第7話 黙
いつもの更新時間より遅くなりました。
さすが水星逆行だなあ。
おっ父の言葉の真意が明かされるのはだいぶ先になります。ってかまだ書けてないw
いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
おっ父が近づいてきて、与兵衛の背中から刀を抜こうとした。与兵衛は思わず、その手をぱっと掴んで言った。
「何や? おっ父?」
おっ父はちょっと驚いた顔をしたが、刀から手を放した。
「ああ。すまない。その刀、お千代やおっ母に見られたくはないだろう、と思ってな」
「うん」
お千代の可愛らしい寝顔を思い浮かべながら、与兵衛は頷いた。
「おれがやるからええ」
「どこに隠すんだ?」
「お堂の中、お不動様の後ろや」
すたすたと歩きだしながら、与兵衛はそう言った。
「駄目だ、与兵衛」
いつになく強い口調だった。
「何で、駄目なん?」
与兵衛は立ち止まって振り向いた。
「ゲン様が、殺気を放ち続けている。そんな刀を誰も居ないところに放ってはおけない」
「放ってはおけんと言われたって……。どうすりゃええん?」
「おそらく今から誰かを殺せば、その尋常でない殺気はおさまるだろうな」
その一言を聞いて、与兵衛は背筋が凍る思いがした。誰かを殺すって、おれがさっき見たやつやんな? そんなことできるかいな。
「誰か……。そう言えば、『奴』ってさっき言うてたな」
「そのようだな」
おっ父はそう言うと、月明かりに照らされて、悲しいような、寂しいような、笑顔を見せた。
「おそらくだが…」
「何?」
与兵衛が訊いた。
「ゲン様が殺したいのは私だろうな」
刀はその言葉に沈黙したままだった。