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第9話 触
お待たせしました。
いろいろあって更新が今になりました。
今回は、書いてみたらめちゃくちゃ短いですねw
ま、こんなのもあり、ということで。
いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
おっ父は、鳥天狗と異名を持つだけあって、すばしっこく動いた。屋根の上を次々と伝いながら、与兵衛を追って来る。その姿を視界の端に捕らえながら、与兵衛は恐怖におののいた。
……だめや、もう限界。
足が疲れてもつれた。慌てて体勢を立て直したが、おっ父は、見逃さなかった。
どん、という音とともに、おっ父は屋根から飛び降り、与兵衛の目の前に着地した。
与兵衛は止まろうとして、尻餅をついた。
「何で……何でや!?」
はあ、はあと息を切らせながら、与兵衛はそう言った。
おっ父は鳥天狗の黒いお面を外さない。カチャリ、と音がしたと思ったら、おっ父がスッと自らの刀を引き抜いた。
与兵衛は覚悟して、少し後ずさりながら背中の刀に手を触れた。
その時。何か温かいものが、ふわ、と与兵衛の手を包み込んだ。