亜空間 その5
「目前がする」
連続で技法を使いすぎたせいか、貧血気味だ。
気を抜いた途端、倒れそうになるが手元からアスタロトは離れ、人間体になり俺を支える。
「だ、大丈夫ですか!?」
心配そうにこちらを見つめる彼女に微笑み返す。
「それよりもここが完全に消滅する前にどう魔法世界に帰るかだよな……………アスタロト、なんか方法はないのか?」
そう聞くとアスタロトは答えた。
「一つだけあります。それは私を使ってワープゲートみたいな物を作り、亜空間と魔法世界を繋げる方法です」
「ワープゲート………………確か、使いこなすのが難しい魔法だな‥‥‥‥‥‥‥そんな高度な魔法と同じことが出来るのか?」
「出来ます、今いる座標と目的地の座標を繋げるだけですから。ただ……..….」
少し言いづらそうに俺を見つめてが意を決して言った。
「ただ、失敗したら時空の狭間に飲み込まれてしまいます」
「……………………時空の狭間ね」
噂では聞いたことがある。確か、世界を渡る際に生まれる空間のことだったと思う。
それに飲み込まれたものは一瞬で消滅すると言われている。
「そっか、じゃあその方法を試そう」
「ちょ、きいてました!?」
俺が流すように言うとアスタロトがツッコむ。
「アスタロトは危険と言いたいんだろうけど少しでも生きて帰れる方法があるならそれにかけたい。‥‥‥‥‥‥約束したんだ、あいつに絶対に戻ると」
「‥‥‥‥‥約束ですか」
俺はミゼラのことを思い浮かべ、思いを馳はせる。
「どちらにせよ、ここから抜け出さないと俺たちは消滅する」
「…………………分かりました、危険な賭けですがやりましょう。私の手を握ってください」
「ああ」
俺は言われるままにアスタロトの手を握る。
「人間体でも権能、使えるのか?」
「はい」
この子、本当に妖刀なんだよな?
妖刀が本来の姿だとするならば人間体は仮の姿だ。
その人間体で妖刀の時と同じ力を使えるとしたら飛んだチート性能だ。
「じゃあ、いきますよ」
『権能 憂鬱』
アスタロトが空間に裂け目みたいのを開けた瞬間、吸い込まれた。
「「うぁぁぁぁぁ」」
俺たちは裂け目の中に消えていた。
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