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新世界の創世者は、魔王ではなく?  作者: ニャンコ
第二章 奥州平定
24/38

第四話 奥州統一へ(一)        其の六『あなただけ見えない』

其の五、其の六

ここでは、りっきゅんの伊達家中での

立ち位置というか、

ごくごく自然に溶け込んでいる様子を。

それと主要な登場人物の紹介をしてみました。

 伊達家中の庭では、

  いつもの騒ぎが起きていた。


若武者二人の言い争い。

後藤信康と原田宗時。


どちらも若殿

――藤次郎政宗を心から崇拝している。

 だからこそ、互いに相手の理解が浅いと決めつけて譲らない。


政宗の武を語る原田。

政宗の智を語る後藤。


 だが実際には、

二人とも同じことを言っている。


 若殿は強く、賢く、

そして大将の器である――と。

 老臣の遠藤基信は、

いつものように仲裁に入ったが、

例によって巻き込まれていた。


 この光景は、

伊達家では珍しいものではない。

 若者は熱く、忠誠は時に騒ぎとなる。


 だが、今日は少し様子が違った。

縁側から静かな声が落ちた。


「この喧嘩を、終わらせに来た」


二人の若武者が振り返る。そこに立っていたのは、

伊達小次郎。


若殿・政宗の弟である。


庭へ降りると、小次郎は二人を見据えた。


「後藤、原田」


     静かな声だった。

 だが、

その場の空気を一瞬で掴む声だった。


「いつまで戯れるつもりだ」


二人が同時に膝を折る。


   小次郎はゆっくりと言葉を続けた。

「よく聞け」


   風が庭を通り抜ける。

「藤次郎政宗は」


一拍。


「伊達家十七代目当主として、

         奥州を統べる漢だ」


   小次郎は続ける。

「村の子供や、

商人の噂話なら笑って済ませてやろう」


「だが、お前たちは違う」


視線が鋭くなる。


「お前たちは、若殿の槍だ」


後藤の拳が震えた。


原田の目が燃える。


「民草のように、

十七代目の槍に守ってもらうつもりか」


静かな挑発だった。

    沈黙のあと、後藤が胸を叩いた。

「――我こそが、伊達家の槍」


    原田が踏み出す。

「いや、儂じゃ」


 二人が睨み合う。

だがそれは、先ほどまでの喧嘩とは違う。

武人としての誇りだった。


   小次郎は薄く笑う。

「フッ」


「それでこそ」


   二人は同時に頭を下げた。

「小次郎様、流石でございます」


庭は静まり返った。


「さあさあ」


手を叩く。


「喧嘩は終わりだ。仕事に戻れ」


後藤と原田が立ち上がる。


「はっ!」


二人は庭を去っていった。

小次郎と遠藤だけが残っていた。


   そこへ、足音が近づいた。

「見事なものですな」


 振り向くと、若武者が立っていた。

片倉小十郎景綱(25)

伊達家の智将として名高い男。政宗の側近中の側近であり、伊達三傑と呼ばれる者のひとり。


   小次郎は肩をすくめた。

「小十郎か」


「貴様の手前も見たかったが、ここで傍観すると年寄りがうるさいからな」


   遠藤が苦笑する。

「誰が年寄りだ」


そう言った瞬間。老臣は全てを悟った。


(……今、言ったことは)


その静寂の中で――

遠藤基信は、涙をこぼしていた。


   小十郎が、

「遠藤殿」

   微笑みながら老臣の肩を抱いた。


「……嬉しい。だけだ」

   応える声が震えていた。


(ああ……)

   遠藤は思う。

(小次郎様は)

      ただの若君ではない。


 老臣が見ていることを、分かっている。

だからこそ、あえて言ったのだ。

――藤次郎政宗は、十七代当主だと。

 もし小次郎に野心があれば、

    こんな言葉は決して口にしない。

 家中の前で、

自ら兄の正統性を宣言する必要などない。


 だが小次郎は言った。


しかも。


奥州を統べる、と。


 それはただの理想ではない。

     先を見据えた言葉だ。


(この方は……)

   遠藤の胸に、長年の不安が蘇る。


   伊達は強い家だ。

   だが、家中は若い。

 豪傑は多い。

だが、それをまとめる器は限られる。

 そして何より――


      兄弟の確執。


 それが伊達を割る可能性を、

       遠藤はずっと恐れていた。

 だが。

今、目の前の少年は。

そのすべてを否定してみせた。


兄を立て、

家を守り、

さらにその先を見ている。


   遠藤は、涙を拭いながら笑った。


(ありがたい……)


(本当に、ありがたい)



 ほどなくして、

庭の外から、穏やかな声が聞こえた。


「ほう」


三人が振り向く。


そこに立っていたのは、一人の僧。


虎哉宗乙。


禅師として名高く、

政宗の師でもある人物だった。


「禅師……?」

   遠藤が目を丸くする。


   虎哉は微笑む。

「所用で米沢に参りましてな」


庭を見回す。そして言った。


「梵天丸も若殿らしく」


「小十郎も、よくやっておられるようですな」


   小十郎が静かに頭を下げる。

「過分なお言葉」


   虎哉は空を見上げた。

「伊達の将来が、楽しみですなあ」

     そう言うと、踵を返す。

去り際。


虎哉は、ふと小次郎を見た。

 ほんの一瞬。

だが、まっすぐな視線だった。


   そして去り際に静かに言う。

     小次郎にだけ聞こえるように


「……あなたが」


「わかりません」


それだけ言い残し、禅師は去っていった。


風が吹く。


庭は静かだった。


小次郎――力丸は、

何も言わなかった。


だが胸の奥で、小さく息を吐く。


(……禅僧か)


(やはり、人を見る目が違う)


遠藤は、ただ穏やかに笑っていた。


夕日が庭を染める。


奥州の風が、静かに吹く。


誰もまだ知らない。


この地で、

やがて歴史が動くことを。


そしてその中心に、

一人の“弟”がいることを。




第四話『奥州統一へ』了。




神山繁さんって、凄いですよね。

存在感が。

ヨクワカラナイ?

うーん、


ゴメンナサイ

m(._.)m

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