御礼小話1.思い出は今も
present for Ms.nekokichi
私の名前はソニア。
グリューノス家の直系にして長女。
両親の優れた容姿と頭脳を受け継ぎ、麗しき女神と社交界でも評判を維持するだけの努力も怠らない、幼いころから社交性を備えた生まれながらの淑女。
公爵家の一の姫。
完璧な女。
それが私。
だから
「へへっこんなに上手くいくとはなぁ」
「だな。ツいてるぞ、おれ達」
「傷ものになりたくないなら大人しくするんだな、お嬢様ぁ」
「………」
昔から誘拐されるなんていうのも日常茶飯事。当然よね。良い女なら誘拐経験の五回や六回、当たり前だわ。
ソニアは縛られた両手首を交互に動かした。簡単に外れそうもない。紐がきつく縛られているので肌に食い込んで痛い。微かに眉を潜め、さりげなくあたりを見渡す。彼女の様子を愉快そうに眺める男達が一、二…三人。今はいないが他に仲間がいた筈だ。簡素な部屋には家具らしいものがない。空き部屋か物置といったところか。
淑女を招待するなら、せめて柔らかい椅子の一つも用意していてほしいものだわ。
「………」
ソニアは数秒目を瞑る。そうするとじんわりと目元が潤ってくる。瞳を二、三度瞬かせ、潤んだ瞳で彼らを見上げた。
「わ…私をどうなさるおつもりですか?」
震える可憐な声音に男達は口笛を吹いた。如何に公爵家の姫という雲上の令嬢も、たった一人で沢山の男達に囲まれれば怯えるのは当然だ。男達は余裕のある態度で彼女に近づき、優しさを演出しようとして失敗した卑下た笑みを見せ付けた。
「なあに。ちょっとお嬢様のお父上からお情けが欲しいだけだ」
「お情け?」
「ああ。俺達、今すごく生活が苦しいんだよ。でな、その苦しい俺達を助けてもらいたいだけなんだ」
「毎日の食事にも事欠くくらいで、是非ともお慈悲がほしいね。…ああ、ついでにこいつも貰おうか」
内の一人がソニアの首元のペンダントに手を伸ばす。憐みを乞う割に目ざとくペンダントに目を付けるものだ。大粒のシトリンのペンダントは、その価値が分からない人間でも高価だと分かりやすい。金額でいえば今履いているミュールの方が高価だというのは彼らに言う必要はない。だが、ペンダントの方がソニアにとってはミュールと比べ物にならない大事な物。それを触れられてソニアは内心大いに顔を顰めたが、何も言わず大人しく盗られるままにされた。
「…お金なら、望むだけ…。ですから、どうか命は…」
肩を震わせ涙を目に溜める少女。目を伏せれば睫毛に輝く丸い水滴がよく見える。見下ろす男達の角度から見える彼女はより美しく見え、男達の喉が鳴った。
「…ああ。勿論だ。貰えるもの貰ったらすぐに解放してやるよ」
「だから大人しくしていてくれよ。手荒な真似はしたくない」
「…へへ」
男達は目配せして男を一人残して部屋を出て行った。
残った男の笑みにソニアは貞操の危機を察知した。出ていった彼らは残りの仲間でも呼びに行ったのだろう。好都合だ。さっさと済ませてしまおう。
ソニアはそっと目を伏せ、残った男を呼んだ。
「あの…」
「何だ」
「手が痛いのです。どうか、お願いです…少し緩めてくださいませんか? 決して逃げないと誓いますから」
「んなこと信用出来るわけねえだろ」
「お願いです。こんな、戦う術もない私に何が出来るでしょう。あっ痛い…血が…」
「………」
見ると少女のいう通り、手首が赤く擦れて痛々しい。彼女は見るからに無力だ。震えることしか出来ない、大人になりきる前のひ弱な少女。ほんの少し緩めたところで―たとえ暴れたところで―同行できるはずもない。
…どうせ仲間が帰ってくればこの少女は自分達に身体を好き勝手された後、何処かに売られるのだ。この少女に僅かな希望を抱かせてやって、それから絶望のどん底に沈めた時、この少女はどんな顔をするだろう。美しい顔が醜く歪むのを想像し、彼は頭から足の先まで痺れるような快感を感じた。
おかしいな…自分は特に嗜虐趣味はなかった筈なのだが…
とにかく可憐な少女の(脳内の)痴態に誘惑され、彼は縄を緩める気になった。
「…仕方ねえなぁ」
彼は少女に近づき、目の前で膝を付いた。
「ほら、手を出してみ」
男の言葉は最後まで続けられなかった。
「私に触るんじゃないわよ、下衆がっ」
可憐な唇から、ほんの一瞬前まで怯えていた少女から発せられるとは思えない言葉が吐き捨てられた。涙を溜めていた筈の瞳はからりと乾き、床に倒れ股の間を抑えて呻くことさえ出来ぬ男を睥睨している。
「手首に跡が残ったらどうしてくれんの。傷くらいで私の価値が下がりはしないけど、痛いものは痛いのよ」
蹴りあげた脚をスカートの中に仕舞い、すっくと立ち上がる。そしてきつく縛られている筈の手首をこきこきと鳴らし、するり縄を抜けた。
「ああ、もう、肩凝っちゃった」
うーん、と腕を上げぐんと身体を伸ばした。冷たい床に直に座らされて冷えてしまったお尻も温めるように撫でる。手首を撫で、様子を診ながら再び鳴らして元に戻した。この程度の手首の赤みなら、ふんだんにレースをあしらったカフスで隠せる。
「か弱い少女を攫って楽にお金を手に入れようなんてカス人間、いくらでもいるわ。その対策を取らないほど最近の令嬢のおつむは弱くないのよ」
男の返事がないのにも構わずソニアは喋り続けた。喋りながら、自由になったソニアは部屋の唯一の扉に近づき、手近にあった木の延板を取っ手に引っ掛ける。これで扉を壊さない限り出て行った男達は中に入れない。戻ってきたついでに呻くくらいには回復した男にもう一発食らわせて再び黙らせる。
「んー…」
ソニアは天井を見上げた。天井近くに窓が一つ。小さいがソニア一人くらいなら通れる大きさだ。随分高い場所にあるけれど、高さはソニアにとって障害にはならない。
ソニアはふんわりと膨らんだスカートの中から何やら棒のような物を取り出し、先端に付いている尖っている部分を壁に突き立てた。それを何個か繰り返す。
「ん、よし」
全てが完了すると全貌が明らかになった。壁に付き立てられた棒は天窓に続く階段になっていた。一段目に足をかけようとしたところで、男が僅かに顔を上げてソニアを睨みつけた。案外丈夫な男だ。
「このアマ…ただで済むと…思うな」
「それはそっくりそのまま返すわ。精々あと僅かな自由な時間を味わうことね。今日の夜には貴方達全員、仲良く暗い独房の中にいるでしょうから」
「な…んだと」
さっと軽い足取りで即席階段を上り、天窓に到着。天窓の格子もスカートの中の器具で簡単に外す。
ソニアが男の股間に一発食らわせ、天窓の格子を外すまでに十分かかっていない。
「待てっ……外は三階っ」
「じゃあね」
男を振り返り、最後に指先をぴらぴらと振り、ソニアはひらりと天窓から部屋を抜け出した。
「くそっ」
男がふらつきながら窓に近づこうとした時、俄かに扉の外が騒がしくなった。
「な…何だ」
彼はよろよろと扉に掛けられた延板を外して首だけを外に出す。
「お前が最後の一人だな」
「……へ」
仲間の誰でもない男の声を聞くのと同時に、彼は地に叩き伏せられた。一瞬何が起こったのか分からなかったほどの早業だった。
「いないな…」
男が溜息を吐く。廊下の向こうから部下が彼に駆け寄る。
「公爵、姫君のお姿が何処にも見えません」
「全く…あのじゃじゃ馬娘が」
朦朧とする意識の中、そんな男達の会話を聞いた気がした。
「姉様」
ソニアが部屋から脱出して適当な木の幹に座っていると、木の傍まで弟のゴルグルドがやってきた。その繋いだ手の先にはまだまだ小さい妹のクロエがいた。寝起きなのか目を擦っている。その後ろには彼らの付き人がいた。ついでにソニア付きの従者も。こちらは真っ青な顔をしている。
「遅いわ。自力で脱出しちゃったじゃない」
「よくぞ…よくぞご無事で。わたしはもう気が気でなく…」
涙ぐんで跪きかねない従者に手を振る。
「ああもう。いい加減慣れなさいよ。ご無事に決まってるでしょ、誰の娘だと思ってるのよ」
「…慣れてしまったら終わりだと思うのですが」
従者の小言に聞く耳を持たず、さっと弟の方へ顔を向け、微笑んだ。
「ゴルグ、ちゃんと手筈通りにやったんでしょうね」
ゴルグルドは笑い返した。
「当然ですよ、誰の息子だと思っているんですか」
ソニアは膝裏で枝を挟み、後ろに倒れる。枝を両手で掴み、身体を一回転させて身軽に地に降りた。
「……お見事」
淑女という割に活発すぎるソニア。本人の弁では木登りを健康と美容の為というけれど、ゴルグルドはただの趣味だと思っている。
興味津津で自分を見上げるクロエにもソニアは微笑みかけた。
「クロエ。悪いお兄ちゃん達は私達がやっつけてあげたからね、もう安心よ」
「悪いお兄ちゃん?」
「そう、可愛い貴女をかどわかそうとした悪いお兄ちゃん」
クロエは己の危機よりも可愛いと言われたことに反応した。
「クロ、可愛い?」
「ええ、私の次に可愛いわ」
姉の自信に満ち溢れた笑みは、木登り同様ゴルグルドにはとっくに慣れっこであるので特に何とも思わないが、クロエは若干不満そうな顔をした。ゴルグルドは、姉の首元にある筈の物がないことに気付いた。
「姉様、ペンダントは如何なさいました」
ソニアの守護石シトリン。そのペンダントは父ラドゥーから贈られたソニアの宝物。
「…男達が持って行ったわ。ゴルグ、派遣した者達にその奪還も言いつけておいて」
「分かりました」
不愉快そうに鼻を鳴らした姉に了解し、ゴルグは後ろに控えるハリスに目配せした。
「ところで、このことはお父様達には内緒でしょうね」
良家の子女にとって誘拐は命の危険と同時に、名誉が損なわれる非常に忌避すべき事態だ。公になればたとえ未遂だとしても、傷物にされたと後ろ指を指される。今回は万全の対策をとって事にあたったので、ソニアの名が出ることなく事態を収められるだろう。
だが、ソニアにとって、名誉云々以上に、独断でとった今回の行動が両親にばれることだけは何としても避けたい。
片方から叱られるのだけでも精神的にきついのに、二人がかりとなると…いや、叱られるだけならいい。叱られる前に、自分が行った顛末の全てを、余すことなく自分の口から白状させられる苦行が待ち構えているのだ。
口籠もると間髪いれずに、それで? と続きを促される。言いたくないことを言わせられる、あの何とも言えない居た堪れなさは何度経験しても慣れることはないだろう。
ああ、想像しただけでぞっとする。
「勿論、内緒で出てきましたよ」
ゴルグルドは笑った。
「ないしょー」
クロエが嬉しそうに兄の真似をした。兄とこっそりこそこそ動いたことがまるで冒険のようで楽しかったのだろう。
「そう、それは良か」
「何のお話?」
ソニアとゴルグルドは固まった。
「母…様…」
茫然と呟いたのはどちらだったのか。
「おかあさまー」
クロエだけは分かっていないようで嬉しそうに大好きな母親に駆け寄る。娘を愛しげに抱き上げる母からは慈愛の他に、ソニア達への只ならぬ感情が感じ取れた。
「ねえクロエ、お姉様達と何をしていたの?」
「んーないしょーだからないしょ」
「母様…どうしてこちらに?」
彼らの母親は敢えてソニアの問いを無視した。
「三人だけで内緒話なんて母様寂しいわ。私達も仲間に入れてもらおうかしら。ねえ、ラゥ」
「そうだね」
父の登場に、ただでさえ窮地に立たされていた二人はもはや断崖絶壁に片手でぶら下がっている状態だった。
「父…さ…ま、も」
「何で…」
「あら、私達は二人でお散歩していただけよ。たまたま」
「そう。たまには遠出でお散歩してもいいだろう」
父と、彼に寄りそう母の姿は、確かに二人でのんびり散歩の最中だと言われても納得できる装いだ。だが今は夕刻。既に日も暮れかかっている。どう考えても散歩には遅い。それも街の郊外にまで出ていくなんて。
三十を超えた今も仲睦まじい二人は子供の目から見ても微笑ましいが、しかし、今はその睦まじさが怖かった。二人で共同戦線を張られると子供たちに勝ち目はない。
「自分達がどれだけ危険なことをしていたか、ちゃんと分かっているかい?」
「貴女のペンダントは何処? 肌身離さず持ってた大切なものでしょう?」
「俺達に見抜かれずに動くには、まだまだお前達は甘いよ」
「親を心配させるなんて、貴方達はもう幼児ではないはずなのだけど」
「あ…ぅ」
両親には何でもお見通しらしい。
「私達の目を盗もうなんて、千年早い」
笑みを消した母の眼光に、グリューノス公爵家の長女と長男は帰宅後のお仕置きに慄き、項垂れた。
「姉様」
屋敷の一際高い木の上で涼んでいたソニアは、弟の声に下を見下ろした。
「またこんなところに。貴女の従者が探し回ってましたよ」
「いいじゃない。自分家で何処にいようが勝手だわ」
「未来の王妃の趣味が木登りなんて、いい笑い物ですよ」
「今の私なら、木登りだって流行させられるわ」
外の景色がよく見える木の上は、昔からソニアのお気に入りの隠れ家だ。それは成長し、一人の女性となった今でもたまに訪れている。子供の頃に戻れるようで、ソニアは温かい気持ちになれるのだ。
「ねえ、ゴルグ。今ね、昔のことを思い出していたの。覚えてる? クロエがまだ小さい頃、私、誘拐されたでしょ?」
「ええ、態とね」
「三人でこっそり誘拐犯をとっちめようとしたのに、結局父様達にバレちゃって…ふふ、あの時は参ったわ」
ゴルグルドも鮮やかに過去の出来事を思い出し、苦笑した。あの時も彼女は木の上でゴルグ達を待っていた。
あの後、ソニアとゴルグルドは己の行いの自己申告を直立不動で、目の前でソファに座り静かに聴く両親の前で披露した。
その翌日には、家庭教師から山のように積まれた課題を贈られた。
食事には必ず彼らの嫌いな食べ物が入っていた。
母様の侍女アルネイラから怪談話を聞かされた(その夜は窓から誰かに見られているような気がして仕方がなかった)…などなど、数々の精神的な痛手を被った。今でもはっきり覚えている。
その内どれが一番堪えたのだったか、ソニア達は魔の十日間を思い返す度、両親を出し抜ける程の実力を身につけるまで、もう二度と勝手な振る舞いはするものかと、心に誓った。
だけど、喉元過ぎればなんとやらで、また両親を見返そうと色々試して、挑戦して、その度に叱られて、結局敵わないまま……ソニアは、明日、家を出る。
その思い出は、ずっと嫌な記憶でしかなかったのに、いつの間にか、こうして笑い話になっている。
懐かしく思えるほどの月日が経ったのだ、と痛感した。
「…そりゃ私も結婚する歳になるわよね」
ソニアは首に下がっているシトリンのペンダントに触れた。ソニアの成長をずっと見守ってくれたつぎはぎと同じだけ、否、それ以上に同じ時を過ごした無二の相棒。大事なお守り。
「つぎはぎとも暫く会えなくなるわね」
「僕らとの別れは惜しんではくれないのですか」
「未来の公爵様とならいつだって会えるもの。立場が変わって、少し勝手が変わってしまっても…私は変わらないままでいてみせる」
「……変わりませんね、姉上」
今はその頑固さが嬉しい。
「私は私だもの。私のドレスの裾に余計な物がひっついてきたって、所詮私を引き立てる飾りよ」
シトリンの宝石言葉は“自信”。そして金運のお守りでもある。これほど彼女にピッタリな守護石もない。
ソニアは軽々と身体を回転させて木から降りた。その拍子にふわりとスカートが花弁のように翻る。弟の目から見ても森の妖精のように可憐で美しい。若かりし頃の母様にそっくりだ。
「家族と好きな時に会わせてくれない夫なんかに用はないわ。私は私の好きにさせてもらう」
「皇太子は良い方ですよ」
「それは私が判断することよ」
我が強いのはソニアの長所だが、果たしてじゃじゃ馬も健在な姉を皇太子は乗りこなせるだろうか。会えば言い争いの絶えない二人だが、これで中々相性がいいとゴルグルドは思う。でなければ彼女がシトリンのカフスボタンを彼に贈ったりしないだろう。恐らく両親の様な円満な夫婦とはいかないかもしれないが、何とかなるだろう。何とかならなくても、何とかしてもらおう。
屋敷の方からソニア達を呼ぶ声が聞こえてきた。クロエの声だ。
「そろそろ戻りましょう」
「…ええ」
部屋に戻ったら朝早の出立の最終確認をせねばならない。それを妹は呼びに来たのだ。後回しにしたってどうせ出立が延びるわけでもないのだが、さっさと済ませるのは嫌だったのだ。
家族とはいつだって会える。でも、恐らく、つぎはぎとはもう会えないから。
叔母のツェツィーリエからつぎはぎを受け継ぎ、私からゴルグルド、今ではクロエの手に渡っているが、彼も家族だ。つぎはぎは夜にしか会えないから、家族の一員なのに、会えなくなってしまうのだ。ゴルグにはああいったが、やはり、少し…ほんの少しだけ……寂しかった。
「こんなところにいらっしゃったのですね」
のろのろと庭を歩いていると、庭まで出てきたクロエと合流した。ソニアが誘拐された当時と同じ歳になったクロエはどちらかと言えば父似だ。甘い容姿の中に凛々しさが備わっている。
「いいじゃない。別に急ぐことでもないじゃない」
「急ぎですよ。出発は明日ではないですか」
分かり切ったことを言う妹にへそを曲げかけたが、彼女の腕の中の物に気付き、目を丸くした。
「…つぎはぎ」
クロエはこの歳になってまでぬいぐるみを抱えて歩きまわったりしない。けれど、姉を探し回るのに、態々ぬいぐるみを携帯しているのは意味は……
「つぎはぎが、今晩は久々に一緒に眠りたいんだそうですよ」
敢えてそんな風に言うのはクロエなりの気遣いだ。ソニアは自分からつぎはぎに会いたいなんて絶対言えないから。
「なら…仕方ないわね」
クロエからそっとぬいぐるみを受け取る。抱きしめれば一番古い記憶から順に思い出が脳裏を過っていった。母様やソニアに丁寧に繕われた体は柔らかくて、懐かしい。
自然と言葉が零れた。
「大好きよ。愛してるわ。つぎはぎも、貴方達も。すっと…ずっと大好き」
それは、変わらない愛情の約束。
ソニアの腕の中で、つぎはぎの赤い瞳が、嬉しそうに瞬いた。
お久しぶりです。トトコです。
活動報告にもお知らせしましたが、GW中に海外旅行に行ってましたので、更新が遅れました。
今回は、お礼小話という形で更新させていただきました。
お礼小話は小話を捧げたい方の為に書かせていただいたものです。
まずは、メッセージボックスの方で楽しくやりとりさせていただいた猫吉様に捧げます。