対策
チェコは、アースを浮かべた。
チェコの緑色の球体、魔石の黒い球体、ちさの灰色の球体がチェコの頭上に浮かんだ。
「召喚、ウサギのチャンプ、下を向いて召喚!」
ウサギのチャンプが現れた。
十秒後、チェコはエルフの戦士リュ、ヒヨウを下を向いて召喚した。
そして、十秒待ち、アースが回復すると、満を持してスペルを発動した。
「スペル、呪力粉砕!」
どんっ、と強い炎が舞い上がる。
「チャンプ、下を向いたまま二メートル全身。
木のウロが見えたら、接近攻撃!
エルフの戦士は、チャンプの背中に付き前進。
チャンプが攻撃したら、右に二メートルの鎧骸骨を矢で打ち砕け!」
ウサギのチャンプは、じりじりと鎧骸骨に迫り、最後の一メートルを低く飛び跳ね、一撃で粉砕した。
続いて、エルフの戦士リュ・ヒヨウは右を向き、矢を放った。
矢は見事、鎧骸骨の首を射抜き、鎧を被った首が、パンッ、と吹き飛んで闇に消えた。
チェコの前で動きを止めていたヒヨウが、崩れるように倒れ、ハァ、ハァ、と荒く息をした。
「大丈夫? ヒヨウ?」
チェコが声をかける。
「よくやった、チェコ。
あの男が現れた時には、もう死んだかと思ったが、ミカがちさを残してくれて助かった…」
ヒヨウは途切れ途切れに語るが、思い体を鞭打って、立ち上がった。
「おそらく、もう肉食獣が来るはずだ。
先を急ぐぞ!」
チェコは、驚いて頷いた。
肉食獣など、すっかり忘れていた。




