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ゆるして




 魔法使いが異空間に創った森にて。




禾音かのんが私の事を嫌いになっても。嫌いだったとしても』




 寝耳に水の瑠衣るいの言葉に、禾音は両の眼球を落っことしそうなくらい目を見開いて、お姫様抱っこをしている瑠衣を凝視した。


「え?え?え?な。なん。なに?僕が瑠衣を嫌いになるって。もう嫌いだなんて。え?そん。そんな事。そんな天地がひっくり返ってもあり得ない事。え?どうして、そんな事。思ったの?まさか。記憶喪失になる前の僕が瑠衣に嫌いだって言ってたの連呼してたの信じられないんですけど。そんなの僕じゃないからもう忘れて瑠衣の記憶から抹消してくださいお願いします。それに六年間連絡を取らなかった事を謝らなくていいよ。瑠衣がとても大変な事は知ってたし。もしかして、ずっと、気にして。僕が大泣きして瑠衣を大きく揺さぶったから。僕の事を気に病んで。ごめん。僕の方こそ。ずっと。謝らないといけないって思ってた。ごめんなさい」

「え?何で?禾音が謝らなくていいよ」

「ううん。謝らないといけない。だって。あの時。僕が冷静沈着に対応してたら。瑠衣がそこまで僕に対して気に病む事はなかった。瑠衣。ごめんなさい。あの時。大泣きしてごめんなさい。大きく揺さぶってごめんなさい。もう、絶対、あんなに取り乱したりしない。絶対に、僕の事で瑠衣に謝罪させたりなんかしない。今度は。ううん。今から死ぬまで瑠衣を守り通してみせる」

「………私も。禾音に不安でいっぱいになって大泣きしてほしくない。禾音を大きく取り乱したりさせないようにしたい。私、強くなる。強くなりたい。この能力と一緒に強くなって、自分を守る。禾音たちを守る。だから。私からこの能力を取らないで。今は、マスクとか、ご飯の事とか、心配をかけ通しだけど。必ず、この能力を使いこなしてみせるから。マスクを外す。ご飯を美味しく食べる」

「うん。だから能力を取り除けばすぐにマスクも外せるようになるし、ご飯も美味しく食べられるようになるよ」

「うんだから嫌だって言ったよね。この能力も私の一部なの。禾音が、この私の一部が嫌いでも、私は、嫌いになりたくないの」

「えっ?あっ。えっ。あ。そう。か。そっか。そう。だよ、ね」


 能力は瑠衣の一部。

 盲点を突かれた禾音はすぐにその事実を飲み込もうとした、けれど、すぐにはできず、何度か高速で咀嚼してのち、何とか、飲み込む事に成功した。

 能力は瑠衣の一部。になってしまったのだ。備え付けでも、本体にかろうじてくっついているだけでも、一部は一部。一部なのだ。


(僕が瑠衣を嫌うなんて、あり得ないし)


「うん………うん。わかった。よ。能力は奪い取らないよ」

「………そんなに嫌そうな顔をしなくてもいいのに」

「表情だけでもゆるして」











(2024.9.1)




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