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砕け散った初恋の後に、最後の恋をあなたと  作者: 燈華


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気遣いのお茶

リーリエ視点です。

サージェス様のエスコートで応接室に戻ると和やかな空気に包まれていた。

こちらでの話し合いもうまくいったようだ。

よかった。


サージェス様のエスコートで父の隣に戻り、礼を告げて腰を下ろした。

それを見届けてからサージェス様は侯爵の隣に戻って腰を下ろした。


侯爵夫人が笑顔で尋ねる。


「二人でゆっくり話せたかしら?」


侯爵夫人だけではない。部屋にいるみんなが笑顔だ。

わたしたちの態度でもうわかっているのだろう。


それなりに時間も経っている。

ゆっくりと庭を散策しながら話し込んでしまっていたのだ。


サージェス様がゆったりと微笑む。


「ええ、お陰様で」

「ゆっくり話すことができました。ありがとうございました」


わたしも微笑みを浮かべる。


「そう。ならよかったわ」


侯爵夫人の微笑()みが深くなる。

グレイス様も楽しそうでどこかほっとしたような顔をされる。

やはり、少し気にされていたのかもしれない。


わたしとサージェス様の前に新たにお茶が饗された。

目線だけでお礼を言う。

侍女は一瞬だけ口許を綻ばせて下がっていった。


視線を改めてトワイト家のほうへ向ける。

侯爵の視線がわたしを向き、心配そうに尋ねた。


「リーリエ嬢、サージェスはきちんとエスコートできていたかな?」


何故そのようなことを訊くのだろう?

サージェス様はさすが侯爵家の子息というくらいきちんとエスコートしてくださったのに。


思わずきょとんとして口を開く。


「はい。サージェス様は紳士的にエスコートしてくださいました」


侯爵がほっとしたように微笑んだ。


「それならよかった」


サージェス様は立派な紳士だ。

それでも父親というのは息子を心配してしまうものなのだろう。

サージェス様もそれがわかっているのか平然としている。


聞きようによっては未熟者だと暗に告げられているようにも感じられてしまうものだけれど。

普段からきちんと家族間でコミュニケーションが取れているのだろう。

だからこそ誤解などしないのだろう。

少ししか接していないがよいご家族だということが伝わってくる。


サージェス様がお茶を一口飲んだ。

その目がわずかに見開かれた。

それから顔を綻ばせた。


わたしもそっとお茶を飲んでみる。

ユフィニー領(うち)のお茶だ。

気を遣ってくださったのだろう。

さすが侯爵家だ。行き届いている。


「気づいたかしら? せっかくいただいたのだからお出ししてみたのよ」


侯爵夫人が明るい声で言う。

こちらに気を遣わせないためだろう。

わたしも見習って学ばなければ。

サージェス様にもトワイト家にも迷惑はかけられない。


そう密かに決意している間にサージェス様が口を開いた。


「そうでしたか」


その言葉の後でサージェス様が父に視線を向けて微笑む。


「美味しいです」


口に合ってよかった。

だけどやはり味のムラがある。

先日出したものとは少し味が違ってしまっていた。


「ありがとうございます」


父もほっとしている。

同じような懸念を持っていたのだろう。


気に入ったのか、それとも喉が渇いているのかサージェス様は再びティーカップに口をつける。

少なくとも気に入らないということはないようだ。


ほっとしたら喉の渇きに気づく。

わたしもティーカップを持ち上げてお茶を飲んだ。

慣れ親しんだお茶はどんな時でも心を落ち着かせてくれる。


サージェス様にとってもそのようなお茶になってくれたら嬉しい。


そんなふうに何となく思った。

読んでいただき、ありがとうございました。


短めなので次は3/25(水)に投稿します。

それ以降は金曜日投稿に戻ります。

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