第5話 勧
これを手元のノートに書き始めた時は、鬼滅の刃を知らなくて、
それが1度目の社会現象となり始めた頃でした。(今が2度目だと思う)
普段、他の人の書いた物語は、影響されて盗作になりかねなくなるので見ないのですが
先日、ねずこを書こうとグーグルさんに訊いたら、
別のキャラにおっ父と同じような見た目の人がいたので
急遽変更しました。
天狗だということは変わってないけどね。
いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
おっ父に、何とも言えない寂しそうな笑顔と質問を向けられて、与兵衛は何も言えなくなった。
「戸を閉めろ。その刀を抜け、与兵衛」
与兵衛はおっ父に言われた通りに戸を閉めた。でも、刀は抜かなかった。
「どうした? 刀を抜け」
くぐもったおっ父の声が、背後から聞こえた。振り向くと、天狗の黒い面を被ったおっ父、鳥天狗の顔が肩ごしの目の前にあった。
与兵衛は戦慄した。何て気の隠し方や……!! 一瞬で背中を取られた!
でも、与兵衛も負けてはいなかった。すぐさま、その場から飛び退いた。
「俺を抜いたほうがいいぜ、与兵衛」
「刀を抜けと言っているだろう」
刀とおっ父、二人同時に声をかけられた。与兵衛は両方聞き逃さなかった。
「嫌や!!」
叫びながら、与兵衛は手当たり次第、走って、走って、おっ父から逃げ出した。
少し走ってから振り向くと、近くにあった梯子で屋根の上に上るおっ父が視界に入った。
屋根を伝って追って来る気やな……!! おっ父が諦めるまで、何とか逃げなあかん!!
いよいよおっ父が実戦態勢だということが分かって、与兵衛は足にさらに力を込めて走った。背中の刀も捨てたいが、今は物騒な江戸である。お侍さんに見つかったら、何をされるかわかったもんじゃない。それこそ、先ほど与兵衛が見たように、殺し合いになるやもしれないのだ。それは避けなあかん!!!