話し合いのための人払い
リーリエ視点です。
流れ上必要な回です。
全然進みません。すいません。
「さて、そろそろお互いに気になっていることを話し合おうか」
おもむろに侯爵が告げた。
空気がぴんと張り詰めた。
「そうですね。それを話し合わなければ先には進めません」
父が応じる。
全員の顔が真面目なものになる。
「人払いしよう」
「お願いします」
恐らくお茶の話だろう。
お茶の話をするならば知る人数は少ないほうがいい。
わたしがグレイス様のお茶会に招かれたことはあったが、今まで家としての付き合いはなかった。
だからトワイト家の使用人がどこまで信用できるかは未知なのだ。
私的な訪問と家同士の話し合いでもまた違うことがあるだろう。
だからできれば人払いをしてもらいたい気持ちはあった。
だが向こうのほうが格上だ。
そしてここは侯爵家の屋敷だ。
こちらから要求するのはなかなか難しいところだった。
場合によっては貴家の使用人は信用できないと取られる可能性もあった。
だから侯爵のほうから申し出てくれて大変有り難い。
「家令だけは残してもいいかな?」
父は言葉にせずに視線だけで侯爵に問う。
「大丈夫だ。彼は口が堅く、忠義に厚い」
「私の忠誠はトワイト侯爵家に捧げております」
壁際にいた一人の男性が静かに告げた。
先程案内してくれた彼だった。
「それにこれから話し合うことを知っておいてもらったほうがこの先のことがスムーズに運べる」
「そういうことでしたら構いません」
「有り難い。聞いていたな? ヤレムを残して出ていってくれ」
ヤレムと呼ばれた男性を残して他の使用人は静かに一礼して部屋を出ていった。
壁際に残っているのはヤレムとうちの使用人だけだ。
侯爵家の使用人に出てもらったのだからうちの使用人も外に出さなければならない。
それが家同士のやりとりの場での不文律だ。
「うちも執事は残していいでしょうか?」
父がお伺いを立てる。
今度は侯爵が視線で父に問う。
「私の秘書も兼ねていますので」
「それなら構わない」
うちから連れてきたのは父の専属の執事と侍女の二人だけだ。
父が侍女に視線を向ける。
「悪いが外で待っていてもらえるかい?」
「承知しました」
侍女が一礼して部屋を出ていく。
「さて、では寄ってくれ」
侯爵がトワイト家の家令と我が家の執事に声をかける。
「「はい」」
トワイト家の家令が侯爵の斜め後ろに、我が家の執事が父の斜め後ろにそれぞれ立った。
「では始めよう」
全員が真剣な顔で侯爵を見た。
「まずは基本的なことから確認させてもらう」
「はい。どうぞ」
何を言われるのかと、父の顔に緊張が表れている。
よく見れば母もだ。
恐らくわたしも同じだろう。
「貴家の生産しているお茶の件について知りたい」
「具体的にはどのようなことを知りたいのでしょうか?」
「販路はどうしている?」
「知り合いに卸しているくらいですね」
「収穫量は?」
「それほど多くは作っていません」
「何故?」
「何故、とは?」
父の顔に困惑が浮かぶ。
それは母も、わたしもだ。
母にもわたしにも侯爵が何を言いたいのかわからない。
読んでいただき、ありがとうございました。




