緑色の液体
3台の馬車が北へ向かって進む。村人は北への道など使わないため、整備されていない荒れた道だった。ブリタルアの隣で俺は、父親がいたらこんな感じなのかなと考えていた。
”夜の森”に入る頃、村では魔物を巡り同年代の子が競い合っているのだろうと思っただけで、悔し涙が出てしまった。そんな俺を見てブリタルアは、予想外の質問をしてきた。
「父親を恨んでいるか?」
「恨む? さぁ…。会ったこともないから…」
「そうか、まぁ、そうだな。話は変わるが、俺が村に来るのは、今年で最後だ」
正直、どうでもよかった。
「おい、もっと悲しそうな顔するもんだぞ?」
そう言われても…。今年も来なければよかったのに…。
「俺からの餞別だ。この薬を飲んでみろ」試験管に入った緑色の液体だった。
「病気でもないのに薬なんて飲めるかよ」と言いながらも勢いに負けて飲まされてしまう。
・魔:☆☆☆☆☆☆☆☆
☆の数が、8つに?
「それと、この短剣をやる」ぽいっと短剣を投げられたので受け取ると、馬車は停車する。
「ここでお別れだ」なんのために”夜の森”まで連れてこられたかわからない。薬と短剣を渡すぐらいなら、村の中でもできたじゃないか。本当に意味がわからない。
そして”夜の森”に一人残された。昼間でも密集した木々により、ほぼ光が入らない森。そんな森に戦闘手段を持たない子供、一応成人だけど…を一人残すなんて…。
「魔物とか出たらどうするんだ?」と呟き、恐怖心を無くそうと努力する。走って帰りたいが、体力温存も大事だ。先程、渡された短剣を抜く。それだけで多少、勇気が出てくる。人間って単純だな。焦っていると洞察力が著しく低下しているのか、足元から注意が消え、躓き顔面から転ぶ。
「あたたた…」何に躓いたかを確認すると、それは人の右足であった。それ以外は落ち葉やなんやらに埋もれていた。「だ、大丈夫ですか?」と体を埋め尽くしていたゴミを全て退ける。
「あぁ…すまんな。でも、そのままでも、よかったかもしれん」
話を聞くと、髭面の屈強な男は大盗賊団・銀の影の首領だとういう。No.2の裏切りにより追い詰められ、大怪我を負いながらも、この森に偶然に逃げ延びてきたらしい。腹に大きな穴が空いており、子供の俺が見ても、助からないと判断できた。
「俺は…時期に死ぬ。最後に…悪人の最後ってのは、一人寂しく死ぬって相場が決まっていたが、お前に会えて良かった。この薬をやろう。それと…俺が死んだら…。俺の個性を引き継げ。”魔法の箱”ってやつだ。便利だぞ?」
男の寿命が来て、”魔法の箱”を覚え、見慣れた薬を飲む。魔法の使用回数も伸びた。
・魔:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
⇒獲得魔法:魔法の箱
短剣一本では、大盗賊団・銀の影の首領を埋めるような穴を掘ることが出来ず、また落ち葉やなんやらで、簡単だが墓を作った。