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知られざる能力




 仕方がない。

 瑠衣るいは観念した。

 体力を消耗するが、仕方ない。

 禾音かのんに使いたくなかったが、仕方ない。

 そもそも禾音にこの能力がある事を知られたくなかったが、とてもとても知られたくなかったが、仕方ない。

 この嫌な予感をもたらす正体を突き止める為には仕方ない。


 瑠衣は観念して、その知られざる能力を禾音に対して、使ったのだが。


(………?おかしいな。人間相手にもちゃんと効くはずなんだけど。大気分析家のみんなに試して、凪局長にお願いして、騎士団の人にも試して、効いたんだけど)


 やはり禾音は規格外の騎士という事なのだろうか。

 それでも効果が全くないという事はないはずで。

 瑠衣は意識を集中して、能力を最大限解放したのだが、それでも、禾音に変化はなかった。


(???私が疲れるだけで、無駄な事をしているような。でも。うん。だめだ。禾音に掴まれている手は動かせないまま。どういう事なのかな?)


 瑠衣はそっと禾音の自身の両手首を掴む片手から、彼の顔へと視線を向けると。


(???)


 瑠衣は思わず肩を跳ねらせた。

 捕食者の目だと、捕食者の表情だと、どうしてか、思ってしまったのだ。


「ねえ」

「え?な。なに?」

「自分の身体から放った特殊な薫香で、僕の身体を一時的に麻痺させようとした?麻痺させて、僕から離れて、マスクを外そうとした?危険な事をしようとした?」

「え?なに?そんな事。私、できない。私ができる事って。自然災害と摩訶不思議生物の薫香を嗅ぐ事だけだよ」

「ねえ。瑠衣」

「なに?」


 恐ろしく、時間がゆったり流れている気がする。

 瑠衣は思った。

 自分たちの周囲だけ、時間がゆったり流れている所為で。

 口が、身体が、思うように、動かなかった。

 それが、ひどくもどかしい。


「僕が瑠衣の事で、知らない事なんて、あると思う?」

「ある。でしょ。記憶喪失なら、余計に」

「はは。記憶喪失でもそうじゃなくても、実際に見聞きしていなくても、知らなくても。瑠衣の事で僕が知らない事なんて、ないんだよ。だから。ね。おとなしくしていて。大丈夫だよ。僕が。全部。瑠衣の全部を煩わせないようにしてあげるから」











(2024.8.6)





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