気を付けるんだよ
瑠衣クン。
『蒼黒城』の大気分析家の局長室の客間にて。
ソファに座って手ずから淹れたお茶を飲んでいた凪は、向かい側のソファに座っていた瑠衣に話しかけた。
『キミがキミの能力と仲良くなる為に、キミと大気分析家のみんなで国中を旅して、色々な自然災害も摩訶不思議生物も嗅いできたね』
『はい』
『その中で、自然災害を食べる摩訶不思議生物も嗅いできたね』
『はい』
『摩訶不思議生物を食べて変化する摩訶不思議生物も嗅いできたね』
『はい』
『近頃は、町に摩訶不思議生物が頻繁に出没して、人間に危害を加えてきているが、自然災害はとんと起こっていないね』
『はい』
『地震と噴火は周期があり、今は起こる年ではないとされているが。さてさて。すべての自然災害が地震と噴火に従って鳴りを潜めているのか。はたまた。摩訶不思議生物が自然災害を須らく食べてしまったのか。摩訶不思議生物が須らく自然災害を食べてしまったのは、何故か。摩訶不思議生物の食の嗜好が変わってしまったのか。それとも、元々その身に宿していた自然災害を何らかの理由で分離していたのに、何らかの理由で再びその身に迎え入れたのか』
瑠衣クン。
華麗に、軽やかに、涼やかにと、いつも通り、凪は言葉を口にした。
十二分に気を付けるんだよ。
自分の身を守ってこそ、誰かを守れるんだからね。
(2024.8.6)




