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虹カマスの湖へ
つづら折りの道を、チェコは必死に駆け下りた。
ヒヨウの背中に貼り付くように走り、やがて森林の中に飛び込んでいた。
「よし止まれ、少し休もう!」
チェコは倒れるように大木の根元に転がった。
全身が肺になったように、荒く息をする。
数分間、チェコは呼吸だけに意識を集中していた。
「…あの…、ドゥーガって凄いね。
トレースしたかったなぁ…」
ヒヨウは苦しそうに笑った。
「お前はそればっかりだな。
昼にドゥーガの巣を見つければ、何とかトレースは出来るが、奴らは夜行性なので、特殊なデッキでも組まない限り、それ程戦力にはならないぞ」
ヒヨウは水筒から水を飲み、
「それより、この先の森を抜ければ虹カマスの湖だ。
その前に、もう一度、捜索を使ってみよう」
ヒヨウは再び、スペルを発動した。
「よし、おおよその居場所は判った」
二人は立ち上がると、無言で森の奥に進んでいった。




