出現
ヒヨウの背中で、ミカとチェコは見つめ合った。
「ヒヨウ?
ヒヨウ!
…ヒヨウ…」
チェコが声をかけるが、呻き声もしない。
ただ、背中に耳を当てると、心音はあった。
「ね…、ねぇ…、どうするの?」
ミカの問いに、チェコは、うん、と頷いて。
「一人一殺、するしかないよ。
ミカさんは目の前、三…、いや、あれから数歩は歩いているはずだから、二メートルの鎧骸骨を殺って。
俺はミカさんの背中を歩いて、そこから横に向かって、奥の骸骨の首を撥ねる!」
チェコは、古井戸の森で拾った短剣を握り締めた。
だが…。
ちさが呟いた。
「チ、ェ、コ、、、ミ、カ、、なに、、か、、来る…」
えっ、と二人は振り返った。
こんな最悪なタイミングで、肉食獣だろうか!
振り向いた瞬間、どっ、と付近の茂みが、燃え上がった。
突然の強い光に、思わず目を背けたチェコとミカの前に、巨大な男が現れた。
「いよぅ、ミカ、久しぶりだな。
そっちは、リコ村の餓鬼か。
ちょうど良かったぜ、あの妖精女が、山でテレポを使いやがった。
タッカーも、餓鬼のワンコも、それに巻き込まれた。
俺と協力して、三人を探せ!」
それは軍帽の男、プルートゥだった。




