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タッカー
タッカー・トラッテーロは茂みからよろめき歩き、そのままバタリと倒れた。
「あっ、タッカー兄ちゃん! どうしたの?」
チェコは走り寄るが、ヒヨウは鋭く叫んだ。
「チェコ、そいつは敵の一味なんじゃないのか?」
「よく判らないよ。
プルートゥはキャサリーンねぇちゃんのテレポに巻き込まれたって言ってたけど!」
チェコが抱き起すと、タッカーは弱々しく言った。
「僕は、プルートゥとは手を切ったんだ…」
ヒヨウは腕を組んで、タッカーを見下ろす。
「言葉だけで信用すると思うのか」
タッカーは、そうだよな…、と呟き、胸元から一枚のカードを取り出した。
「ああ!
パトスのカードだ!
精獣の仔、パトスだって!」
ヒヨウは、
「しかしそれが、百パーセント敵ではないという証拠には…」
と言うが、チェコはタッカーに聞いていた。
「タッカー兄ちゃん!
パトスたちはどうなっているの?」
ああ、とタッカーは頷き、
「先祖返りの村の女王に案内されて、囁きの洞窟に向かった。
一度村に帰って、井戸の中を調べるんだ…」
言うと、タッカーは気を失った。




