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新世界の創世者は、魔王ではなく?  作者: ニャンコ
第二章 奥州平定
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第四話 奥州統一へ(一)        其の四『見逃してくれよ!』

りっきゅんの企みが

これまでの仕込みが

徐々に露わになってきます

いったいどーゆーこと?

 山霧の中、二人の旅人が歩く。


白髪の老商人――甲斐紫電成行。

  その従者――甲斐紅蓮為成。

 信長は、形から入るタイプだった。

事を成し、夢を行く者、

成行と名を改めたが、奥州路を行くには、

武家の姿はそぐわない。


「ここはひとつ、隠居らしく」

髪と髭を白く染め上げ

「“廻船問屋のご隠居”でどうじゃ?」


まんま である。


「……旅とは、

身軽であるべきだと聞いていましたが」

     為成は、ボヤいた。


 道中には、案内人がついた。

名は“弥七”というらしい。

 力丸がかねてより仕込んでいた“草”。

つまり“忍びの者”である。

 案内人は、

  要所ごとに課題を手渡してきた。


 旅の始めには地図、茶屋では海図、

宿に着いては測量器具、航海学入門書。

果ては風向計算表、港湾建設理論書、

  潮汐観測帳などなど。


「力丸殿は、旅を“移動式学舎”と

      誤認している節があります」


     ご隠居は笑った。

「隠居の旅に課題を課すな

  と言いたいところじゃが、

      あやつに言っても無駄じゃ」


     紅蓮はページをめくる。

「“本日宿泊地にて、

  簡易港湾計画図を提出せよ”。

      隠居の旅ではありませんね」


二人は同時に叫んだ。


   「詰め込み教育反対!!」


山鳥が一斉に飛び立った。


一方こちら別街道にて、

 安定、戸兵衛、蔵人、つき。


立ち寄る宿、茶店、渡し場。

必ず机の上に指南書が並ぶ。


《伊達家家臣団勢力図》

《奥州経済構造論》

《忍び衆組織論(初級)》

《政宗心理分析入門》


    安定は淡々と写し取る。

「……情報戦は知識量です。妥当ですね」


    戸兵衛は深いため息。

「旅とは?いったい…」


    蔵人は机に突っ伏す。

「りっきゅん、楽しんどるわ……絶対」


 つきは黙々とページを追う。

理解しているのが分かる。

 だが、眉が少し寄り、唇が震える。

頬に淡い朱。

視線が泳ぎ、言葉を探す。

恥じらいと困惑、しかし逃げない決意。

“大人しい美少女が限界で口を開く瞬間”

                の顔。


小さく息を吸い、声を出す。


「……反対っ」


   蔵人が即座に便乗。

「反対や!!」


   戸兵衛も。

「詰め込み教育反対‼︎」


   安定は肩をすくめた。

「せめて三分の一に」


   忍びは胡散臭い微笑みで答えた。

「力丸殿の指示ですので」



 場所は戻ってご隠居たち。

  街道の曲がり角。


 紫電の背後に忍び寄る野盗。

狙いは“金”か“命”か?欲に堕ちた顔。

山賊の類なのか、はたまた…


 次の瞬間、影が影を斬った。

ほんの一瞬の出来事。

 音も気配も無く、“賊”は消えた。

案内人の影に潜み、

  表沙汰にせぬよう事を済ませる。

 二人、或いは三、四人。

       それに気付く者はない。

忍びの黒装束の下――

編み込まれた金属繊維の布。

鎖帷子に似て非なる、防刃防弾素材。

肘と膝には硬質複合材の当て板。

動きを殺さず衝撃だけを散らす。

足袋の底は特殊樹脂。

撒菱を踏んでも貫通しない。


 力丸が組織した特殊部隊の装備。

これもまた、気付く者はいない。


 刃が閃き、野盗は眠るように倒れ、

いや、倒れる前に抱えられ、姿を消す。

 為成は、何も気づかず歩いている。

案内人は、それを気配だけで確認し、

何事も無く歩いて行く。

 その一連を気配だけで察する成行。



そして、またまた戻って、米沢行き一行。


 林の影から伸びる手。

欲に堕ちた者が、狙うは若い娘。


 つきの袖に触れた瞬間――

忍びが背後に現れ、肘打ち一撃。

賊は音もなく崩れ落ちる。

 こちらでも案内人の他、複数人の忍び。

人目につく前に事を済ませる。


 俗に言う忍び装束。

だが、忍びの腰に奇妙な短筒。


外見は回転式拳銃。

刻印は見慣れぬもの。


Smason & Weapon

Mori Industries


通称S&W(スマソ&ウェポン)。

森工廠製。

なんだが、見たことあるような


 時は過ぎ夜半。

宿屋では、課題の山に

  押し潰されたように眠りにつく。


    蔵人が目を光らせる。

「……ええもん持ってんなあ」


 案内人ではない忍び。

身を潜め銃を分解清掃していた。


    蔵人が背後から奪取。

「これ何や」


「護符のようなものです」


「ほう、火を吹く護符って?」


   刻印を読む。

「スマソ&ウェポン? 何やそれ」


   戸兵衛が横に立つ。

「私の分は?」


   安定も淡々と。

「次回は私の分も」


忍びが一瞬、真顔。


つきは無言で見つめる。

その視線は明確に「私も」。


   諦め顔の忍びは深く頭を下げた。

「……力丸様に相談いたします」


   蔵人は満足げ。

「独り占めする気やったやろ」


「お前もな!」

   兄はツッコんだ。


安定も、つき もまた、当然と表情が語る


 その日の、

ご隠居様は、なにやらご満悦だった。


山間の射撃場。

的が並ぶ。


紫電と紅蓮、すでに拳銃を撃っている。


「おお、よい反動じゃ」


「照準器の設計思想が実に合理的です」


的が次々と粉砕される。

異様な命中率。

忍びたちは物陰で青ざめていた。

(見つからぬよう護衛していたのに、

         逆に見つかり……)


   紫電が振り返る。

「もっと撃たせろ」


   紅蓮も真顔。

「弾道学の実地検証です」


   忍びは頭を抱えた。

(なぜこの主君は

  見つかる前提で行動するのか)


流石は、といったところか。


 米沢行き一行。

宿では航海術講義。

酒場では奥州経済論。

茶店では地政学入門。


   戸兵衛は机に突っ伏す。

「旅?これは苦行では?」


   安定は余裕で図表を描く。

「この情報量、力丸殿の“草”は、

       すでにここまで…」


戸兵衛とつきは真面目にノート。

理解度は高い。


蔵人は机の下で居眠り。


   忍びが囁く。

「未提出は補習です」


   蔵人が叫ぶ。

「詰め込み教育反対!!」


   戸兵衛も。

「反対です」


 つきは困ったように微笑み、

ノートを閉じる。

「それでもやるけど」の諦観。


そんな苦行の末、ようやく辿り着いた。


米沢城下。


   蔵人が呟く。

「米沢って……近いな」


   安定が地図を広げる。

「京から奥州まで歩いたはずですが

        ……距離が合いません」


   戸兵衛。

「我々が歩いた距離は、

        石巻から米沢までです」


沈黙。


   つきが静かに。

「……京から石巻は歩いていない?」


   全員が顔を見合わせる。


「……力丸、か?」


   誰も答えられない。


再び釜石行き一行。

紫電成行が満足げに的を撃ち抜く。

紅蓮為成が弾道ノートをつけている。


   忍びが崩れ落ちる。

「護衛対象に護衛されるとは……」


   紫電成行が笑った。

「旅とは、学びと遊びじゃ」


   紅蓮為成が頷く。

「力丸殿の教育方針は……過剰ですが

         まあ、このくらいは」


   二人は同時に叫んだ。

「見逃してくれよ!」



      つづく




いーじゃん!いーじゃん!

またしても!デスねっ

オーパーツ?この時代には

無いモノばかり デスねっ

しょーゆーコト

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