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新世界の創世者は、魔王ではなく?  作者: ニャンコ
第二章 奥州平定
36/38

第六話 奥州統一へ(ニ)        其の六『Final Reckoning』

忍びに名など

そういうクールさで描いた部分では

あったのですが、あの影武者についは、

誰なのか?裏設定あります。

ああっ、まだ言えない(^^)

◆北ノ庄城跡 

夜明け

焼け落ちた城。

瓦礫の山。

煙がまだ立ち上る。


 羽柴兵たちが城内を探している。


    兵

「柴田勝家の遺体はまだか!」


    別の兵

「天守が丸ごと崩れたんやぞ!」


「見つかる訳があるか!」


兵が瓦礫をどける。焦げた甲冑。


    兵

「……違う」


    別の兵がぽつり。

「見たぞ」


    兵

「何をだ」


    兵

「勝家の最期」


兵たちが振り向く。


    兵

「腹を切った」


「堂々と」


      沈黙。


    兵

「武士ならば後学とせい」


「そう言っていた」


    兵の一人が呟く。

「……あれが武士か」


      誰も軽口を叩かない。


 北ノ庄の兵たちは

皆、あの光景を見てしまった。


城下町

焼け跡の町。

町人たちが片付けをしている。


    町人

「昨日は酷かったな」


    別の町人

「羽柴兵が暴れてよ」


    老人が言う。

「だが止まった」


    町人

「?」


    老人

「柴田様が腹を切ったからだ」


    若者

「え?」


    老人

「見事な切腹だったそうだ」


町人たちが黙る。

    若い女が言う。

「……武士ってのは」


「恐ろしいね」


    老人

「いや」

    首を振る。

「立派だった」


 その言葉に、誰も否定しない。

影武者の死は、すでに

      城下の伝説

          になり始めていた。


◆山中 

柴田残党………敗走した兵たち。

しかし目は死んでいない。


    武将

「勝家様の最期を見た者がおる」


兵たちが顔を上げる。


    兵

「堂々たる切腹だった」


「逃げもせず」

    拳を握る武将。


    武将

「ならば、我らが恥を晒す訳にはいかぬ」


    兵

「秀吉を討つ」


    別の兵

「賤ヶ岳で」


声が重なる。

敗軍のはずなのに、士気は高い。

 主君の最期が

兵たちの背を押している。


◆羽柴本陣

 軍議。

中央に座るのは

      羽柴筑前守秀吉


    家臣

「柴田残党が、賤ヶ岳に集結中」


    別の家臣

「北陸勢も合流する模様」


      秀吉は扇で口元を隠す。

    秀吉

「当然じゃ」


    家臣

「?」


    秀吉

「あの最期を見た兵は、強い」


「あれで起たん兵など、ありえん」


      沈黙。


 秀吉は北ノ庄の方角を見る。


    秀吉

「勝家殿、見事な最期であった」



「信長様ならば、どうなされたか……」


 彼はまだ知らない。

それが、影武者だったことを。


◆羽柴軍 若武者たち

若い武将たちが騒いでいる。


    若武者

「柴田残党など叩き潰せ!」


    別の若武者

「武功を上げる好機よ!」


 その中に、ひときわ大柄な若武者。

             巨大な槍。


 加藤清正。

後に賤ヶ岳七本槍の一人となる武将。

この時まだ二十歳前後の若武者。


その隣。豪胆な顔の男。


 福島正則

同じく後に賤ヶ岳七本槍と呼ばれる猛将。


    正則

「勝家は見事な武士だった」


    清正

「だが戦は戦だ」


槍を担ぐ正則。

    正則

「首はいただく」


若武者たちが笑う。

戦の熱が高まっている。


◆山中 忍び拠点

焚き火。黒脛巾組。


クラ

ナギ

弥七

月叟

      そして

赤仮面。


      火の音だけが響く。

    ナギ

「柴田勢、賤ヶ岳に集結」


    弥七

「戦になるなあ」


    月叟

「数は少ないが」


    クラ

「長引く…やろな」


赤仮面は黙ったまま。

クラが焚き火をつつく。

    クラ

「……なあ力丸」


赤仮面が顔を上げる。


    クラ

「作戦は成功や」


指を折る。


「勝家様脱出」

「お市様脱出」

「三姫保護」

「城下の被害も最小」

      肩をすくめる。

「完璧やないか」


    赤仮面

「……二人死んだ」


      沈黙。


    弥七

「影武者か」


    赤仮面

「俺の策だ。死なせた」


      クラがため息。

    クラ

「アホか」


皆が顔を上げる。


    クラ

「それは、あいつらが決めたことや」


    赤仮面

「……」


    クラ

「お前の我儘も知っとる」


「影武者も死なせへん」


「忍びからしたら迷惑や」


ナギが笑う。


    クラ

「せやけどな」


      少し柔らかい声。

「そんなかしらやから、皆ついて来とる」


      火が揺れる。

    赤仮面

「……賤ヶ岳」


    ナギ

「参戦しますか」


    赤仮面

「しない」


    弥七

「ほおぅ」


    月叟

「珍しい」


    クラ

「理由は?」


    赤仮面

「戦は、武士のものだ」


      火が弾ける。


    赤仮面

「だが、戦の後には、必ず地獄が残る」


    ナギ

「難民」


    弥七

「略奪」


    月叟

「焼き討ち」


    赤仮面

「子供」

      静かに言う。

    赤仮面

「影武者は、民のために死んだ」


      沈黙。


    赤仮面

「なら、俺がやることは一つ」


    クラ

「……何や」


    赤仮面

「民を救う」


    クラが小さく笑う。

「ほんま、忍び向きやない男や」


◆赤仮面のモノローグ

歴史を知り

 力を持ち

  忍びを動かす

   いつからだろう

俺なら

 すべてを動かせると

  思っていた


      火が揺れる。


思い上がりだ

    赤仮面

「動くぞ」


忍びたちが顔を上げる。


    赤仮面

「賤ヶ岳の戦が始まる。その前に」


    静かに言う。

「救える命を救う」


焚き火が消える。


◆山間部

城下から逃れる難民たち

一行は山道を外れ、森の中へ消える。

別の山道、敗残兵が難民を襲っている。


    兵

「食い物よこせ!」


「女もだ!」


泣き叫ぶ民。その瞬間。

      シュッ

苦無が兵の手を貫く。

    兵

「ぎゃ!」


次の瞬間、森から黒影。

      ズバッ

小太刀。

    兵

「ぐあ!」


黒脛巾組。


    兵

「なんだこいつら!」


その瞬間。

      パンッ!!

拳銃。兵の槍が吹き飛ぶ。


    兵

「鉄砲!?」


次の瞬間

      ドォン!!

手榴弾。

土煙。

    兵

「な……!」


その煙の中。閃光。

      パァン!!

閃光弾。

    兵

「目がぁ!」


黒影が走る。

      ドッ

      ガツッ

      ズバッ


銃剣。小太刀。強化手袋の拳。骨の砕ける音。


    兵

「人じゃねぇ!」


「鬼だ!!」


    クラ

「ほな」

      ズバッ

「退場や」


兵たちは壊滅。


黒脛巾組は


もうそこにいない。


◆山中

つきの隊。

お市を警護し、移動中。

 お市が立ち止まる。

      遠くの爆音。

      ドォン

      パァン

    つき

「……始まった」


    お市

「忍びか」


    つき

「はい」


    お市

「派手な忍びだ」


    つき。少し笑う。

「うちの頭です」


    お市

「そう」


少し考え

    小さく言う。

「……面白い男だ」


    つき

「面白い?」


    お市

「忍びのする事には思えん」


    つき 微笑み。

「ほんとうに」


◆山の反対側

一騎の武者。

      柴田勝家。

      疲れた様子。

 そこへ、つきの隊が現れる。


    勝家

「……市!」


    お市

「あなた様」


再会。

    勝家

「無事であったか」


    お市

「ええ」


      沈黙。


    勝家

「城は」


    お市

「落ちました」


      勝家は目を閉じる。


    お市

「ですが、あなた様は生きています」


    勝家

「……どうやって」


    お市

「忍びです」


    勝家

「忍び?」


    お市

「赤い仮面の」


    勝家

「……」

    少し笑う、勝家

「面白い」


    お市

「ええ、見事な男です」


◆夜 山中

黒脛巾組。

静かな森。

 赤仮面が、二つの武具を置く。


短刀。

刀。

      忍びたちが見守る。


    赤仮面

「……三好清海」


      静まり返る。


    弥七

「それが、影武者」


    赤仮面

「ああ」


    赤仮面

「火垂」


    ナギ

「……」


    クラ

「覚えとく」


      沈黙。


 月叟だけが、目を閉じる。


    月叟

「……尊敬できる……漢です」


    赤仮面

「名は残らない」

    静かに言う。


    赤仮面

「だが、俺が忘れない」

      石に刻む。

二つの名。

遠く。

賤ヶ岳の狼煙。

   戦が始まる。


    クラ

「行かへんのか」


    赤仮面

「行かない」


一言。


    赤仮面

「俺の戦は、終わった」


黒脛巾組は、民の方へ歩き出す。




        つづく




全てが想定通りではなかった。

ある意味では、想定以上の成果。

しかし、想定外の犠牲。

全てを求めるのは傲慢なのか

力に酔って我儘な行動をした代償

揺らぐ心


力丸は、何を思う

どうするのか

何を成し遂げる

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