家族の反応が不可解なのだが
サージェス視点です。
ユフィニー家からの返事を緊張感を持って待っていた。
すぐに結論の出ることではないのはわかっているが、待つ時間というのは長く感じてしまうものだ。
自分でも意外なほど落ち着かなかった。
その様子を見てグレイスは呆れていた。
両親には微笑ましそうに見られて居心地が悪かった。
母などは興味があることを隠さずにリーリエ嬢がどんな令嬢かを訊いてくる。
グレイスのほうが詳しいですよ、と矛先を変えてみようとしたが、「サージェスから見たリーリエさんのことが知りたいのよ」と笑顔で言われてしまった。
無言を貫こうとしたが、母はしつこかった。
結局は根負けして話すことになってしまった。
かなり根掘り葉掘り訊かれた。
ある程度は答えたが、のらりくらりと避けたこともある。
母と言えども全てを話せるわけではない。
私がリーリエ嬢の婚約解消に裏で動いていたことを知っている父にも全容は話していない。
全てを知っているのはグレイスだけだ。
協力してもらうためにグレイスには細かいところまで話してあった。
グレイスもいろいろと情報をくれた。
恐らくは全てではないだろう。
それでも構わない。
必要で重要なことは教えてくれていると信じられるから。
グレイスも随分とリーリエ嬢を気にかけていたのだ。
彼女が傷ついたり不利になるようなことにならないようにする情報は渡してきているはずだ。
母はある程度の情報を聞き出すと一応は満足してくれた。
今回はこれくらいでいいと言っていたからまた訊かれるかもしれないが。
後から聞けばグレイスにもリーリエ嬢がどのような令嬢かを訊いたらしい。
どれほど母の興味を引いたのか。
今まで私の婚約者候補になった令嬢たちの誰にもここまでの興味を抱かなかったというのに。
会っているというのならともかく、会わずしてそこまでの興味を持つことが不思議と言えば不思議だ。
私の婚約者になり、いずれトワイト侯爵夫人になるというのであれば、候補になった令嬢たちも同じであるはずだ。
リーリエ嬢と彼女たちと何が違うのだろう?
それをグレイスに言えば、曖昧な微笑を浮かべていた。
何か知っているのだろうか?
女性同士で何か話したのか、通ずるものでもあるのか。
知っているとしてもこの様子では教えてくれそうにない。
何かしら不都合なことになりそうなら情報はくれるだろうがそのような様子もない。
それならば知らなくとも、むしろ知らないほうがいいのだろう。
長く感じたが、実際は数日しか経っていないある日のこと。
父に呼び出され、手紙を見せられる。
ーー一度顔合わせの機会を。
即座に断られなかったことにほっとした。
「で、どうする?」
何故かその声は笑いを含んでいるように思える。
「是非お願いします」
「わかった。予定は空けられるようにしておくようにな」
「はい」
予定が空けられずに顔合わせの機会を逃してそのまま断られるのだけは避けたい。
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