プロローグ
「シンボル」
それはその人間を象徴するもの。
例えば、口から火を吹いたり、テレポートできたり、動物の生体の恩恵を受けたり、なんならパッシブで体重が異常に軽量だったり、治癒速度が尋常ではないくらい速かったり、体力が無限大なんてシンボルも存在する。
しかし、それを体に宿す確率は4人に1人と言われている。
己の存在意義を証明するにはあまりに少なすぎる確率。
それがあるかないかで良くも悪くも人生が大きく変わるといっても過言ではない。
いい意味では有名人になったり、稀少価値が高いと一生国家からの給付金で生活できたりする。
悪い意味では他人から指弾され、社会不適合者になったりと、まともな生活が保証されない。
そういった意味ではノンユニットでもいいと思う人は多い。
少数意見だが、奇跡を望む者もいる。
しかし、その願いは神が勝手に、デタラメに、理不尽に、無慈悲に決める。
産まれた直後から人生の篩に掛けられ、その大きすぎる奈落の穴に大半の人間が落ちて行く。
このラノベの主人公ソウヤもそれらの弊害を受けた人間だと言える。
彼は齢15才にして細胞の数でも数えきれないほどの絶望を味覚神経が麻痺するほど味わってきた。
砂漠を海にできるほど泣いた。
天地開闢に至るほど泣き叫んだ。
泣いて、泣いて、何度も泣いて、ついに理想の人生を手にいれることは出来なかった。
それでも、ソウヤの人生の中でも最も栄光に輝いた人生をここに綴る。
何億もの苦汁を舐め、それを糧にしてもまだ足りない。けれど届いた。
それは彼にとって刹那といっても永すぎる、そんな儚い全盛期。
初投稿です。よろしくお願いします。今のところは不定期投稿です。