同時制圧。
クラ、静かに。
「……締めや」
◆ 総仕上げ
残党。
「逃げろ!!」
だが――
パンッ
ズバッ
ドスッ
全方向から。逃げ場、無し。
静寂。
煙。死体。
これまでの騒がしさが
音が、消える。
クラ
「……終いや」
ナギ
「綺麗に、片付いたね」
弥七
「生存者無し、だな」
月叟
「避難、完了」
赤仮面
(一瞬だけ、目を閉じる)
「……進むぞ」
夜が明ける。
城下は――
静まり返った。
その夜、人は見た。
“人ではない者”を。
黒脛巾組が、暴徒鎮圧に際し発揮した
“本気”の一端。
ちょうど時を同じくして、今作戦本来の
最重要事項、“要人救出”
こちらも進行していた。
◆街道手前。
木立。
近づく影。
「――おう!」
低く、だが妙に軽い声。
つき、即座に構える。
スッ
手は苦無に添えられた。
だが――
出てきたのは。
大男。ボロボロの装束。煤だらけの、
柴田勝家
「おお、お市ぃ!」
豪快に手を振る。
緊張は、一気に崩壊する。
つき
「……え?」
お市
「……勝家」
少しだけ、呆れた顔。
◆ 勝家合流
近づく。
「いやぁ参った参った!」
「影武者だらけでな!」
「がっはっはっははっ」
笑う。
「わし、三回くらい“わし”見たぞ!」
つき、固まる。
つき
「……はあ」
勝家
「でな!あいつら、全然似とらん!」
大声。
つき、慌てて制す。
つき
「お静かに……!」
勝家
「おっと、すまんすまん」
小声になる。
が、
「でもなぁ、最後の一人は――」
一瞬だけ、
間。
勝家の目が、細くなる。
「……見事」
(儂以上に、儂であったな)
それ以上は言わない。
お市も、なにも言わない。
そして三人は、進む。
周囲には、つき の部下たち。
姿は見せない。
勝家、やたら元気。
「腹減ったな!」
つき
「……」
勝家
「何かないか!」
つき
「ございません」
勝家
「そうかぁ!」
即納得。
歩く。芦原への道中。
勝家、木の枝を拾う。
杖代わり。
(やはり、相当に疲弊している)
(しかし、弱みは見せない)
「いやしかし、お主」
つきに視線。
「ええ動きしとったな!」
つき
「いえ」
勝家
「がっはっははっ。わし分かるぞ!」
笑う。
だが――
遠く。
ガヤ……
まだ、安心は出来ない。
つき、即座に手を上げる。
止まる。
全員、静止。勝家も、ピタリと止まる。
(切り替えが早い)
敵は、遠ざかる。
ザッ……ザッ……
沈黙。
やがて。
つき
「……行きます」
芦原へ。そこが合流地点。
空が、白む。風が変わる。
スゥ……
火の臭いが、薄れる。
代わりに、土。草。
お市
「……抜けたな」
つき
「はい」
ここに、銃声は届かない。
難を逃れゆく民草。国を為す者たちが、
今、生きる為に
パチ……
パチ……
しかし、現実は、厳しい。
残り火。崩れた家。
そして、 人。
ズリ……
ズリ……
歩く。いや、逃げている。
生きる為に。希望を探すことを諦めない。
女が子を抱えている。
その子は、動かない。
母
「……起きて……」
揺らす。
返事はない。
老人が壁にもたれる。
「……もう、ええ……」
その目は、どこも見ていない。
誰もが、“限界”の中にいる。
そこに、一人の男。
スッ
影が差す。
三好伊佐
「――立て」
低い声。
だが、強い。
老人の前に、膝をつく。
伊佐
「ここで止まれば、死ぬ」
一拍。
伊佐
「……進め」
腕を取り、無理やり立たせる。
周囲の忍びたち。
「副隊長」
伊佐
「遅れるな」
「火は回る」
的確。無駄がない。
だが――
その目だけが、
どこか、鋭すぎた。
別の忍びが、子供を抱える。
忍び
「大丈夫、任せて」
伊佐、見る。
一瞬だけ、目を細める。
伊佐
(……甘い)
一拍。
(だが――)
何も言わない。否定もしない。
歩く。
ただ前へ。
だが
ドサッ
女が倒れる。
抱えていた子も、落ちる。
女
「……もう……」
立てない。
周囲の忍びが迷う。
「副隊長……」
伊佐、止まる。
振り返る。
一瞬。
本当に一瞬。
“判断”の間。
伊佐
「……運べ」
「全員や、誰ひとり捨てることはならん」
声が、強い。
逆らえない。
忍びたちが動く。
伊佐は、前を向く。
だが――
その拳が、
僅かに、握られていた。
道。
焼けた柱。
伊佐の足が、止まる。
そこに――
落ちている。布の切れ端。
焼け焦げた、
陣羽織の一部。
伊佐
「……兄者」
拾う。
灰が、崩れる。
一瞬。
目を閉じる。
思い出すのは――
戦ではない。
笑っていた顔。
「伊佐、民を守れ」
そんな声が、聞こえた気がした。
目を開ける。
伊佐
「あぁ……分かっている」
布を、握る。
そして、 前を見る。
「全員、急げ」
声が、変わった。
“命令”ではない。
“意思”になっていた。
その頃、つき 屋根の上。
トン
タッ
つき
「……流れが変わりました」
お市
「何が見える」
つき
「……人が、動いています」
「逃げるのではなく」
一拍。
「導かれている」
お市、静かに頷く。
お市
「よい」
避難民の列は、誰もが、無言。
だが、止まらない。
ズリ……
ズリ……
伊佐、先頭。
振り返らない。
だが、全てを感じている。
伊佐
(兄者、見ていろ)
◆ 夜明け前
空が、白む。
火の色が、薄れていく。風が変わる。
スゥ……
土の匂い。草の匂い。戦の外へ、
近づいている。
同じ夜。同じ戦。
人を斬る者がいる。人を救う者がいる。
そして――
その想いを、継ぐ者がいる。
ひとりの男が死んだ。
だが――
その意志は、
まだ、生きている。
つづく
とはいえ、見どころ満載。
ここでの戦闘は、結果だけを求めて良い
そういう闘いです。
黒脛巾組の持つ戦闘力。
その技と装備をフルに発揮します。
赤仮面の“九方”そして、“四神”
この技はエグいです。
“九方”
任意の場所、九つの場所に、
球体の水を出現させ、
亜光速で標的を撃ち抜く。
“四神”
愛用の武具。そして、専用でもある
“双龍偃月刀”
これを用いて同時に四つの斬撃を飛ばします。
飛ばさずに斬ることも出来ます。
常人の目には捉えられない攻撃。
こんな“力”も持ってたんですねー
(^_^)v




