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初恋

初めて婚約者であるノークス・フワル侯爵令息と顔を合わせた時のこと。


わたしはがちがちに緊張していた。


格上の侯爵家の嫡男。

自分が不興を買ってしまえば事業提携が白紙になってしまうかもしれない。

さらには侯爵家の不興を買ったとして、他の家からも距離を置かれてしまうかもしれないのだ。


わたしの家であるユフィニー家はしがない子爵家だ。

貧乏というほどではないが、侯爵家からにらまれれば危うくなる。

粗相(そそう)は許されなかった。




婚約者になって初めての顔合わせはフワル侯爵家で二人だけのお茶会だった。




先に庭先に置かれたテーブルに案内されて座っていた。

粗相をしてしまうのが怖くてせっかくの庭に視線をやることも、目の前に出されたお茶やお菓子に手を伸ばすこともできずにじっとしていた。


少しして現れたのは柔らかそうな栗色の髪と黄金色の瞳を持つ整った顔立ちの青年だ。仕立ての良い服を着て品のいい雰囲気を持っている。

さすが高位貴族だ。


緊張しながら立ち上がろうとすると「そのままで」と言われる。


「待たせて済まなかったね。君の婚約者になったノークス・フワルだ」

「リーリエ・ユフィニーです」


緊張して噛みそうになった。自分の名なのに。


呆れられただろうか?

不愉快にさせただろうか?

こんな女が侯爵夫人としてやっていけるかと不安にさせたかもしれない。


そろりと彼を窺う。

彼は一切そんな素振りを見せなかった。

わたしはほっとした。


「リーリエ嬢、初めまして。これからよろしくね」


彼は太陽のような眩しい笑顔でそう言った。


その笑顔に、わたしはあっさりと恋に落ちた。


読んでいただき、ありがとうございました。

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