村の小道
見たところでは、かなり美しい金髪の娘が、無残に首から上半身を一刀の元に切り裂かれ、木の根元に仰向けに倒れていた。
白いブラウスが破れ、豊満な胸が、闇に白く輝いている。
周囲の木々は、この小道だけ、森の他とは違うようだ。
ここは、どうやら人が手を加えた雑木林であるらしく、果樹や薬草などが選んで植えてあったらしいが、もはや、誰も利用するものは無くなっていた。
片足が肥大化した子供が胸を一突きに刺されて死んでいて、近くで毛むくじゃらの大女が、両手に剣を持ったまま、モズのはやにえのように、木に串刺しにされていた。
「うわぁ…、酷い…」
チェコは呟く。
道の終わりに、数人の死体が、全身バラバラになって巻き散らかされていて、周囲には胸が悪くなるほどの血の臭いが漂っていた。
「もはやスペルを使うまでも無かったんだろうな…」
ヒヨウも呟いた。
「だ…、だけど、いかにプルートゥとはいえさ! どうして、こんなにバラバラに?」
チェコは、ヒステリックに叫んだ。
悪いジョークのようで、胸がむかつく。
知らず知らず、チェコは怒りに震えていた。
「おそらく、拷問だろう」
「拷問?」
「希望はあるぞ、チェコ。
プルートゥは、まだ妖精を手に入れていない。
たぶん、それを聞きだしたかったのだろうが、全員がこれほどバラバラという事は、口を割っていない様子だ」
あ…、とチェコにも判った。
「じゃあ、もう一度、捜索をすれば?」
ヒヨウは頷く。
が、その時、ガサリ、と奥の木が揺らめいて、一人の男が姿を現した。
チェコは叫んでいた。
「タッカー兄ちゃん!」




