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ドゥーガの谷
「明かりは消すんだ。
ドゥーガに見つかる」
チェコは、パトスのランプの明かりを吹き消した。
山道は、かなりの急な下り傾斜だったが、細いながらも、道が蛇行しながら斜面を斜めに切り取っているので、前よりは断然、歩きやすい。
依然、星の明かりも降り注いでいるため、足元は何とか見ることは出来ていた。
ただし、つづら折りの道を挟むように右側と左側は、両方とも切り立った崖で、道を歩くヒヨウとチェコは隠れる場所も殆ど無かった。
しかし、ドゥーガに見つからないためには、最大スピードで坂を下らなければならない、とヒヨウは言った。
「ねぇヒヨウ?」
チェコも囁く。
「ドゥーガって、どこから出てくるの?」
ヒヨウは早速、走るように下りながら、
「上空を注意していろ!」
空は、僅かな星明り以外は漆黒の闇だった。
「どういう奴なの?」
「鳥だ。
恐ろしく巨大な…」
「この闇の中を?」
「そうだ。
奴は、闇を見晴らすのだ!」
ゼイゼイと息を吐きながら、二人は山道を走り降りていった。




