旅団
「アッハーの北旅団は、北の国の珍しい果実や、海岸沿いの国々で採れた干し魚や香辛料、薬の材料、それに金銀宝石まで、無いものはないし、錬金術師だったダリア爺さんが注文した色んな物も、時間はかかっても必ず手に入るんだ」
「寝たふりをして、嘘をついて行った、と今言ったのではなかったか?」
アハハ、とチェコはは笑い。
「最初の頃はそうだったし、朝、起きれないから、段々ダリア爺さんも気づいて、どうせ行くんだったら、夜食を作ってやるから注文してきてくれ、って。
本当に人使いが荒くってさぁ…」
息を荒げながらも、チェコは楽しそうだ。
「でも、そのお駄賃もあって、スペルカードを揃えられたんだ」
夜の森の、下るというよりは落ちる、に近い傾斜の中で、二人は話を続けていた。
「毎月十日に市が立つ、ということは、それ程の距離は廻っていないようだが?」
「ああ。
旅団は各地にあって、みな、繋がっているんだ。
合流地点で注文品を依頼したり、交換したり、世界は旅団で繋がっているんだよ!
だから北の果ての氷でも、最果ての鉱物でも旅団に言えば揃うんだ。
俺もいつか、旅団に同行させてもらって遠くに旅をしてみたいなぁ…」




