目覚めてびっくり
うううっ…苦しいぃ…。はっ! と目覚める。体が重たい…。そうか…ダンモフが胸の上に乗っかって寝ているのか…。
「ちょっとどいてよ」 ? びっくりする。この部屋に女の子がいるの? ベッドが部屋の半分を専有するほどの狭い空間。目線だけで部屋の様子が手に取るようにわかる。あれ? 誰もいない。
気のせい? うさ角は隣で枕を使い可愛く寝てる。メタフォは股の間で太ももを枕に寝ている。魔物は人間の言葉を離さないよね? 重たいダンモフを体からベッドに降ろし、ベッドの上に座る。
座ると見慣れないものが視界の下の方に…。何だこれ? 豊満な胸がそこにはあった。下から持ち上げるが、それは自分に付いていた?
「えっ!? やだ…。どうなってるの??」先程聞こえた声だった。あれ? もしかして自分の声?
体中を確かめると、昨日まであった自慢の筋肉が消え、ぷにぷにの柔らかいお肉へ変わっていた。ベッドを降りるとズボンの裾が長すぎて転んでしまった。「いたぁぁぁぁい!!」
「これこれ、朝から何を騒いでいるんだね?」とイーノーベ老婆が部屋に入ってくる。
「お婆ちゃん。わたし、お、女の子になっちゃった」と声を荒らげた。
イーノーベ老婆と一緒に検証した。女の子になっている。背が縮んでいる。全体的には7歳ぐらいの幼女。でも体はムッチムチな恵体。言葉や仕草も強制的に女の子っぽくなる。
「安産型だね」とイーノーベ老婆が嬉しそうに言った。
「安産型とは、何?」
「ん〜。それは後で説明するにしても。困ったわね。ベネツィオが女の子だとわかったら、村の男どもは、結婚を申し込んでくるよ? わかってると思うけど、女に拒否権はないからね」さて、どうしましょうと、イーノーベ老婆は困惑した顔で言った。
「どうしよう…」と言いながらも、頭の中が混乱している。
「まぁ…。そうさねぇ…」イーノーベ老婆は、物置から”革の胸当て”と”アカデミックローブ”を持ち出してきた。「ちょっと待ってな」と言うと、何やら工具を取り出し改良を始める。イーノーベ老婆は、一体何者なの?
それよりも、この姿になってしまった原因を考える。一番怪しいのは、昨日出会った悪魔かな? 血の契約とか冷静に考えると怖すぎるよね。それとも、緑色の液体が入った試験管? そう言えば、使用上の注意が書かれた紙があったよね? 紙を探していると、お婆ちゃんに呼ばれたのです。
下着姿にさせられたわたしは、わたし用に改良した”革の胸当て”を胸に着けられた。
「苦しいかも知れないけど、胸を目立たないようにするから、我慢しなさいな」
その上から黒いフード付きの”アカデミックローブ”を羽織ると、”革の胸当て”も胸も、あまり目立たなくなった。なぜかローブはわたしサイズに自動調整された。
「これで見た目は、どうにかなったね。あとは、話し方だね、声を低くするんだよ?」
「うん。わかったわ。でも、お婆ちゃんは、何者なの?」
「今、それは重要じゃない。それより、その姿になった原因に心当たりはあるのかい?」
悪魔との契約は内緒にして、まずは、使用上の注意が書かれた紙を探し出す。その紙には、大変なことが書かれていたのでした。その紙をお婆ちゃんに渡し、昨日あった出来事を、一つ一つお婆ちゃんに伝えるのでした。