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砕け散った初恋の後に、最後の恋をあなたと  作者: 燈華


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順当に進むお見合い

リーリエ視点です。

少し短めです。

思いがけずお茶の話で目的から外れていたけれどその後は順調に話は進んでいった。


受け答えもきちんとできたと思う。

サージェス様も真摯に向き合ってくれているのが伝わってくる。

両親も感触として悪くないのか穏やかに話をしている。


雰囲気としては悪くない。

ただ始終友好的な様子の侯爵夫妻に戸惑う。


サージェス様やグレイス様が何かおっしゃってくれたのだろうか?


むしろそれしか考えられない。

こちらは子爵家なのだ。


フワル侯爵家はどことなくこちらを下に見ていた様子があったのにトワイト侯爵夫妻はそのような気配すらない。

それどころか対等な相手として見てくれているようだ。


思えばグレイス様もサージェス様もそうだ。

わたしを下に見ることは一度もなかった。

少なくとも下に見られていると感じることはなかった。


それともそれがトワイト侯爵家の方針だったりするのだろうか?


サージェス様やグレイス様の様子を(かんが)みれば十分に考えられることだ。

それでも友好的な態度はやはりサージェス様とグレイス様のお陰だろう。

対等に見ることと友好的な態度というのは同じではないのだから。


素直に有り難いと思う。

せっかく縁を繋ぐなら侯爵夫妻にも好意的に思ってもらえるほうが有り難いのだから。

あとは失望されたり期待外れだったと思われないようにしないと。


それがサージェス様とグレイス様の信用に応えることになるだろう。

わたしは改めて気を引き締めた。






話が一段落したところで父がわたしを見た。


「リーリエ、サージェス様に庭を案内して差し上げたらどうだい?」


お見合いではよくあることだ。

二人で話してみて相性を、時として本性を見るのだ。


フワル侯爵令息との婚約の時はこのようなお見合いはなかった。

当主同士の話し合いで婚約が決まったのだ。

そういう場合もよくあることだ。

特に爵位差がある場合にその傾向がある。


サージェス様はどうしたいのだろう?


わたしはサージェス様に視線を向けた。

サージェス様は穏やかな微笑みを浮かべて口を開く。


「是非」


考える様子もなかった。

サージェス様は何かわたしに話したいことがあるのかもしれない。

控えめに微笑む。


「わかりました」


すっと立ち上がったサージェス様がわたしに歩み寄り、そっと手を差し出してくれた。

その手に手を重ねて立ち上がる。


トワイト侯爵夫妻に略式の礼をし、サージェス様のエスコートで部屋を出た。


読んでいただき、ありがとうございました。


次回は9/10の予定です。

その後は毎週金曜日更新に戻ります。

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