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赦されなくても




 魔法使いが異空間に創った森にて。


「もし僕が強引に瑠衣るいの能力を奪い取ったら、僕の事、嫌いになる?」


 無言でお姫様抱っこしている瑠衣を見下ろしていた禾音かのんは、おもむろに口を開いた。


「もう、僕の料理を食べたくないくらい。もう、僕と言葉を交わしたくないくらい。もう、僕を視界に入れたくないくらい。もう、僕の話題を耳に入れたくないくらい。僕の事、嫌いになる?」

「私は嫌だって言った。私が嫌がる事は、本気で嫌がる事は、禾音はしないって知ってるから。禾音が私の事を嫌いになっても。嫌いだったとしても。私は一生、禾音を嫌いにならない。あと。ずっと。引き延ばしにしてきたけど。ごめんなさい。私が十歳の時に倒れてから六年間ずっと連絡を取らないで。とても心配をかけたのに。自分の事だけしか、考えられなくて。ごめんなさい」


 記憶喪失の禾音に言っても意味がない、記憶が戻った時に謝罪すればいい。

 そう思ってきたけれど、意味がない事はない。

 記憶がなくてもあっても、禾音は禾音だ。

 謝りたいと思っていたのなら、謝るべきだった。

 引き延ばしにすべきでなかった。


(赦さないって。言われるのが、きっと。怖かった。赦さないずっと嫌いだって言われるのが)


 嫌いだ。

 直接、面と向かって言われた事はない。

 ただ、視線で、言葉で、態度で、雰囲気で、そう言われてこられた、ような気がしていた。

 嫌いだおまえの事なんか嫌いだ。

 そう、とても強い感情を籠めて。


「ごめんなさい。禾音」


 赦されなくても、もっと早くに言うべきだった。

 嫌いだと直接言われる事が怖くて口を噤むのではなく、言うべきだったのだ。











(2024.9.1)




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